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初めての魔法と異常事態?(3月20日改稿)

「さてさて、それじゃあ今夜はどうするかな?」


 あの後身体に戻った俺は前回の失敗を犯さないためにも何もせず、何も言葉を発さず肉体的にも精神的にも二度寝に該当するであろう睡眠を貪った。


 そして起きてからの昼間は【鑑定】のスキルを使って部屋の物を延々と鑑定し続けたのだが、【鑑定】のスキルがLv.3から上がることはなかった。


「………それにしても自分の意思で抜けたらこんな状態になるのか………」


 そして、今夜は初めて自分の意思で自分の身体から幽体離脱(仮)を行なった。


 その結果は成功。


 無事に幽体離脱(仮)は成功して大怪我をしている自分の身体からレッサーレイスとして出てきた。


 そして俺の身体は自分の意思で身体から離れたからなのか、それとも意識があるうちに身体から離れたからなのか、眼が半目になって起きてるのか起きてないのかわからない状態になってた。


 ………うん。まあ、大丈夫でしょ。


 いつも幽体離脱(仮)は寝ている間、勝手に起こってるけどなにも無いんだから大丈夫でしょ。


「今日は【鑑定】以外のスキルを試してみたいんだけど………」


 ここで俺のスキルを思い出してみる。


 そこで気づいた。


 なんということだろう。

 今のところ、俺が【鑑定】以外で試せるスキルが【魔力操作】、【浮遊】、そして固有スキルである【吸魂】だけなのである。


 だけど【浮遊】は言葉に出さなくても常時発動するタイプのスキルみたいで俺がこの状態になってから浮いているのはこのスキルが理由だろう。


 となると必然的にも【魔力操作】と【吸魂】の二択になるのだが【吸魂】は昨日も考えてたが魂を見たことないから却下。


 つまり強制的にに【魔力操作】一直線になる。


 魔力があることはステータスで確認したから魔力があるのはわかるのだが、感じたことは一切ない。


 ラノベとかでは身体の血液の流れを感じたりして魔力の流れを感じているが、俺の身体は現在はレッサーレイス。


 幽霊に近い存在だから当然、俺には血液なんてものはない。


 だけどこの体になったから感じられるようになったのか、本来心臓があるはずの場所に何か感じたことのないエネルギーのような物を感じる。


 これが魔力なのか?


「………ちょっと怖いけどやってみるか」


 もしこれで魔力だったら今後魔法とかも使えるようになるかもしれないし、とりあえずはやってみよう。


 そう思って俺はそのよくわからないエネルギーのようなものを左手の方へ動かすイメージをしてみた。


 すると今まで特にこの状態になってからも変化がなかった左手が微かに光りだした。


「お、おお! す、すげえ! まじで魔力だったのかよ!」


 心臓から手に向けて魔力だと思うエネルギーを動かしてみたら微かに光りだしたからちょっと楽しくなっちゃって、左手から右手、右手から右足、右足から左足、さらにはまた左手へ魔力を流していく。


『【魔力操作】のスキルレベルが上がりました』


 するとそうやって遊んでいるうちにスキルのレベルアップのための経験値が貯まったのか【魔力操作】のスキルレベルが上がった。


 こうやって遊んでいてまあ、察しはついていたけど心臓辺りの謎エネルギーが魔力ってことは確定か。


 まあ、これで魔力を使うコツはわかった。


 そして、結論から言うとイメージは血液の流れで良かった。


 なぜかと言うと今の俺は幽霊みたいな状態で血なんて通ってないけど普段は普通に生きている人間なんだから血液の流れをイメージするのは簡単だった。


 というか普通に中学生の時に習うだろうし覚えている通りの筋書きを通るイメージで魔力を動かしたら意外と簡単に魔力は操作することができた。


「よしっ! 次は魔法の練習でもするか!」


 魔力を動かすことにも慣れたから魔力を使うであろう魔法を使えるか試していこうと思う。


 まずは風を出す練習をすることにする。


 掌を前に付き出してそよ風ぐらいの強さの風をイメージして………


「………あれ?」


 ………おかしいな?


 なにも起きないぞ?


