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美しき景色と予想外(3月20日改稿)

※4話に魔法取得アナウンスを追加。


今回ほんのちょっと長いです。

 看護師さんと病院の人達全員に申し訳なさを覚えた次の日の夜。


 とりあえず今日は昼間はおとなしくしていた。


 夜、あの状態で魔力を感じられたお陰なのか幽体離脱(仮)をしてない今の状態でも魔力を感じられる。


 そして昼間に【魔力操作】のスキルレベルを上げるために体の中にある魔力を操る訓練をしたかったのだが、何かの弾みで魔力を操れきれなくなって昨日みたいなことになったら困るからやめておく。


 そして、また夜がやってきたのだが………


「後は【吸魂】スキルだけか………」


 今日の夜は昨夜【魔力操作】でとんでもない失敗をやらかしちゃったからさすがにやる気になれない。


 というか絶対に病院では使わないし試さない。


 それで残りの使えるかわからない【吸魂】スキルなのだがこれは本当に使い方がわからない。


吸魂(こいつ)】はまず間違いなく【浮遊】みたいなにか意識しなくても自動的(オート)で使われるようなスキルじゃなくて【鑑定】みたいに使うときは意識しなきゃ使えないタイプのスキルだとおもう。


 だけど、昨日変わったことがあった。


 そうあの火災報知器の事故で病室が変わったことだ。


 なぜかわからないけど本能的な物なのか今の病室に移されてから病院にある中庭が気になるようになっていた。


 そして今居る病室は中庭が見える。


 前いた病室からだいぶ移動したから前いた病室からは一切見えることのなかった中庭が幽体離脱(仮)の状態なら見えるようになっていた。


 ………普通はベッドでも身体を起こせば窓から中庭は見えるはずなのだったが事故の大怪我で身体を動かす事も出来ないからな………


 そして、この【吸魂】スキルなのだが、問題は俺が魂なんて見たことないっていうのが問題だった。


 じゃあ見えるようにすれば良いと簡単に言う奴がいるかもしれないが、それができたら苦労しないんだよな………俺に霊感なんてないし………


 でも今はそんなこと言ってられないし、どうせやるなら見えてた方が都合が良いだろう。


 というわけで俺は一縷の希望をかけて中庭に向かってみることにした。


 それで移動してみて気付いたのだが、幽体離脱(仮)の状態だと普通に移動することができるみたいだ。


 今回移動しようと思って初めて知ったがこれは良いことを知れた。


 これからも入院中とかにつまらなくなったらこうやって移動しようと思う。


 そして体の方とラインが繋がっているとかはなく、離れる事が出来ない、その場から動けないなんていうことは一切なく自由に動けるみたいだ。


 今は3階から1階分降りて2階に来ているのだがこれ以上進めないなどはない。


 そして、中庭まで出てきたのだが……


「グヌヌ………何かがいるような気がするけど何も見えない………!」


 中庭まで出てきたのは良いんだけど何かいるような気はするが何も見えない。


 多分だがこれは感知系などのスキルがあればわかるのだろうと思うが、それっぽいスキルを取得したという通知は一切来ていない。


 それに取得もしていない。


 だが、きっと先人達も言っていたはずだ、スキルがないなら取得してしまえばいいではないかと。


「ステータス」


 ------

 名前:神山 空

 性別:男

 年齢:16歳

 種族:人間Lv.16/レッサーレイスLv.1

 職業:学生


 体力:160/240 魔力:110/110

 攻撃:26

 防御:20

 俊敏:36

 器用:46

 知力:79

 幸運:46


 所持SP100

 魔法スキル:【風魔法Lv.1】【火魔法Lv.1】

 取得スキル:【暗記Lv.4】【速読Lv.2】【柔術Lv.1】【鑑定Lv.3】

 種族スキル:【魔力操作Lv.2】【魔力増加Lv.1】【浮遊Lv.1】

 職業スキル:【知力強化Lv.2】

 固有スキル:【吸魂Lv.1】


 称号:境界の管理者とコンタクトをとりし者

 ------


 昨日のあの騒動で流してしまっていたが魔法スキルも無事に取得できていた。


 だけど今はそこじゃない。


 今、俺が注目したいのはスキル欄の上にある所持SPという項目だ。


 以前鑑定したときはSPはスキルポイントの略称でこれを消費すればスキルを取得できるという事が記述されていた。


 だけどこのSPも使い方の説明やらが一切なかったからわからないんだよな………


 とりあえずスキルの取得がしたいと念じてみる。

 ………なにもないな………


 仕方ないから次に俺は半透明のボードに映っているステータスの中の所持SPの所を指でタップする。


