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【9/10二巻発売・コミカライズ企画進行中】公爵夫人に相応しくないと離縁された私の話。  作者: 池中織奈
本編

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エピローグ

18時投稿は二話連続投稿です。

ひとつ前に同じ時刻投稿で一話あります。

「わぁ、お母様、綺麗!!」



 私はスラファー王国へと帰ってきた。ロージュン国へと向かうからと、取り急ぎ婚姻届けだけ出していた状況だったので帰国後、結婚式を執り行うことになっていた。



 今日は、その結婚式の日である。

 私の目の前には、娘であるラウレータが居る。





 ラウレータは、「お母様と一緒に行く」とそう答えてくれた。




 ……ラウレータは頭が良い子だった。まだ六歳なのに、周りの状況をよく見ていた。デグミアン様の再婚相手――継母になった相手とも上手くやっていたのは、そうする方が良いと自分で判断したかららしい。

 嫌いなわけではないが、あの再婚相手の女性は私の噂を信じ切ってラウレータのことを“悪評のある母親が居て可哀想な子”として接していたようだ。思いやりはそこにあっただろうけれど、それでも分かり合えるような感じではなかったようだ。




 デグミアン様に関しても、私がスラファー国で活躍することがなければ私の悪評を信じ切ったままだったのではないかと思う。



 そもそもの話、声をあげて、行動した人の言った言葉が広まるのが当然なのだ。言われた側が大人しくしていれば、結局それが真実として広まってしまう。……私はそれをしようという考えにも至ってなかったから、広まったのだろうなと思った。

 反抗をしてこなかった私が、こうして自分を証明し続けることでロージュン国も、シンフォイガ公爵家も、ウェグセンダ公爵家も……大変な状況ではあるようだ。




 私はロージュン国の国王に許すと口にし、私の花びらと言われる者達にもロージュン国に力を貸すかどうかは自由だとは言ってある。とはいえ、心情的には私のことがあるから知識を貸し与えたりなどあまりしないようだ。……私の最初の生徒であるクラセリアとサンヒェルが花びらたちを統制して、「ロージュン国内でのクレヴァーナ・シンフォイガの噂が偽りであると知らしめること、そしてクレヴァーナ様の正しい評価が広まるようになることが知識を貸す条件である」とロージュン国に告げているようだ。




 私と私の生徒たちの間で生まれた新しい技術なども、その条件が達成するまでは与えられない状況なのでその原因となったシンフォイガ公爵家とウェグセンダ公爵家は針の筵状態になっているらしい。

 私の可愛い娘は、なんとなくそういう状況も理解していたようだ。でも思えば私が少し教えただけでも昔からすぐに理解していたからなと思う。



 ……ラウレータを私の元へ連れてくることが出来たのも、私の今の立場があるから。ただ一年に何度かは、私がウェグセンダ公爵家を許しているということを示すためとラウレータを父親に会わせるために交流を持つことは決まったけれど。

 シンフォイガ公爵家に関しては、私に接触しようとしてきたりしていたが、全部事前に止められている。あまりにもそういう行動をし続けるなら益々その立場は悪くなるだろう。





「クレヴァーナ、今日は一段と綺麗だね」

「カウディオも素敵だわ」




 結婚衣装を身に纏っているカウディオは、とても素敵だった。

 私たちがそう言って笑いあっているのを、ラウレータはにこにこしながら見ていた。




 大好きな人が居て、娘が居て、そして周りから祝福される結婚式。



 ――離縁された時は全く想像も出来なかった、今がある。

 私はなんだか、その事実が夢みたいだなと思った。だけど、確かにこれは現実だ。




「カウディオ殿下、クレヴァーナ様、お時間ですよ」



 そう声かけをされる。



「行きましょう、カウディオ」

「ああ」




 そして私たちは腕を組んで、式場へと入場するのであった。






 ――祝福される結婚式を得て、私はこれからもカウディオの隣にいる。

 愛しい人が傍にいてくれるのならば、私はきっと、一生涯咲き続ける。














 クレヴァーナ・スラファー。

 その名はスラファー国を発展させた存在として語り継がれている。

 国内の制度を発展させ、数多くの言語を使いこなし、国防に役立つ魔道具なども生み出した。その才能は多岐にわたると言えるだろう。

 ただし彼女の唯一の欠点として魔術が使えないことがあげられていた。

 また彼女の逸話で有名な話の一つに、過去に悪女として名が広められていたことがある。生まれ故郷であるロージュン国では、彼女は苦労していたと伝えられている。

 ロージュン国では芽吹かなかった才能が、スラファー国では咲き誇ったとして彼女は『知識の花』と呼ばれた。


 ――私がこの国で咲き誇れたのは、カウディオを含む周りに恵まれたから。


 彼女の死後発見された日記には、そんな一文があったとか。

 なんにせよ、彼女は王弟殿下の傍で咲き続け、幸せな一生涯を送ったことは間違いない。


こちらで完結になります。

元々最近よく継母ものの漫画など見るなと思い、前妻側の話を書こうかなと思い、見切り発車で始めた物語になります。よくある話から派生した話が好きなので、離縁された主人公で書いてみました。

もしかしたら物足りない点あるかもしれませんが、書きたいシーンは書けたので満足しております。

ランキングにも顔を出し、想像していたより読んでいただけて嬉しかったです。

離縁されてから始まったクレヴァーナの第二の人生の物語、楽しんでもらえていたら嬉しいです。

ここまで読んでいただきありがとうございます。感想などいただけたら嬉しいです。



2024年6月2日 池中織奈

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― 新着の感想 ―
[一言] ランキングから見つけて、一気読みしてしまいました。 素晴らしい作品を有難うございます!
[良い点] 大変楽しく読ませていただきました! ラウレータとクレヴァーナが一緒に暮らせるようになって良かった♪ラウレータはカウディオとも絶対仲良くなれそうですよね [気になる点] シンフォイガ公爵家の…
[良い点] 再読させていただきました! [気になる点] クレヴァーナ・スラファー  多くの作品で王弟は結婚を機に『公爵』や『太公』の地位を授けられます。  でもクレヴァーナは『スラファー』つまり正式…
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