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やばい奴だよこいつ………

 そしてまたまた次の日。


 また楽泉山にやってきた俺は、また【飛翔】スキルを使ってゴブリンを【風魔法】で倒した場所まで飛んできた。


 そして手にはまた草刈り用の鎌を持っている。


 今回は接近されたときのために前回のレベルアップで貯まったスキルポイントで【鎌術】のスキルを取得した。


 本当は【気配感知】のスキルも欲しかったがさすがにポイントが足らない。


「よし! 今日もやるか!」


 そう言ってまた昨日と同じ場所に降りた。


 最近はゴブリンを倒す度に強くなっていく感覚が気持ちよくなってきている。


 だからか倒すことに抵抗感がなくなってきている実感もある。


 最初はゴブリンとはいえ生き物を殺すという行為に忌避感があったけど、今では何も感じない。


 これがレベルが上がり続けるということなのか、それとも俺がレイスという特性を持っているからなのか。


 ただ昨日戦ってみて分かったが、ゴブリン相手ならスタミナが続けばいくらでも戦えるということだ。


 それはレベルが上がったことで身体能力が強化されているからだろう。


 ゴブリンの攻撃力では俺に不意打ちで攻撃を加えても俺にはそこまで効かないし、仮に攻撃が通ったとしても【物理攻撃耐性】のスキルがある。


 それに【吸収】スキルのおかげで攻撃を加えれば相手の体力を奪って体力に吸収することができるからゴブリン相手なら体力がなくなることもほとんどないだろう。


 つまり死ぬというリスクがほぼなく俺は強くなることができるのだ。


 そう思うとどんどん戦いたくなってくる。


 もっと強くなりたい。


 ただ、早く倒さないと楽泉山だけでなく、山から町の方までゴブリン達が降りてくるかもしれないし俺みたいに進化した個体がいるかもしれない。


 そう考えると早めに倒した方がいいかもしれないな。


 そんなことを考えながらまた俺はゴブリンを探すために森の奥へと入っていった。













「【ウィンドアロー】!」


「グギャッ!!」


 森の中に入って少し歩くと早速ゴブリンを発見した。


 今度も1匹だったが、今回はかなり距離がある。


 だから今回は俺が不意打ちをさせてもらった。


 俺の掌から放たれた【ウィンドアロー】は離れていた距離など関係ないとばかりに少し勢いは下がっている気はするが外れることなくしっかりゴブリンに着弾し、またゴブリンを吹き飛ばす。


 すると俺の【ウィンドアロー】を食らったゴブリンは起き上がってくることはなかった。


 だけど、昨日のように塵になることはなく体が残っている。


 ……どういうことだ?


 そう思って近付いてみるとどうやらまだ息はあるようだった。


 今回は距離があったからか【ウィンドアロー】の威力が下がったのだろうか?


 だがダメージが大きかったようで動けないようだったのでそのまま鎌を振り下ろしてとどめを刺す。


「……まあとりあえず経験値ゲットだ」


 俺はそのゴブリンの死体を見ながら呟く。


 するとまた魔石を残して体が塵となってゴブリンの死体は消えていった。


 ……今回はレベルアップのアナウンスが聞こえてこなかったな。


 レベルは上がらなかったか……


 それを確認した俺は【吸魂】スキルを使う。


『ゴブリンの魂の吸収を確認。経験値を568、【棍棒術】のスキル経験値を獲得』

『職業レベルが上がりました。魔法使いLv.7になりました』

『スキルポイントを1獲得しました。』

『職業レベルが上がりました。魔法使いLv.8になりました』

『スキルポイントを1獲得しました。』

『【棍棒術】のスキルも経験値が一定値に達しました。【棍棒術】のスキルレベルが上がりました』


「ふぅ………」


 1つ目と2つ目のレベルアップ、【棍棒術】のスキルレベルアップのアナウンスを聞いたあと俺は一息つく。


 やはりこのアナウンスを聞く度に自分が強くなっていることを感じる。


 これで今回獲得したスキルポイントで取得したかった【気配感知】のスキルを取得できるな。


 これでまた俺のレベル上げの幅が広がるはずだ。


 後不意打ちも大分気づきやすくなる。


 さっそく取得しようと思ったその時、急に嫌な予感と同時に悪寒を感じた。


 これは境界の管理者さんからのメッセージを受け取った時と朝のニュースを見たときに感じたのと同じ………!