 取得可能スキル一覧

【剣術】 :10P

【短剣術】:10P

【大剣術】:10P

【槍術】 :10P

【弓術】 :10P

【盾術】 :10P

【斧術】 :10P

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

【水魔法】:30P

【土魔法】:30P

【光魔法】:50P

【闇魔法】:15P

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

【気配感知】:10P

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・


 どうやら正解だったみたいだ。


 所持SPの所をタップしたら取得できるであろうスキルがめちゃくちゃ出てきた。


 これも極一部でこれらのスキル以外にも本当にたくさんのスキルが取得可能みたいだ。


 取得可能なスキル、特に取得可能な魔法の取得のための必要SPにばらつきがある。


 光魔法が必要SPが高く、闇魔法は必要SPが低くなっている。


 ………これは………俺のレッサーレイスとしての特性かな?


 それとも得意な属性?


 確かにレッサーレイスが幽霊っぽいから日光とかには弱そうだし、闇属性の魔法は得意そうだからどっちでも頷けるんだよな~


 ………てかこの中から魂が見えるようなスキルを【鑑定】を使って効果を見ながら探すの?

 それっぽいの全部?


 ………やばくない?



 ***



 終わった………とりあえずめちゃくちゃある取得できるスキルの中から最初に名前的に該当するスキルを抜き出して、更にスキルを【鑑定】で見てやっと見つけたよ………


 予想通り本当に大変だった………


 本当に【鑑定】が使う時に魔力とかを消費するようなスキルじゃなくて本当に助かった。


【気配感知】や【魔力感知】とかはめちゃくちゃいい線行ってたんだけど俺が見つけたのはこのスキルだった。


【看破の魔眼】


 そう、看破の魔眼だ。


 ちなみにスキルの説明はこんな感じだった。


【看破の魔眼Lv.1】

 ・眼に魔力を集めることで使える。

 ・罠や隠された物を見つけられるようになる。

 ・見える物は眼に込める魔力に依存する。

 ・消費魔力はスキルレベルに依存する。


 こんな感じでなかなか使えるスキルだった。


【気配感知】や【魔力感知】のように見ないでも見つけることはできないが【看破の魔眼】なら今回みたいに何かを感じれさえすれば眼に流す魔力を増やすことで【気配感知】や【魔力感知】で見つけられない物を見つけられるかもしれない。


 まあ、これでスキル探しが終わったのだが、このスキル、なんと消費するSPが驚きの100P!


【気配感知】が10P、【魔力感知】が20Pなのに対して【看破の魔眼】は100Pと超高額!


 これを取得してしまったらSPがすっからかんになってこれ以外のスキルが取れなくなってしまうが、今回はしょうがない。


 それに魔眼にという言葉に心惹かれるんだ………


 それじゃあ、ポチッとな。


 取得可能スキル一覧と表示されている半透明のボードの中にある【看破の魔眼】をタッチする。


【看破の魔眼Lv.1】を取得しますか?

 YES/No


 すると確認のメッセージが表示される。


 断るわけもないのでもちろんYESっと。


『【看破の魔眼Lv.1】を取得しました』


 よし。

 ………お?


 YESを選択したら【鑑定】を取得した時のようになにかが入ってくるような感覚がした。


 これで【看破の魔眼】が使えるようになったはずだけど………


 まあ、とりあえず試してみよう。


「【看破の魔眼】」


【看破の魔眼】と宣言すると眼に自動的に魔力が流れて眼に魔力が込められる。


 すると次の瞬間には神秘的な光景が広がっていた。


 さっきまでは中庭は普通の中庭で月明かりだけが花や木々を照らしていたが、今はそれだけではなく青白く光っている蝶が鱗粉のような光る粉を薄くまきながら空を飛んでいた。


 そして雲1つない夜空にそんな青白く光る蝶がとても美しく見える。


「おおっ! すげぇ!」


 思わず声を出してしまったがそれほどまでに綺麗なのだ。


 そしてその幻想的で美しい景色の中にいて気づいた。


「………これが魂なのかな?」


 それらは俺とは違い青白く光っていて、俺とはまるで違ったような存在に見えた。


 だけど、やっぱり青白く光っている存在が魂なのだろう。


 そんなことを思いながらも俺は【看破の魔眼】を使い続けた。


 さっき【看破の魔眼】を使ったときに見えたのは蝶だけだったが辺りを良く見てみると蟻やカマキリといった存在も見える。


 それから数分後、俺は自分の身体に異変を感じた。


 体が怠い?