 頭の中では確かにそよ風ぐらいの風を出すイメージをしたのに風が吹くことがなかった。


「………あっ魔力を流してなかった………」


 なぜ魔法が発動しないのかはすぐにわかった。

 風が起きなかったのはイメージすることに集中しすぎて魔力を流していなかった事だ。


 ………集中しすぎてこんな初歩的な事を忘れるなんて………


 今度はしっかりと魔力を流して、もう1回ちゃんとした風の魔法をイメージする。


「ウィンド!」


 そう頭に思い浮かんできた言葉を唱えると掌から風が吹き出てきた。


 その掌から起こった風は部屋の中心辺りにいた場所から病室の窓のカーテンを揺らす。


『【風魔法Lv.1】を取得しました』


「うわぁー!! やべぇ! これ楽しいぃいいい!!!」


 正直魔法を自分で使うとは夢にも思っていなかったからめちゃくちゃ興奮するし楽しくなってくる。


 そして【風魔法】は魔力の流れを止めることで俺の掌から出ていた風は止まった。


 だけど俺は今まで使えることはなかった魔法が使えるようになったせいでテンションが上がってしまったからそのまま調子に乗ってとんでもないことを試してしまった。


「よっしゃあ! じゃあ次は火の魔法だろ!」


 そう言って俺は次にファンタジー物の魔法の中でも代表格である火の魔法を使おうとする。


 この時の俺は初めて魔法という絶対に手が届かない物を使えたことで興奮しすぎておかしくなっていたのだろう。


 ここで問題が発生する。


 それは今の俺の体がレッサーレイスみたいになっていることだ。


 俺の身体は今そこに寝ていて、今の俺の状態ははレッサーレイスに近い幽霊みたいになっている。


 つまりレッサーレイスのような特性になっているということ。


 俺の場合は幽霊とかのモンスターって人魂とかと一緒に登場するようなイメージがあった。


 だから【風魔法】のようなそよ風ではなく、結構しっかり人魂のような火を頭の中にイメージした。


 ………そう、してしまった。


 つまり明確にイメージしすぎたんだろう。


 そしてここは病室。


「ファイア!」


 俺の付き出した掌からはバスケットボールより一回り大きな火の玉が出現した。

 ………いや、これは火の玉って言うよりも炎の玉だな。


『【火魔法Lv.1】を取得しました』


「うおっ!?」


 そして俺の浮遊していた位置も悪かったのだろう。


 俺が浮遊していた位置は俺の体が寝ているベッドよりちょっと離れた部屋の中心辺り。


 そして部屋の中心辺りの天井には火災報知器があった。


 さらに【風魔法】を使ったときにカーテンが揺れていたことから幽霊状態でも魔法は普通に物などに影響することが確認出来てる。


 そして俺の想像以上の大きさになった炎の玉は火災報知器の反応するぐらいの熱になってしまい………


 結果………


 ピーッ、ピーッ、ピーッ、という音が鳴り響き、火事が発生したことを火災報知器が告げていた。


「ヤバイヤバイヤバイ!!!」


 直ぐに魔力を流すのをやめる。


 すると魔力の流れが止まった炎の玉は消える。


 だけど魔力の流れを止めたことで炎の玉は消えたが、俺には火災報知器を止めることはできない。


 そう判断した俺はまた聞こえた通知を無視して直ぐに自分の身体に戻る。


「はっ!」


 そして身体に戻り意識を取り戻すと部屋の外から誰かが走ってくる音が聞こえる。


「火災報知器がなっているのはここ!?」


「はい! ここです! ここから鳴っています!」


 夜勤でナースステーションにいたであろう看護師さん達が消火器を持って俺のいる病室に入ってくる。


「神山さんは!?」


 入ってきた看護師さんの1人であろう人の確認の声が聞こえてくる。


 そして仕切られてるカーテンを開けた病室に入ってきたさっき声を出した看護師さんとは違う看護師さんと目が合う。


「大丈夫です! 意識がありますしこっちに火元はありません!」


「火元は!?」


 後から入ってきた看護師さん達が部屋を見ていくが火元はない。


「ありません! 確認できません!」


「本当に!?」


「はい! 確認できません!」


 カーテンが開けられたから見れたが指示を出していた看護師のリーダーらしき人の困惑したような表情がみえる。


「………え?………どういうことなの?」


 その後、火元が確認できず誤報だと結論付けられたらしく誤報だったという放送が流れた後、俺は空いていた別の病室にベッドに横になりながら運ばれた。


 その時になぜ火災報知器が鳴ったのか知らないか聞かれたが、本当のことを言うわけにもいかず寝ていたから気付かなくて火災報知器が鳴ってから起きたから何も知らないと嘘をついた。


 俺が大怪我をしていたから動けるわけがないってことで俺の言っていることは直ぐに信じられ、新しく移された病室に事情を聞きに来ていた看護師さんは直ぐに去っていった。


 今回の出来事は対応した看護師さん達や病院にいる人達全員にとんでもない迷惑をかけてしまった………


 ………いや、もう………本当にすみませんでした………


 とりあえず絶対にもう病院では魔法の訓練はしないと心に誓った。もう二度とあんな騒動を起こすわけにはいかないからね。


 てか、本当に心が痛いです………

最後まで読んでいただきありがとうございました。

続きが読みたいって思っていただけたのならブックマークと広告の下にある☆☆☆☆☆に評価をしてくだされば作者のやる気がマシマシになりますのでぜひお願いします。

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