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【9/10二巻発売・コミカライズ企画進行中】公爵夫人に相応しくないと離縁された私の話。  作者: 池中織奈
番外編

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女性が生きやすい環境づくり ⑬

「というわけでこれより、女性が働きやすい環境を作るための会議をはじめるわ。目標としては、苦境の中にいる女性をなるべく減らすことね」



 私はそう口にして、その場に集まった人たちを見渡す。




 周りに居るのはカウディオ、ラウレータ、文官達に、私の花びらと呼ばれる生徒達の一部。




 いつも私が何かをしようとしている時に周りが助けてくれる。花びら達なんて、報酬なんていらないから手伝うなどと言い出すから……毎回働きに応じた報酬は渡している。

 金銭の代わりに一緒にお茶会をしたいとか、それを報酬に望む花びらもいるけれど別にそのくらいなら報酬としてではなく普通に参加するのだけど……。

 そうは思うけれど花びら達の中には、そういう機会じゃないと私を誘えなかったりするみたい。……そんなことでいいのかしら? と思うけれど、本人たちはそれでいいみたい。




 ちなみに場所は王城の一室をお借りしている。私がよく打ち合わせなどをするために借りている会議室だ。





 ラウレータは目を輝かせて大人しく椅子に座っている。

 なんて可愛いのだろうか。こんな可愛らしい様子を見ていると、私もちゃんと頑張らないといけないなとそう思った。






「まずはこちらの資料を見て欲しいわ。これはこの国で女性がどういう仕事をしているかというのを、一週間で調べられるだけ調べた情報ね。あとは事例としてこの国で成立した離縁の件数もまとめたわ」



 私は女性に働きやすい環境を作ろうと思い立ってから、まずは情報収集を進めた。



 どういう風に変えていくか、制度を作っていくか。それらは頭の中にはいくつか浮かんでいるけれど、状況をきちんと調べてからがいいもの。

 だからしばらく情報を集めることにしたの。





 その結果、この国の状況を把握することが出来た。……私はこの国で、『知識の花』と呼ばれて、色んな事業に携わっている。だけれどもまだまだ頭に入れられていない情報が色々あるのだなと実感した。




 平民に関して言えば王侯貴族達よりも、結婚という関係が分かりにくい。きちんと届け出を出していることもあるが、田舎だと特に事実婚の関係性になっていることが多いのだ。

 王宮勤めの平民の方たちにも話を聞いたのだけど、小さな村だと身売りのような形で婚姻を結ぶことも多いらしい。そういう状況を全て私がどうにかするというのは難しいかもしれない。

 だけれども、相談先というか……、逃げる先、別の選択肢を作ってあげることは出来るのではないかと思っている。

 貧しい状況にある人たちを何かしら救済する措置を作って行けば、そういう身売りのような婚姻も数はおそらく減るはず。





「貴族の婚姻においては離縁をすべきではないといったイメージがあるわよね。それもどうにかしたいわ。離縁をしたら、女性側が悪いといったそういう風に言いふらされた例もあるようだもの。そういう状況をどうにかする方法もまとめておきたいわね」




 私が自分を証明すると決めて、それを続けて噂を払拭したように。そんな風に謂われない噂を流されている女性が立ち上がれる環境は作っておきたいわ。

 モートナさんもこれからやりたいことをやって、輝こうとしている。そうやって、自分のやりたいことを、自分らしく叶えていく。そういう女性を私は沢山見たい。





「そうですね。貴族同士の婚姻だと家同士の関係性もあるので、離縁は中々しにくいと言えるでしょう。基本的に政略結婚だと受け入れているものなので、離縁が少ないというのもあるでしょうか」

「これからも婚姻を続けていくことが困難であると判断した方だけの離縁を手助けしたいですね。そのあたりを上手くしなければ下手に離縁を促すだけになってしまい、混乱を招いてしまうと思います」




 その場に居た人たちが、私の言葉に意見を言う。




 この場に居る人たちは私の意見にただ賛同するだけではないのだ。きちんとこうやって意見を出してくれるから、本当に助かっている。

 私一人では決め切れないことというのが沢山あって、そういう場合は周りの人がこうやって意見を言ってくれると思考が伸びるの。




「そうね。だからこそ本気で離縁をしたいのか、そしてその後のことをどれだけ考えているのかというのを聞いてからになるわね。一時的な衝動で離縁をして、後からそんなことをしたくなかったと言い出す方も出てくるかもしれないわ。だからそのあたりに関してはきちんとしなければならないわ。離縁まで行かなくても私たちの手助けで、婚姻生活を良いものに出来るのならばそれはそれでいいもの。だからそうね、女性の生活のお悩み相談といった窓口を作っておきたいわ。出来れば貴族だけじゃなくて、平民の女性も相談が出来る場所にしたいわね。そのための仕組みをどう作っていくかね」





 モートナさんの場合は自分の意思で、どうしても離縁をしたいと、新しい一歩を踏み出したいと願った。

 だからこそ私は背中を押した。

 けれどそうじゃない人もきっと世の中にはいるのだ。私は夫であるカウディオのことが大切で、不満なんてものはない。寧ろ幸せだとそう自信を持って言える。

 でも男女の仲にはきっと色々あるのだ。重要なのはどこまで本気であるか、これから先の未来をどうするつもりなのか。

 そのあたりだもの。





「そういうわけで、まずはお試しとして相談窓口を一つ作ってみようと思うの。まずはこの王都で。それが軌道に乗ったら少しずつ増やしていくというのもありだと思うわ。もちろん、それで失敗したら、また別の方法を考える予定だわ」




 私が続けてそう言えば、周りは頷いてくれた。




 こういうことは一挙に行っても、それが仕組みとして上手く行かないものであればただの資金の無駄遣いになってしまう。

 だからまずは試験的に、窓口を作ってみようと思っているの。



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