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愛していたけど恋してなかった

作者: すおう契月

 初夏の緑が眩く窓の外で揺れている。

 今日は社交へ出ずタウンハウスに留まっていた父親を、エヴリーヌは書斎で掴まえた。


「お父様。私、第一王子殿下との婚約を解消したいの」


 力を込めた翠の瞳は真っ直ぐ父を映す。

 忙しい公爵の時間を無駄にはできない。エヴリーヌを愛している父は仕事など放っておいていくらでも相手をしてくれるだろうが、淑女として娘として、余計なことに割く時間は極力減らしたい。

 エヴリーヌは前置きもせず単刀直入に切り込んだ。


 エヴリーヌが殿下を名前ではなく敬称で呼んだことで、父公爵は何かを悟ったようだった。


「いいのか?」


 再確認するように、低く問う。

 それへ頷きながら、エヴリーヌはあっさり告げた。


「私を一番に思わない方など、私には必要ありませんわ」




 王政をとっているこの国では、未だ王太子が決まっていなかった。


 側妃が生んだ第一王子と、王妃が生んだ第二王子。

 年子で、能力は甲乙つけがたく、第一子が後継となる場合が多いため無難に第一王子をと考えるものと、後ろ楯がしっかりしている第二王子を推すものと。それぞれに派閥ができていたため、王は後継を決めかねていた。


 そんな中で、第一王子セヴランの婚約者になったのが公爵令嬢のエヴリーヌであった。


 エヴリーヌのマレシャル家は、改革派の筆頭だ。近年、近隣諸国との繋がりや文化や商業の変化などに柔軟な対応をした改革派は力をつけて、勢力的には大きく保守派を引き離している。

 先王が保守派側だったため、ある意味マレシャル家は王家より力を持っていた。

 もちろん王家もマレシャル家もそれを否定しているが、実際のところマレシャル家の意思は国王であっても呑まなければならないほど、力関係は拮抗ないしは逆転している。


 幼いエヴリーヌは父親に連れられて王宮に上がった際、麗しい外見のセヴランに一目惚れをした。

 サラサラと揺れるストレートの金髪に、南の海のような明るい青の瞳。側妃譲りの際立って端麗なかんばせ。

 綺麗なお人形を欲しがるのと同じ感覚で、王子をねだった。あれがほしいの、と。


 公爵は娘の願いを叶えた。

 婚約者に据えることで、セヴランはマレシャル家の後ろ盾を得て、第二王子を一歩も二歩もリードでき、またマレシャル家も王家に食い込める。

 悪くない政略結婚だと、側妃と公爵があっという間に取りまとめた婚約だった。


 だが急に婚約者を決められたセヴランは、まだ年若く精神的にも未熟だった。

 蝶よ花よと育てられたエヴリーヌは、彼の外見を愛してはいたが、セヴランの心までは慮れなかった。

 だから婚約者として定期的な交流の場では、マイペースに過ごしていた。公爵令嬢のエヴリーヌにとって、周りが自身に合わせるのは当然だったからだ。

 一方でセヴランも、王子としてあらゆる場で中心とされ、常にもてはやされてきた。謙ることのないエヴリーヌは、セヴランをうっとり見つめることはあっても、セヴランの行動や心理にはあまり関心を示さない。

