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【9/10二巻発売・コミカライズ企画進行中】公爵夫人に相応しくないと離縁された私の話。  作者: 池中織奈
番外編

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娘と共に本を読む

「お母様、おはよう!」



 そんな声と共に目を開けると――そこには私の可愛い娘、ラウレータの姿がある。

 目を覚ました時にラウレータが傍にいることが本当に幸福なことだと思う。



「おはよう、ラウレータ」



 私はそう言って、ラウレータをぎゅっと抱きしめる。

 そうすれば嬉しそうに抱きしめ返してくれる。



 離れ離れになっていた時を埋めるかのように私はラウレータとよくこうやって触れ合う。あまりにもべったりしていると嫌がられるかしら……と思っていたけれど今のところはそんな気配はなくてほっとする。

 だって折角一緒に暮らせるようになったのに、ラウレータからそんな態度をされたら悲しくなってしまうもの!



 でも子供には反抗期というものがあると、仲良くなった友人たちから聞いている。親のことを嫌がるような時期がくる子供も結構いるって……。可愛いラウレータにそんな時期が来たらどうしよう……とまだまだ先なのにそんなことを心配してしまう。



 なんというか、正直言ってその時のことがどんなことよりも心配だったりする。

 という話をカウディオにしたら、「国を揺るがす事態にはいつだって冷静に対応しているのに、クレヴァーナらしい」と笑われた。




「お母様、どうしたの?」



 私がいつかラウレータに反抗期が訪れたらと考えていたら、心配そうな顔をされる。



「なんでもないわ。それよりラウレータ、今日は何をする?」



 その時が来たら考えればいいとそのことは一旦、頭の片隅に置いておくことにする。

 私の言葉を聞いて、ラウレータは目を輝かせた。



「お母様、今日休みなの? じゃあ、私と一緒に過ごせる?」

「ええ。今日は一日一緒に過ごしましょう」



 私がそう言ったら、ラウレータはそれはもう喜んでいる。



 ラウレータの後ろに控えている侍女――ラウレータと一緒にロージュン国からやってきたレナリもその様子を見て笑っている。



 私のやっていることに関しては、明確に定時などがあるわけでもない。ただ私がやりたいときに行動しているというのが正しい。そういうわけで直前まで何をするか決まってない時もある。あとは急ぎの用事があると、どんな時でも王城に向かうこともあるもの。

 緊急事態の時に私の知識があればどうにか出来るかも…とそんな風に頼られたらついつい向かってしまうわ。



 昨日は歴史についてまとめていたのだけど、その中で新たな発見があって面白くて! それでついつい夜遅くまで作業をしてしまったの。カウディオが迎えに来てくれなかったらもっと遅くなっていたかもしれないわ。

 それもあって今日の予定はラウレータに伝えてなかったのよね。

 昨日頑張りすぎたから今日はラウレータと一緒にゆっくり過ごすことに勝手に決めてしまったのだけど、ラウレータに断られなくて良かったわ。




「お母様、じゃあ一緒に本を読もう!」

「何か面白い本でも購入したの?」

「うん。あのね、魔術式と魔道具に関する本をね、ディオ父様に買ってもらったの! お母様と一緒に読んでね、お話したいなって」




 ラウレータは魔術が好きなので、一緒にその本を読みたいのだろう。私はラウレータの言葉に笑った。




「もちろんよ。私も魔術式の新刊は気になるわ!」

「あとは人気の本も色々買ってもらったの。出たばかりだからお母様もまだ読んだことないと思うから、読んでほしいな。私はね、その本は読んじゃった。だからお母様が読み終えたらその本のお話したいの」



 私もカウディオも本を読むのが好きだから、その影響もあってラウレータはよく本を読む。



 こうやって面白い本を読んで、その感想を共有できるのって本当に楽しい事だと思う。

 ラウレータはまだ小さいから、大人向けの難しいものはあんまり読んでいないけれど。でもラウレータは魔術とかに関する本は難しいものでも特に進んで読むのよね。




「ふふ、読むのが楽しみだわ」

「本当に面白いの。だから、お母様も楽しいと思う」




 にこにこしながらそういうラウレータを見ていると、それだけで幸せな気持ちになった。




 それから私とラウレータは、まずは魔術式と魔道具に関する本を読む。




 それは他国でも有名な魔術師と魔道具職人が共同で出したもののようだ。ちなみに翻訳に関しては私の働いていた図書館で同僚だった職員が担当したものみたい。

 そういう伝手があるから、一般よりも早く入手できた新刊みたいだわ。



 表紙からしてなんだか興味をくすぐるようなものになっているわ。こういう本の表紙ってとても重要よね。

 それ次第でまず、開くかどうかが変わるもの!




「お母様は、この魔術式についてどう思う? 私はね、このままだとちょっと使いにくいなって思うの」

「一回試してみる?」

「うん。えっとじゃあ……」



 実際にラウレータに魔術を使ってもらいながら、その魔術式を観察する。

 そして本に記載されているものと見比べて、改良してみる。




「ラウレータ、少し変えたものを試してみる?」

「うん!!」



 私の言葉にラウレータは頷いて、早速私が改良したものを試していた。

 それで使い勝手が良くなっていたみたいでラウレータは喜んでいた。




 そうやって魔術式と魔道具の本を見ながら、私とラウレータは意見交換をしていくのであった。



お知らせ

『公爵夫人に相応しくないと離縁された私の話。』の書籍の発売日告知されました。

2024年10月10日発売予定になりますので、よろしくお願いします

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― 新着の感想 ―
[一言] え、英才教育が再開した?!
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