修羅場と包囲網
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本当にありがとうございます。
タイトル通りに表現できたかなぁ………?
不安だ………
「で、どういうことなんですか?」
「………説明して………」
「「カミヤマ様」」
雪奈ちゃんと玲奈ちゃんから睨まれながら質問される。
エスカリアさんとアーニャさんは見る人が見たら惚れる笑顔だ。
だけど普通の笑顔じゃないと思う。
正直言ってかなり居心地が悪い。
というか、どうしてこうなったんだろうか?
俺なにもしてなくない?
「あのですね、まず俺は婚約とかそういうのは一切していないので勘違いしないでいただきたいのですが………」
「空さん。それは無理があると思いますよ」
「……うん。私もそれはないと思う」
「いや、無理もないもなにも本当のことなんだけど………」
なんで信じてくれないかねぇ?
「雪奈ちゃんも玲奈ちゃんもなんでそんなに信じてくれないの………?」
「だって信じるもなにも………」
「………2人共左手の薬指に指輪を嵌めてる………」
そう言われて気がついた。
確かにエスカリアさんは左手の薬指に嵌めているのを確認している。
アーニャさんの指輪を嵌めている指を確認していなかったが今の玲奈ちゃんの言葉に従って確認すると確かにアーニャさんも左の薬指につけていた。
「「……」」
「………アーニャさん?」
「………はい。なんでしょうか?」
「なんでアーニャさんまでそこに指輪を嵌めてるんですか?」
「……特に理由はありませんが?」
「……ならせめて違う指に嵌めてください、エスカリアさんも」
「嫌です」
「お断りしますわ」
「……え?」
アーニャさんは少し微笑みながら即答する。
いや、なんでだよ!?
そこは素直にはいと言ってくれよ! なんで頑なに拒否してくるんだよ!?
これじゃあまるで…… そこまで考えて俺は頭を横に振った。
いやいや、ないない、そんなわけない。
「はぁ……とにかく、俺は婚約者なんかいないし、2人とはただの友達だから」
「う、嘘ですよね?」
「……絶対違う……」
「本当です!」
………どうしよう。
全然納得してくれなさそうなんですけど………
「と、とりあえず一旦保留ということじゃダメかな」
「……保留……」
「……分かりました……」
とりあえず今はそれでいいだろう。
2人は不満げだが、なんとかその場を凌ぐことができた。
問題の先送り?
そんなことこの場を凌げるなら問題ないんだよ! ………………多分……
とりあえず俺はこの後すぐに家に帰りたい。
なのでそろそろお暇したいのだが…… チラッと周りを見ると、そこには4人が俺を置いて話していた。
勿論雪奈ちゃんと玲奈ちゃん。そしてエスカリアさんとアーニャさんで4人だ。
いや~仲が良さそうで良かったな~さっきまでの恐ろしい雰囲気はどこに行ったのかというぐらい楽しげに喋っている。
俺のことなんてもう眼中に無いみたいだし。
まあいいけど…… それよりも俺が言いたいことは一つだけだ。
………誰か助けてぇ!! 俺をここから誰か連れ出してぇ!!
4人の雰囲気が気にならなくなったと思ったら周囲の人の視線が痛いです!
話してる内容は聞こえないけど明らかに俺の方を見て何かを話してる。
それに俺のことを睨んでくる人もいる。
「なにあれ?」
「修羅場?」
「リア充爆発しろ」
「○るか?」
………うん。
聞こえちゃったけど聞こえない方が良かったなこれ。
やっぱり帰ろう。
これ以上ここにいると本当に後ろから刺されそうだ。
まあ、今のステータスなら刃が通らなそうなんだけど。
それでも怖いものは怖いのだ。
「それでは皆さん。俺はこれで失礼するよ。あっ、会計はしていくからごゆっくりどうぞ~~」
そう言って俺は席を立ち出口に向かう。
その際、玲奈ちゃんと雪奈ちゃんはものすごい目でこちらを見てきたができるだけ目を合わせないようにする。
………すまん。
今の俺はここから逃げるのに全力を注いでるんだ………
「カミヤマ様、お待ちください」
「えっと………どうしました?アーニャさん」
「私達はカミヤマ様をお呼びしているのです」
「いや、でも……」
「カミヤマ様は私達より優先すべきことがあるのですか?」
「いや、そういうわけじゃないけど……」
そう言うアーニャさんの目からは強い意志を感じる。
それに他の3人も俺を凝視している。
「………はい。座らせていただきます」
結局俺は逆らうことができずに着席した。
それを見た4人は笑顔になる。しかし俺は気づいてしまった。
その笑顔には若干の俺に対しての威圧感が含まれていることに。
………これは逃げた方がいいかもしれない。
本能的にそう感じた俺は立ち上がりなりふり構わず逃げようとする。
だが……
ガシッ
今度は玲奈ちゃんとアーニャさんに腕をそれぞれ抱かれ立ち上がることは許されなかった。
なぜバレた!?