 自身に合わせようとしないエヴリーヌは、セヴランにとって異質な存在だった。


 そんなこんなで、エヴリーヌは王子妃教育を真面目に受け、淑女として王子の婚約者として恥ずかしくない成長をしたが、セヴランと心を通わせることはできずにいた。


 セヴランはセヴランで、勝手に決められた婚約を不服とすることもできず、また、後ろ盾にすべく結ばれた婚約なのに、未だ立太子されていないことを不満に思っていた。

 王太子に立てられない以上、第二王子とは比較され続ける。それに年々苛立ちを募らせていた。

 長ずるにつれて、第二王子の方が能力が高いと高官達の囁きを耳にしていたのだ。


 そんな鬱屈した第一王子の心理を、エヴリーヌは逆撫でする存在だった。

 エヴリーヌは譲って相手を立てるということをしない。

 地位、財力、美貌に加え、教師陣が褒める能力の高さ。まるで王子より優れていると、周りからも本人からもセヴランは言われているような気持ちになっていた。


 不愉快な相手と打ち解けることはできない。

 精神の安寧のためエヴリーヌと距離をとろうとするも、エヴリーヌは変わらず王子を、その表面を、褒めて愛する。

 セヴランの苛立ちは常に燻るようになっていた。


「殿下には殿下の魅力がございます。殿下は努力をしていらっしゃいます。王太子に相応しいのは殿下だと、きっと陛下もいつか気がつかれますわ」


 行儀見習いを兼ねて女官として王宮にあがっていた伯爵令嬢マリーズは、そんな王子の心の隙間に入り込んだ。

 セヴランの求める言葉を囁き、慰める。

 耳障りな言葉は遠ざけ、甘美な声だけをかける。

 婚約者と競う必要などないとは決して言わなかった。


 エヴリーヌに取って代われば、上手く行けば自分が王子妃、ひいては王妃となれる。

 行儀見習いは出会いを求める令嬢が王宮にあがる建前だ。分かっていて王宮側も受け入れている。それならば最上を目指して何が悪い。マリーズはそう考えていた。


 エヴリーヌとは真逆といえるほど甘やかな魅力を持つマリーズに、セヴランはあっという間に溺れていった。

 側近が諌めても、苦言を呈しても、左から右に聞き流す。

 ぽつり、ぽつりと親しかった学友達が距離をとり始めたことにも気付かない。それほど恋に溺れた。

 マリーズの存在は、他の女官や侍女、侍従が巧妙に隠していたが。王子も伯爵令嬢も隠す気はない。

 しばらく経った頃、エヴリーヌの耳にも入った。

 はじめはエヴリーヌも疑った。

 エヴリーヌは未婚の令嬢の中では最も地位が高く、気品、美貌、教養、全て最上と言われていた。王子の婚約者と分かっていても愛を告げてくる者が絶えずいる、そんなエヴリーヌをなおざりにして他の女へ走るなど、セヴランはどうかしている。

