付き合っていた“独占型ヤンデレ”に飽きられて捨てられたので、偶然再会した年下幼なじみを理想の“周囲殲滅型ヤンデレ”として育成します。
ヤンデレって、基本主人公への愛は無くならないですよね?
だけどヤンデレへのざまぁが書きたくなったので書いて見ました。
今回は短編なので、ざまぁ無しのおふざけ有りですが、方向が決まったら連載して見ようと思ってます
「は?梨沙、今なんて言った?」
「だから、しゅん君……いや真田君は運命の相手じゃなかったって言ったの」
俺、真田 駿介にそう、のたまったのは恋人である、いや、“元”恋人の柊 梨沙だ
彼女とは高校入学のときに出会い、クリスマスに付き合うこととなり、かれこれ3年目の短くない付き合いだった。
「ふざけんなよ!!“今さら”何言ってんだよ!!」
「ゴメン、でも……大学で本当の運命の人に出会ったの……だからこの生活もおしまい」
「そんなんで納得できるかよ!!」
付き合っていた恋人同士が別れるのはそれほど珍しくない……ましてや大学デビューともなればよくある話だろう。
だか、俺達二人にはそうも言ってられない事情があった。
「なんで今さら……」
「本当にゴメン……」
「なんで……なんで!“3年も監禁した”彼氏を捨てることができるんだよ!!」
そう、俺真田 駿介は付き合った1ヶ月後、このヤンデレな柊 梨沙に今に至るまで家に監禁されていたのである。
ただ、監禁されてはいたが、俺は1ヶ月で慣れていた。
もともとヤンデレな女の子が好きで、物語の中でもヤンデレキャラはかなりの確率で好きになったし、ヤンデレを題材にした音声作品も結構聞いていた。
現実と創作は割りきっていたつもりであったが、梨沙に関してはまさに理想のヤンデレと言っても差し支えなく、顔が可愛いければ、愛も重く、料理も上手い。
監禁する際にも、
「私が一生養ってあげる、だから他の女の子なんか、もう必要ないのよ」
と理想ムーブをかましてきたため、恋に落ちたのは必然だ。
「俺、愛していたのに……本当に愛していたのに……」
「ごめんなさい……」
監禁されてからも、というか、監禁されてからは更に愛を囁くことが多くなった。
愛して養ってもらってる身としては、愛を伝えること以外に返すことができないし、それを梨沙も望んでいると信じていたからだ……
「じゃあね、真田君」
そう言って半ば強制的に家から追い出された。
「はぁ、これからどうすっかなー」
今まで、梨沙の家で生活してたから当時の一人暮らしの部屋も引き払ったし(いつの間にか引き払われた)金が無いから新たに部屋を借りることも出来ない……
両親は海外出張中だし、兄弟もいないので、身内に頼ることも出来ない…………
「不味いな……このままだとホームレスだぞ、笑えねえー」
途方に暮れて、意味もなく前住んでた家の近くまで来てしまった。
「ま、残ってないわな……」
万が一でも自分の部屋が残っていないかと確認したが、期待もむなしく、既に他の住人が住んでいた。
それを確認し、帰ろうとしたときに
「あれ?もしかして駿にぃ?」
これからのことを考えていると、突然美少女に声をかけられた。
「?……えっ、もしかして陽菜ちゃん?」
声をかけてきたのは、俺が中学生のときに隣に住んでいた、3歳年下の桜木 陽菜ちゃんだ。
俺が高校にあがるときに引っ越して行ったが、また戻って来たのだろうか?
