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【9/10二巻発売・コミカライズ企画進行中】公爵夫人に相応しくないと離縁された私の話。  作者: 池中織奈
番外編

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花びら達による会報記録 ①

《『花びら』ナンバリング1番 クラセリア様へのインタビュー》





 さて、今回はスラファー国で『王弟の愛する知識の花』として活躍するクラセリア様からお話を伺いたいと思います。(インタビュアーを務めるのは、『花びら』の会報作成委員会・フーシェ)

 早速質問ですが、クラセリア様が『花びら』になったきっかけはいかがなものでしょうか?


 ――そうね。私はカウディオ殿下からお話をいただいたことがきっかけだったわ。言語を学びたい者はいないかという呼びかけがあったの。





 その際にクレヴァーナ様の最初の『花びら』になったのがクラセリア様とサンヒェル様であったとお聞きしております。今や希望者が殺到している『知識の花の花びら』ですが、当時はどうして二人しか集まらなかったのでしょうか?


 ――クレヴァーナ様が悪評まみれだったからでしょう。恥ずかしい話ですが、私も最初はクレヴァーナ様の噂を一部信じてしまっていました。少なくともそんな噂がされる理由はあるかもしれないと。実際がどうであれ、家を継ぐことも無い私は言語を学べればよいとそれしか考えていなかったのですわ。






 今からでは考えられない話ですね。クラセリア様はクレヴァーナ様を尊敬なさっていることは私達も十二分に承知しております。今ではクレヴァーナ様の一番の弟子ともいえるクラセリア様ですが、どういったエピソードが印象的でしょうか?


 ――そうね。クレヴァーナ様は驚くようなことも簡単にこなしてしまう方なので、印象的なものとなると幾らでも語れるわ。とはいえ、このインタビューで語りすぎても問題でしょう。それに会報に載るのならば私だけが知っているものの方がいいでしょうね。となると『知識の花』としてというよりただのクレヴァーナ様のお話になるけれども、あの方は小説などといった物語を読むのも好きだわ。クレヴァーナ様の影響で小説を読む方も多くてそれも喜ばしい事だと思いますの。私自身は実用書ばかりをそれまで読んでましたが、最近は小説を読むのも好きよ。クレヴァーナ様はね、小説の内容も全て覚えてしまっているの。些細なことでも覚えられる記憶力があるのもクレヴァーナ様の魅力ね。私はそういったクレヴァーナ様の人間らしい点も好ましく思っているわ。










 人間らしい点ですか? 確かにクレヴァーナ様はその経歴だけを考えると、自分達とは全く違う存在に感じられたりしますね。一部の国民達にはまるで神様か何かのようにあがめられている風潮もございますものね。クレヴァーナ様のおかげで命を危機を救われた方々も多いですし。


 ――そうね。クレヴァーナ様の噂だけしか知らない方だとそうかもしれないわ。ただクレヴァーナ様は人生を楽しむことを重要視している方なの。寧ろ私達『花びら』が一つのことを目的として、それを行うことだけを考えているのならば止められるでしょうね。クレヴァーナ様は、何かを犠牲にして何かを成し遂げようという考え方をあんまり好んでないように見えるわ。無理をしているわけではなく、自然体で行動しているというか。だからこそクレヴァーナ様は神様ではなく、同じ人間だと一緒に過ごしているとよく分かるわ。




 その通りですね。私も無茶をしてしまった際にクレヴァーナ様から、『身体は資本なのよ』と言われたことを覚えています。それでいて私に『花びら』だからといって、気負う必要がないともおっしゃっていました。そう言った経験がクラセリア様にも?


 ――そうね。私もクレヴァーナ様が『王弟の愛する知識の花』と呼ばれ始めた当初は、とてもプレッシャーがありましたわ。私達がまだ『花びら』と呼ばれるより前のことですわ。クレヴァーナ様に師事をしている状態で結果を出せなかったらどうしようかとそれは不安だったの。不甲斐ない自分への焦りも当然あった。だけれどもクレヴァーナ様は、『例え結果が出なくてもクラセリアが頑張っていることは知っているわ』とそう言ってくださったの。他でもないクレヴァーナ様自身が私という存在をきちんと見てくれていることがただ嬉しかったわ。それでいてクレヴァーナ様に教わる立場で居ることを誇らしく思ったの。










 そんな言葉をクレヴァーナ様に言われたら、より一層頑張ろうと思いますよね。『花びら』と呼ばれる方々は私も含めて沢山増えてきました。しかしクレヴァーナ様は全員のお名前などをきちんと覚えてくださっていますよね。そういうところもクレヴァーナ様が慕われる一因かと思いました。クラセリア様もそう思いませんか?


 ――ええ。その通りだと思うわ。やっぱり慕っている存在から気に掛けていただけているというのはとても喜ばしいことだわ。『知識の花』としてクレヴァーナ様は次々と成果を出し続けているけれども、一切態度が変わらず、私達『花びら』のことを見てくださっているの。『花びら』が増えた分だけ、クレヴァーナ様と接する時間が減ったりもするけれど……私はそれだけクレヴァーナ様の影響力が増したのだとそれが嬉しかったわ。






 クレヴァーナ様が有名になればなるほど、それだけ私達とも距離が開いてしまうような寂しい気持ちにはなってしまいますよね。その中でクレヴァーナ様を特別視するがあまりに目に余る行動をする『花びら』も出かけております。クラセリア様達がきちんと対応しているから問題は起きておりませんが……私も含めて考えなければなりませんね。


 ――ええ。その通りだわ。確かに私達にとってクレヴァーナ様は特別な師匠という立場ではあるわ。だからといってクレヴァーナ様のことを勝手に決めつけたり、理想を押し付けたりする行動はすべきではないということ。くれぐれもこのインタビューを読んでいる『花びら』達は、そのことを心にとどめておくように。



 ありがとうございます。やっぱりクラセリア様のお言葉はためになるものばかりですね。以上でインタビューは終了となります。次回のインタビューをお楽しみください。


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