 エヴリーヌ本人や彼女の周囲だけでなく、関係者は皆眉をひそめた。

 だがセヴランもマリーズも、行動を控えることはなかった。

 王都での社交シーズンの始まりと重なり、瞬く間に噂は王宮を駆け巡った。


 エヴリーヌはなにもしなかった。

 伯爵令嬢とこっそり堂々と逢い引きしている王子の姿を見て、すとんと気持ちが落ちた。

 ああ、私は、あの人の中身などどうでもよかったのね、と。


「私、殿下に恋していなかったんだわ」


 睦む二人を見ても、蔑ろにされた腹立たしさは感じても、嫉妬や悲しみの念は浮かばなかったからだ。

 恋をしていたわけではない。ただ、あの外見が好きだったから、手に入れたかっただけなのだ。

 それに気がついてしまった。


 気付いたからには、早くこの関係を解消しよう。

 幸いエヴリーヌには愛を告げてくる男性は多くいたし、その中にはセヴランにも劣らない美貌の者もいる。

 そうだ。地位も名誉も財産も全てエヴリーヌが持っている。伴侶にそれを求める必要などない。

 自分に心を傾けてくれない相手を追いかける趣味はないし、いい男は他にもたくさんいるではないか。

 伯爵令嬢を愛しているのなら、エヴリーヌとの婚約解消はセヴランとて喜ぶはずだ。すぐに解消の手続きをしよう。

 マレシャル家の支持を失ったとて、第一王子は第一子であるから保守派が離れることはない。


「問題は何もないわね」


 顔で選ばれた王子は、顔しか愛されないままにエヴリーヌの心を獲得できなかった。

 だからエヴリーヌに捨てられる。


「次は、心も私に捧げてくれるいい男を選びましょう」


 寄り添う二人の姿に背を向けて、エヴリーヌはすっきりした気分で独りごちた。




 議会が開かれているこの時期は、王都に貴族達が集まるシーズンだ。

 領地に戻っていた公爵も王都に来ているし、すぐに話ができる。

 望めばすぐに手続きができるのは幸いと、タウンハウスへ帰ったエヴリーヌは、その足で父親へ面会を求めたという訳だ。


「例の、伯爵令嬢の話は聞いている」

「ええ、お察しの通りですわ」

「ふむ」

「早急なる手続きをお願いいたします。殿下の婚約者のままでは、次の殿方を捕まえられませんから」


 エヴリーヌは美しい翠の瞳を笑みの形に細める。

 侍女達の手入れした黒髪は、夜空にも負けない艶を含んで、星のように輝く。

 婚約者がいる現在でも求婚者が絶えないエヴリーヌなら、早晩次の婚約者を見つけられるだろう。まして第一王子の不貞による婚約解消なら、エヴリーヌに傷はつかない。


「そうだな。このシーズン中に新たな縁を結べることを願おう」


 公爵はエヴリーヌを愛していたが、表立ってセヴランの態度に怒ることはなかった。

 ただ単に、エヴリーヌがどうするか次第だと静観していたに過ぎない。

 娘の我儘を聞いて第一王子派となったが、国政に寄与する公爵の立場から見ると、王太子には第二王子を推すべきだと考えていた。

 戦争よりも外交を重視する今の政治路線を思えば、第二王子の方が社交性が高く、国王に向いているのだ。


 セヴランは婚約者に対してなんの配慮もしなかった。

 契約で結ばれた、第一王子にとって利のある存在であり、将来ともに国を支える伴侶となる予定の相手を、なおざりにしていた。そこに心配りは一切なかった。

 配慮すべき相手にすら配慮しないということは、諸外国の要人にも同じように振る舞う可能性がある。

 無意識の傲慢は質が悪い。

 国同士の駆け引きは繊細だ。外交に必要なのは、情報と細やかな心遣いと探り合いと譲歩の姿勢だ。傲慢な人間にそれはできない。

 飾りものの王にするとしても、値踏みされて軽く見られれば、自国に不利に働く。諸外国との関係性が悪い方へ傾く可能性がある。

 そんな第一王子より、欲深い側妃との関係を常に意識して王宮でも隙なく動く第二王子の方が、自身で国政の舵取りもするだろうし、王としては戴きやすい。

 性質が悪ければ考えどころだが、幸い第二王子の性根は清らかだった。


 エヴリーヌの意向は、政治家としての公爵の意向に添っている。

 父親としても、娘をぞんざいに扱う男へ嫁がせる気はない。

 快諾しないわけがなかった。


「数日中には朗報を伝えられるだろう。それまでは屋敷で控えていなさい」

「はい」


 どのみち王宮はセヴランとマリーズの噂で居心地が悪い。貴族の集まる社交場も同様だろう。

 もとよりエヴリーヌは、正式に婚約解消されるまではおとなしくしているつもりだった。


「ふふ、これが物語なら、私は悪女とされるのでしょうね」


 王子様に焦がれて権力を利用し無理に婚約を結んだ高位の令嬢と、美しい王子と、その王子と愛し合う娘。

 娘が伯爵令嬢なのは物語的にちょっと美味しさが欠けるけれど、想い合う二人を引き裂く公爵令嬢は悪女の位置づけだろう。

 実際のところ、セヴランが不貞を働いただけで、エヴリーヌとマリーズに接点はない。貴族の集まる場でも挨拶をしたことがないから、所属する派閥も全然違うのだろう。

 物語を作れる要素はなにもなく、エヴリーヌを非難する声を生むことはできそうにない。

 完全にセヴランの非で終わる話だった。




 数日後。

 忙しく立ち働いた公爵から、正式に婚約が解消された旨の知らせがあった。

 側妃に察知されれば邪魔が入る可能性があったため、第一王子には一切の通知をせず、国王陛下と公爵のサインで通したらしい。

 元々婚約を結んだときもこの二人のサインで契約書を作っていたため、問題なく受理された。


 解放された気分のエヴリーヌは、婚約の解消を大々的に周知した。

 といっても、社交場で友人達に話したに過ぎない。

 噂で注目を浴びていたマレシャル家のご令嬢の動向は、先からゴシップ好きの貴族達の耳目を集めていた。

 そこで声高に婚約がなくなったことを教えれば、あっという間に情報が広がるという算段だ。

 共に王子妃教育を受けてきた第二王子の婚約者であるソブール侯爵家令嬢のイヴェット、侍従長を務めるトルブレ伯爵の令嬢であるソレーヌ、母方の従姉妹であるフランセル公爵家のキトリー、第二王子の乳兄弟であるブロサール伯爵家令息と婚約しているアデライド。