 最初は風邪でも引いたのかと思ったが絶対に違う。


 この幽体離脱(仮)の状態で風邪を引くわけがない。


 ………まさか………


「ステータス」


 ------

 名前:神山 空

 性別:男

 年齢:16歳

 種族:人間Lv.16/レッサーレイスLv.1

 職業:学生


 体力:160/240 魔力:43/110

 攻撃:26

 防御:20

 俊敏:36

 器用:46

 知力:79

 幸運:46


 所持SP0

 魔法スキル:【風魔法Lv.1】【火魔法Lv.1】

 取得スキル:【暗記Lv.4】【速読Lv.2】【柔術Lv.1】【鑑定Lv.3】【看破の魔眼Lv.1】

 種族スキル:【魔力操作Lv.2】【魔力増加Lv.1】【浮遊Lv.1】

 職業スキル:【知力強化Lv.2】

 固有スキル:【吸魂Lv.1】


 称号:境界の管理者とコンタクトをとりし者

 ------


 ステータスを見たところ、魔力がかなり減っていた。

 恐らく、というかほぼ確実にだがこの【看破の魔眼】が原因だろう。


【看破の魔眼】は相手の正体を見破ったり隠しているものを見つけることができるスキルだが、魔眼と名付いてる通り"魔力"を消費するスキルだ。


 それで俺はこのスキルを使って魂を見るために【看破の魔眼】を使い続けていた。


 その結果、俺は【看破の魔眼】に魔力を流し続けていたから俺の魔力が減り続けてこの状態になっているということか。


 魔力を消費し続ければ魔力が減るのは当然のことだから、このまま使い続けるといつか魔力がなくなってしまいそうだ。


 そうならないためにも俺は【看破の魔眼】の使用をやめた。


 それにしても魔力が減るとこんな怠さが襲ってくるのか………覚えておこう。


 そしてどのくらい時間が経っただろうか。


 正直さっきの景色はもう一回見たいという気持ちはある。


 だけど、今回の俺は【吸魂】の実験に来てるんだ。


 ある程度魔力が回復したのは感じている。


 さっきのような怠さも解消されている。


 多分これでしばらくはまた【看破の魔眼】を使えるだろう。


 あの幻想的な光景を俺が、俺のために崩してしまう。

 せめて見ていたかった、どうなるのか。


「【看破の魔眼】」


 また、あの幻想的な光景が見えるようになる。


 何回見ても見惚れてしまう。


 だけど………ごめん。


「【吸魂】」


 俺は【吸魂】のスキルを発動させた。


 そして、次の瞬間さっきまで見えていた幻想的な光景を作っていた要因である魂達が俺に向かって飛んでくる。


「うわっ!」


 予想していなかった事態に驚き、つい声が出てしまう。


「………あれ? なんともない?」


 何かしらの変化があると思っていたのだが何にも変化が起きない。


 どういうことかと考えていたが、そんなこと次の瞬間には考える必要もなくなっていた。


『【吸魂】のスキルを発動しました』

『蝶の魂の吸収を確認。経験値を6、【飛翔】のスキル経験値を獲得』

『蝶の魂の吸収を確認。経験値を6、【飛翔】のスキル経験値を獲得』

『蝶の魂の吸収を確認。経験値を6、【飛翔】のスキル経験値を獲得』

『種族Lv.が上がりました。レッサーレイスLv.2になりました』

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

「ちょっとm『【飛翔】のスキル経験値が一定値に達しました。【飛翔】スキルを取得しました。取得済みである下位スキル【浮遊Lv.1】を【飛翔】スキルに統合します。』

『完了。【飛翔】のスキルレベルが上がりました』

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

『蝶の魂の吸収を確認。経験値を6、【飛翔】のスキル経験値を獲得』

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

『【飛翔】のスキルレベルが上がりました。種族Lv.が上がりました。レッサーレイスLv.3になりました』

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

「ちょt『蟻の魂の吸収を確認。経験値を2、【怪力】のスキル経験値を獲得』

『蟻の魂の吸収を確認。経験値を2、【怪力】のスキル経験値を獲得』

『蟻の魂の吸収を確認。経験値を2、【怪力】のスキル経験値を獲得』

『蟻の魂の吸収を確認。経験値を2、【怪力】のスキル経験値を獲得』

『蟻の魂の吸収を確認。経験値を2、【怪力】のスキル経験値を獲得』

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

『【怪力】スキルを取得しました』

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

「も、もう止まってくれー!!!」


 俺は叫んだ。


 叫ばずにはいられなかった。


 今起きていることが信じられなかったからだ。


 こんなに大量の魂を吸収するなんて思わなかった。


 さっきから通知が止まらない。


 というか【吸魂】が止まる気配がない。


 だが、そんな俺の魂からの叫びが届くことはなく、それからしばらく通知が鳴り止むことはなかった。

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