「……カミヤマ様。どこに行こうとしてるんですか?」
「……逃さない」
「いや、ちょっとトイレに……」
「………カミヤマ様、そんなに私達のことが嫌いなんですね」
「……空くんのバカ」
「いや、そんなことは無いけど……」
「……じゃあなんで逃げるんですか?」
玲奈ちゃんが悲しそうな顔で聞いてくる。
そんな顔をされると弱いのだが……
「いや、普通に周りの目が痛いし……」
「それはカミヤマ様に原因があると思いますよ」
「うっ……」
それを言われると言い返せない。
というかなんで俺が悪いみたいな言い方なんだ!?
………いや、周りから見たら今の俺って美少女4人を侍らせてる糞野郎か………
「それに、カミヤマ様がそんなに逃げようとしてる理由に察しは付きますがもう大丈夫ですよ」
「へ? なにが?」
「周りを見てください」
俺は言われた通りに周囲を見る。するとそこには……
「……あいつマジで死ねばいいのに」
「あの男ぶっ◯ろせ!!」
……なんか俺への殺意が高まっている気がします。
というか、いつの間にか店員さんまで俺のことを睨んでいる。
やめて! 俺に恨みを持つ前に自分の仕事に戻って! このままだと本当に刺されかねないから!
「と、いうことですのでもう安心していいんですよ」
「いや、まったく安心できないんだけど? むしろさっきよりも命を狙われてるんだけど? どう安心しろと?」
しかもまだ腕は解放されてないしね! もうそろそろ離してほしい。
あと、玲奈ちゃんとアーニャさんの胸が当たっているのも気にしないようにするので必死だ。
………だって相手は最近高校生になったばっかりの子だよ?
そんな子に興奮してたらマズイでしょ。
………正直言ってアーニャさんはその防波堤がないからとってもマズイです。
「それよりも空さん。そろそろ本題に入りましょうか? 後アーニリカさんと玲奈は空さんを離しましょうか?」
………雪奈ちゃん、酷くない?
俺の命の危機を流したよね?
「………うん………それがいい………あと腕は離さない」
玲奈ちゃんはそう言って更に力を込めてくる。
痛くはないが意識しないようにするのが大変だ。
そして、アーニャさんは少し残念そうな顔をした後すぐに手を放してくれた。
……うん。
ありがとうございます。
だけどやっぱり寂しく感じる。
「………もういいや。それで? 空さん、オースターさんとアーニリカさんはなんで空さんの家に居候してるんですか?」
「えっとね………」
それから俺は今までの経緯を嘘を交えて簡単に説明した。
本当のことを言うわけにはいかんでしょ。
それにこの子達は信じてくれるだろうから。
まあ、信じてくれなかったらその時はどうしようもないな。
そう思いながら俺は話をする。
エスカリアさんとアーニャさんは日本に来たが手違いで日本に居る間泊まるはずだった宿泊先に泊まれなくなっていて、たまたま知り合った俺の家に来て居候してるということ。
「………納得」
「そういうことだったんですか」
「そういうことなんだよ。だから俺の家にに2人が居候してるんだよ」
「わかりました。でも、もし何かあったらいつでも連絡ください。協定を結んだので2人が困ったら私達が出来る限り協力しますので」
「ああ。ありがとう。その時はよろしく頼むよ………って協定? なにそれ?」
俺は玲奈ちゃんの言葉に首を傾げる。
それにつられて玲奈ちゃん以外の3人も玲奈ちゃんも目を合わせて微笑みだした。
え?なに気になるんだけど。
教えてくれないかな~って思いながら4人を見つめていると……
「それは教えられません」
「………秘密」
「ふふっ、女の子の秘密は知りたいものじゃないですよ」
「カミヤマ様……諦めてください」
「「「「ね~」」」」
4人から一斉に言われてしまった。
だが、1人だけならともかく4人に言われてしまうと無理に聞けないな。
ていうか君達随分と仲が良いね?
さっきまでめちゃくちゃ雰囲気が怖かったじゃん。
……いや、今はそんなことはいいか。
あの怖い雰囲気が無くなったんだから。
「わかったよ。じゃあそろそろ帰るか。時間も結構経ってるし」
俺は時計を見ながら言う。
すると4人は不思議そうな顔をする。
「あれ? もうそんなに時間が経ってましたか?」
「……そんなに長く話してたっけ?」
「そう………みたいですわねかなり時間が経っていますわ」
「……楽しい時間はあっという間ですね……」
……いや、俺的にはもっと早く終わってほしかったけどね?
とりあえず4人を先に出てってもらって会計をして店を出る。
雪奈ちゃんと玲奈ちゃんは自分の分は払うって言ってくれたけど先輩だし何より女の子に払わせるわけにはいかないからまとめて会計した。
そして会計の際に店員さんから舌打ちされたのは多分気のせいだと思う。
そして店の外に出ると、4人は仲良く談笑していた。
「じゃあそろそろ帰らなくちゃ。今日はありがとうございます空さん。またねエスカリアさん、アーニリカさん私達は負けないよ」
「………バイバイ」
「おう。じゃあね」
「受けて立ちますわ」
「私達も負けるつもりはありません」
そう言って雪奈ちゃんと玲奈ちゃんと俺は電話番号を交換してから2人は歩いていった。
………なんだろう………死にはしなかったけど、なんというかとんでもない問題を見逃した気がする………
俺大丈夫だよね?