 彼女たちの巧みな話術で、エヴリーヌは「王子の純愛に感動して身を引いた情け深い令嬢」となった。


 友人達に話した翌日から、エヴリーヌの元へは国内外身分問わず男性から交際や婚約の申し込みが殺到した。


「お会いして、惹かれる方に出会えるといいわね」


 送られてきた釣書を見ながら、エヴリーヌは微笑んだ。

 セヴランは顔の造作だけで選んだが、大人になってみれば、性格もある程度顔に反映される。体型や声の外見だけでなく、内面も含めて、慎重に見極めたい。

 エヴリーヌは今度こそ素敵な男性を捕まえるつもりだった。




 エヴリーヌは社交を重ねたが、王宮にだけは上がるのを一切止めた。

 婚約解消を決めた日から、一度も第一王子には会っていない。

 マレシャル家の支援を失うと慌てたセヴランから、話し合いを希望する使者と手紙が幾度も届いたが、すべて丁重にお引き取りを願った。

 そこから後は、予定調和というべき転がりを見せ――「マレシャル家の令嬢に婚約解消された第一王子」は、あっという間に立場を失った。


 それまで王太子についての言及を避けていたマレシャル家が、第二王子と関係を密にしつつある。公に支持を表明したわけではないが、それも遠からぬことだろうと噂が広がった。

 セヴランに対して()()()()()()()()エヴリーヌの父公爵が、第二王子の派閥に入る。第一王子にとってこの上ない打撃だった。

 醜聞とあいまって、王太子にはなれないことが確実と目された第一王子は、さっと潮が引くように周りから人がいなくなった。


 その中に、件の伯爵令嬢もいたのはお笑いだろう。


 王子は本気で愛していたとしても、マリーズは打算で近づいたと明らかになったのだから。

 マリーズは、第一王子の立場がこれほど不安定だとは思っていなかったのだ。

 取り入って彼の隣に納まったはいいが、そのために彼が王太子の座を逃すのは計算違いだったに違いない。


 婚約者だった時にエヴリーヌと心を通わせる努力をしていれば、二人の女に捨てられることはなかったのに。

 エヴリーヌは顔に惹かれて婚約者になったとはいえ、打算はなかった。セヴラン自身を見ていたのは確かだ。セヴランは、顔以外も愛されるよう、エヴリーヌにアプローチすれば良かったのだ。