 そう思った瞬間、目の前の木の上がガサガサと音を立てて揺れ、なにかが飛び出してくる。


 それは斧を持ったゴブリンだった。


 そいつは醜い顔を歪ませて笑っているように見える。


 だが、ただのゴブリンだとはとても思えなかった俺はステータスが上がったおかげで上昇した身体能力を駆使してなりふり構わず全力で転がるように横に避けて膝を突く。


 その直後、つい一瞬前まで俺がいたところにゴブリンの持った巨大な斧が振り下ろされた。


 あんなもの食らってたら頭が真っ二つになって一撃で死んでしまうだろう。


 もしあのタイミングで避けられていなかったらと思うとゾッとする。


 しかし、避けただけでは安心できない。


 今のゴブリンは明らかに俺を狙ってきていた。


 あの嫌な予感と悪寒がなかったら俺は確実に死んでただろう。


 しかもそのゴブリンは普通ではなかった。


 普通のゴブリンよりはるかに大きい体格をしていたし、顔もまるで鬼のような恐ろしい形相をしている。


 身長も160cmほどあるだろう。


 普通のゴブリンよりはるかに大きな体格をしているこいつは俺の身長(180cm)ほどありそうな大斧を振り回している。


 明らかに異常だ。


 こんなゴブリン見たことがない。


 そもそもなんなんだこいつ!?


 俺の知っているゴブリンはここまで大きくなかったし、顔だってそんな鬼みたいな形相ではなかった。


「………【鑑定】」


 俺はすぐに【鑑定】を使ってステータスを見る。


 ------


 名前:なし

 性別:♂

 種族:ホブゴブリンLv.6


 体力:680/680 魔力:20/20

 攻撃:268

 防御:158

 俊敏:96

 器用:54

 知力:47

 幸運:24


 所持SP21

 魔法スキル:なし

 取得スキル:【棍棒術Lv.4】【大斧術Lv.1】

 固有スキル:なし


 称号なし


 ------


「ホブゴブリン……!?」


 ホブゴブリン!?


 嘘だろ!?


 恐れていた事が起きてしまった。


 確実にゴブリンの進化種だ。


 さらに後ろから数体のゴブリンが出てきた。


 それを見た俺は慌ててゴブリンから距離を取るために立ち上がってバックステップをして距離をとる。


 幸いにも後ろにいるゴブリンよりもステータスは圧倒的に高いし、ホブゴブリンに攻撃ステータスに対して防御ステータスが負けているがそれ以外は基本的に俺の方が高い。


 なら逃げられる可能性は高いはずだ。


 俺はそう考えて急いでこの場から逃げるためにアイテムボックスに鎌をしまってから全速力で走る。


「グギャァア!」


 すると俺の背後からそんな声が聞こえてきた。


 どうやら俺を追いかけてくるようだ。


「くそっ」


 俺は走りながら毒づく。


 俊敏ステータスは勝ってるからホブゴブリンとは少しずつ距離は離れているしゴブリン達はかなり後ろにおいてかれている。


 だが、このままじゃまずい。


 なんとかしないと……


「そうだ……【飛翔】」


 空を飛べば逃げ切れるかもしれないと思い俺はそのまま【飛翔】を発動する。


 すると俺の体は宙に浮かび上がった。


 よし、これならいけるか?


 そう思った瞬間、突然背中に衝撃を受けた。


「うぐっ……」


「グギャァ………」


 何が起きたのか理解できなかったが、振り返るとそこには斧を投げ捨てたと思われるホブゴブリンの姿があった。


 おそらくホブゴブリンはあの斧を捨てて俺の背中に飛び付いたのだろう。


 にやつきながら俺の首に腕を回して背中に張り付いている。


「離せ! クソ野郎!!」


 俺はそう言いながら暴れるが、ホブゴブリンはしっかりと俺を捕まえていて離れない。


 加えて首を絞めようとしてくる。


「ぐっ!!」


 このまま飛ぶわけにもいかずホブゴブリンを振り落とすために俺は必死に抵抗した。


 俺もやられっぱなしというわけでもなく【柔術】スキルのおかげで上手く体を操って関節技をかけたりしてホブゴブリンの行動を封じる。


 そしてしばらく格闘しているとついにホブゴブリンの腕の力が弱まり俺は脱出することに成功した。


「よし!」


 そしてそのまま地面にホブゴブリンを叩きつける。


「グギャッ!!」


「へ?」


 叩きつけたと思ったらホブゴブリンは腕の力だけで起き上がってきた。


 俺はその光景を見て唖然としてしまう。


 しかも、よく見るとそのホブゴブリンはそこまでダメージを負っているようには見えなかった。


 ホブゴブリンはピンピンしてるし、さっき投げ捨てた斧を拾って振り回して俺に殺気を向けてきている。


「………うそ~ん………」


 俺はあまりの出来事にそんな言葉しか出てこなかった。


 ………これは俺に倒せるのか?

最後まで読んでいただきありがとうございました。

続きが読みたいって思っていただけたのならブックマークと広告の下にある☆☆☆☆☆に評価をしてくだされば作者のやる気がマシマシになりますのでぜひお願いします。

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