「はい、お久しぶりです。駿に……駿介さん」
「はは、別に駿にぃでもいいよ、好きに呼んで」
「あ、ありがとうございます。では駿にぃで……えへへ」
可愛い。俺の荒んだ心に癒しを与えてくれる
「ところで、陽菜ちゃんはこっちに戻ってきたの?」
「はい、今年から高校生なので、そのタイミングで引っ越して来ました」
「そっか、陽菜ちゃんもう高校生だったか。時間が経つのは早いなー」
「ふふっ、なんだか駿にぃおじいちゃんみたい」
おじいちゃんて……でも、あの小さかった陽菜ちゃんがここまで綺麗に成長していることに驚いてるし、何より監禁されていたから時間感覚狂ってるし……
「そ、それで、ここにいるってことは、またこの辺りに住むことにしたの?」
「いえ、私は少し離れたところに住んでるんですが、ここに来たら駿にぃに会えるかなって……」
可愛いすぎんかこの子、おじいちゃん勘違いしちゃうぞ
「だから、前駿にぃが住んでた部屋まで行ったんですけど……」
「ああ、実は」
「ベランダ見たのですが、女物の服が干してましたよね?誰のですか?」
陽菜ちゃんの瞳からハイライトが消えた気がした
「駿にぃ、一人暮らしでしたよね?だからお義母さまのものではないと思いますし、まさか彼女なんてことはありませんよね?私との約束もありますし」
こんな陽菜ちゃんみたことない、これじゃあまるで……
「あっ!」
「は、はい!なんでごさいましょうか!?」
「もっ、もしかして、しゅっ、駿にぃが着て……」
「違うから!というより、俺あの部屋には今は住んでないから!」
「そっ、そうでしたか。……よかったぁ」
尊厳は守られた、危ないところだった
「本当によかった……危うく駿にぃをグチュッてするところでした」
生命は守られた、危ないところだった
「ま、まぁ訳あってここには住んでないんだ」
「そうだったんですね。では、今はどちらに?」
「それは……」
「えっ?なんで隠すんですか?私と駿にぃの間に隠し事なんて無しですよ?まさか私に言えないやましいことをしてるんですか?そんなわけないですよね?だってそうだったら今度こそ駿にぃをグチュッてしなくちゃ……」
「わー!ゴメンゴメン!言うから言うから!」
嗚呼、好い!もしかしてと思ったが……これは……
「実は今、家無いんだ……」
「え?」
「“友達”の部屋に居候してたんだけど、喧嘩しちゃって、追い出されたんだ……」
「そうだったんですね……“お友達”というのは男性の方ですよね?」
「“うん、そうだよ”」
「へー」
咄嗟に嘘をついた、まあ、バレる心配も無いだろう。もう梨沙とは縁を切った訳だし……
「ふーん」
「……」
「その“お友達”とはもう何も無いんですよね?」
「もちろん!縁は切ってきたから!」
「…………嘘2回マイナス2ポイント、女の影マイナス10ポイント、女との縁を切ったプラス6ポイント……」ブツブツ
全部聞こえてます、そして全部バレてます。
合計マイナス6ポイントか……大丈夫だよね……グチュッはないよね?
「あっ」
「ビクッ!……」
「ということは駿にぃ、今住むところ無いですよね?」
「ああ、さっき追い出されたからな……」
「でしたらうちに来ませんか?」
「えっ!」
それは願っても無い申し出だが……
「今家には妹と二人暮らしなので、遠慮する必要はありませんよ」
「妹って紬ちゃんか……えっ!女の子二人で暮らしてるの!?危なくない」
「ふふっ、大丈夫ですよ!こう見えて私強いですから!」
強いっていってもさすがに女の子二人暮らしは危険だろ……
妹の紬ちゃんに関しては、確かまだ小学生だし
でも、もしかしたら本当に強かったりす?のか?……
…………試してみるか
ビュンッッ!!!
バチィッッ!!
「ほう……、これを防ぐか……」
「……言いましたよね?私強いって」
インパクトで速度を殺したといえ、亜音速の蹴りを防ぐか!おもしろい!!
「それで、私は合格ですか?」
試していたことも見切るとはさすがだ!
「ああ、期待以上だよ!」
間違いなく彼女には“ヤンデレの素養”がある!!
梨沙はヤンデレの性質としては軒並み高水準だったが、いかんせん戦闘力に欠けていた。
”独占型ヤンデレ”としてはそれでもいいと思っていたが……
いつの間にか俺は妥協をしていたらしい
「もしかして今、他の女のこと考えてました?ダメですよぉ~?」
ゾクッ
本物だ……これが俺が求めていた理想のヤンデレだ……
対象への深い愛、独占欲、そして戦闘力……
“周囲殲滅型ヤンデレ”の素質がある!!
「陽菜ちゃん!!」
「はい」
「俺を陽菜ちゃんの家に住まわせてくれ!」
「はいっ!」
「そして……俺の理想になってくれ!!」
「はい……えっ?…………ひゃっ、ひゃい!!!」
さて、今日は最悪な1日になるかと思っていたが、最高の1日だったな……
陽菜ちゃんを理想のヤンデレに育ててみせる!
「……駿にぃが、私を理想って……、理想の妻になれって……」ブツブツ
「これからよろしくね!」
「はい、旦那さま!」
俺は理想のヤンデレに出会えたと喜んでいたが、まさか陽菜ちゃんの妹が、はたまたバイト先の先輩が、さらには推しのアイドルが、理想のヤンデレとなって待ち受けているとは、このときの俺は想像もしてなかったのである……
続く?
ここまで読んで頂きありがとうございました。
まだ、執筆を始めたばかりの若輩者ですが、色々書いていきたいと思ってます!
ヤンデレへの表現がまだまだ拙いですが、ヤンデレ好きなので、もっと理解を深めていきます!!