 そうしたら、エヴリーヌはまるごとセヴランを愛しただろう。

 だが、もうどうにも巻き戻せない、過去の話だ。


 マリーズは機を見るのは上手かったが、敵にした相手が悪かった。

 虚仮にされたマレシャル家が黙ったままでいるわけがない。

 派閥も関係なく、伯爵家は圧力をかけられて瞬く間に没落した。資産を失い、爵位を売る羽目になり、王家から咎めを受けて売ることもできず、没収された。

 伯爵令嬢でなくなったマリーズは、元はといえば彼女の行動が原因のため、親族から大顰蹙を買い、放り出された。

 腰かけ女官の仕事と令嬢暮らししかしたことのない若い女性が、一人市井で生きていく方法など限られる。行く末は明らかだった。




 第一王子のその後など全く関心がなかったエヴリーヌは、シーズン中、数多の求婚者と面談をした。

 茶会、夜会、オペラ鑑賞、競馬。もろもろの社交場で、個人的に設けた場で、色々な人と交流した。

 その中で出会った一人の好青年――艶やかなチェスナットブラウンの髪に、透き通る水のような印象の瞳を持つ、ガエル。


 偶然か必然か、幾度となく顔を合せることとなった彼に、エヴリーヌは徐々に惹かれていった。


 顔の作りだけならセヴランの方が美しいだろう。

 だが彼は、他にはない生命力のような輝きを纏っていた。美しい心根を映す瞳は、エヴリーヌを愛しく思っていると雄弁に語る。

 穏やかだが優柔不断さとは無縁の、礼儀正しい紳士の彼は、その気質も優れていた。

 田舎の伯爵家の三男で、家を出たら平民となる。だから王都へ出てきて、事業を始めたばかりだという。そんな彼の事業は、言葉とは裏腹に運営が軌道に乗って、社交界に参加できるほど安定していた。

 念のため調べた公爵の調査結果でも、問題がなかった。


 爵位や地位は、エヴリーヌが望めばマレシャル家の持つものを父が譲ってくれるだろう。ガエル自身の収入だけでも、エヴリーヌは令嬢らしい生活を送っていける。


 セヴランとは別種の美しさと、それ以上の魅力を持つガエル。二人が恋仲になるまで、そう時間はかからなかった。




 秋の訪れが目前となった晩夏のある夜。

 とある公爵家主催の舞踏会に参加した二人は、夕涼みに庭園へと出た。

 そこでガエルはエヴリーヌへプロポーズをした。

 彼の手には、自身の瞳を写し取ったような宝石で作られた、美しいネックレスがあった。

 大ぶりの透き通った水色の宝石と、周りに添えられたダイアモンドが、きらきらと輝く。

 その煌めきは、最高潮に心ときめかせたエヴリーヌの気持ちを映したようだった。


「ガエル。嬉しいわ」

「それでは――」

「ええ。貴方と結婚いたします」

「ああ、ありがとうエヴリーヌ!」


 感極まってガエルはエヴリーヌを抱きしめる。

 その温かな腕の中で、喜びと安堵が胸いっぱいに広がる。翠の瞳に涙を浮かべたエヴリーヌは、愛に満たされて、これまでで一番美しかった。




 今度こそ想い想われる相手と婚約したエヴリーヌは、こののち長くガエルと幸せな結婚生活を送った。

 結婚当初はマレシャル家から爵位を譲られることを固辞したガエルだったが、後に、王国の経済発展の波に乗り、事業を拡大していき国内有数の資産家となり、自力で叙爵に至った。

 エヴリーヌは結婚して益々美しさを磨き、変わらず社交界を牽引する存在として、充実した人生を送った。


 愛していたが、恋はしていなかった。

 それに気付いてすぐに離れる決断をしたエヴリーヌと。

 後ろ盾は得たままで、愛する相手を別に置こうとしたセヴラン。


 まるで異なる選択をした二人の人生は、決別後、明暗を分けた。


 セヴランがその後どんな人生を送ったのか、書きとめた歴史書はない。

 王家の系譜には婚姻についての記載はなく、ただ生没年だけが記されている。






お読みいただきありがとうございました。

☆の評価、ブックマーク、感想、ありがとうございます!

誤字報告も助けになっております、感謝です。


追記:

2/21 総合日間ランキング1位、ジャンル別日間ランキング異世界〔恋愛〕1位

にランクインさせていただきました。

驚きとともに、感謝でいっぱいです。

☆評価、ブックマークをしてくださった皆様、ありがとうございました!



※2/20 ご指摘いただいたため後書きを変更いたしました

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王子の「無意識の傲慢」って言葉がブーメランすぎる
一味違った婚約解消物語といった感じで新鮮な気持ちで読めました!面白かったです。 エヴリーヌの性格はちょっとアレでしたが悪人なわけではないし高位貴族令嬢らしい高慢さといった程度だったので、王子はもうちょ…
[良い点] 出会いから別れまで、エヴリーヌが徹頭徹尾、強者の貴族令嬢で面白かったです! 恋愛ものでありつつも、令嬢と王子の明暗が人格でなく「貴族としての力量」で分かれるところが新鮮でした。 文中で第…
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