無双とワンモアタイム(4月2日改稿)
ゴブリンを見た俺はすぐに【鑑定】を発動する。
【鑑定】の結果はこうだ。
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名前:なし
性別:♂
種族:ゴブリンLv.6
体力:160/160 魔力:10/10
攻撃:110
防御:40
俊敏:20
器用:10
知力:5
幸運:10
所持SP5
魔法スキル:なし
取得スキル:【棍棒術Lv.1】
固有スキル:なし
称号なし
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名前:なし
性別:♂
種族:ゴブリンLv.6
体力:160/160 魔力:10/10
攻撃:115
防御:45
俊敏:15
器用:5
知力:5
幸運:10
所持SP5
魔法スキル:なし
取得スキル:【棍棒術Lv.1】
固有スキル:なし
称号なし
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名前:なし
性別:♂
種族:ゴブリンLv.6
体力:160/160 魔力:10/10
攻撃:100
防御:35
俊敏:35
器用:10
知力:5
幸運:10
所持SP5
魔法スキル:なし
取得スキル:【棍棒術Lv.1】
固有スキル:なし
称号なし
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これがゴブリンのレベルか。
思った通りゴブリンは複数匹いた。
同じレベルでもステータスが結構バラバラだ。
そして、ステータスを見て分かったことは、やはりゴブリン達はステータスが低いという事だ。
しかし、レベルだけは上がっている。
恐らくだが、このゴブリン達も俺と同じでレベルを上げたら進化するんだろう。
何レベルで進化するか分からないからできれば進化してステータスが上がる前に倒しておきたい。
そんなことを考えている間にもゴブリン達は幽体離脱(仮)状態の俺に気づくことなく俺の横を通っていってしまう。
「あ、ちょっと待て!」
そう言って俺は慌てて後を追う。
考えるのは後だ今すぐこいつらを倒さないとまた犠牲者が出る。
そんな予感がした。
俺は急いでゴブリン達の後を追った。
今すぐ倒さなかったら他にいるかもしれないゴブリン達と合流してしまうかもしれない。
だけどできるのか俺に?
確かに魔法はあるし姿はゴブリン達は見えていない。
すり抜けてしまうから俺の高い攻撃ステータスが無駄になってしまうがそれを気にしている場合じゃない。
ここで仕留めなければまた被害が出てしまう。
そんな考えが頭をよぎる。
でも、本当にそれでいいのか?
「……」
一瞬立ち止まって考えた。
その隙をついてゴブリン達が更に俺から離れていき、ついに追加の2匹と合流してしまう。
ダメだ!
迷っている暇はない!
このままだともっと多くのゴブリンが集まってしまう。
そう思った俺は右の掌を突き出しながら頭に浮かぶ魔法をそのまま唱える。
「クソッ!【ウィンドアロー】」
覚悟を決めた俺はとりあえず1番近くにいるゴブリンに向けて風の矢を放つ。
【風魔法】のレベルは1だが、それを抜きにしても俺は知力のステータスが高いからそれなりに威力は出るだろう。
そう考えながら俺の手からは風の矢が現れ、それがゴブリンの背中に向かって飛んでいく。
よしっ!
狙い通りに飛んでいった!
そう思った次の瞬間【ウィンドアロー】が背中に当たったゴブリンは体が吹き飛んだ。
「え?」
なんとレベル1の魔法のはずの【ウィンドアロー】が当たったゴブリンはそのまま倒れてしまったのだ。
どうやら俺の知力が高すぎて【ウィンドアロー】がとんでもない威力になっていたらしい。
そして、【ウィンドアロー】が当たったゴブリンは死んだのか確認する必要もなく確実に即死だった。
「ギャギャギャッ!!」
「グギギャギャ!」
「ギギャ!」
「グギギャッ! グギャッ!」
これならいけそうだなと思ったその時、後ろの方にいたゴブリンが死んでいる仲間の死体を見つけてしまい怒り狂ったように叫び仲間を殺した奴を見つけようと辺りを見回す。
「2匹目…【飛翔】、【ウィンドアロー】!」
2回目の【ウィンドアロー】を今度はゴブリンの真上から発動する。
すると、さっきと同じように【ウィンドアロー】がゴブリンに当たり、今度は体ごと地面に叩きつけられ絶命する。
「3匹目! 【ウィンドアロー】!」
そして、3回目の【ウィンドアロー】も上からゴブリンを地面に叩きつける。
3匹のゴブリンを倒したところでやっと残りの2匹のゴブリンは逃げることを選択したようだ。
だが、逃すわけにはいかない。
そう思って4回目の【ウィンドアロー】を発動する。
「4匹目! 【ウィンドアロー】!」
4匹目のゴブリンは声も出さず、【ウィンドアロー】をくらい、そのまま倒れた。
これで残りはあと1匹だ。
「グギャァアアッ!?」
1匹残ったゴブリンは恐怖を感じたのか今までにないスピードで逃げていく。
他のゴブリン達とはスピードが違ったからさっき【鑑定】したときにいた俊敏のステータスが高い個体なんだろう。
それか火事場の馬鹿力ってやつか。
しかし、ゴブリンが逃げた先には運悪く、深い穴のような亀裂があり、ゴブリンはそこから落ちていった。
「6匹目は流石にいないか……」
俺はホッとしてその場に座り込む。
結果的に見れば5匹全て倒しきった。
『ピコン』
『種族レベルが上がりました。レイスLv.2になりました』
『スキルポイントを2獲得しました』
『種族レベルが上がりました。レイスLv.3になりました』
『スキルポイントを2獲得しました』
『種族レベルが上がりました。レイスLv.4になりました』
『スキルポイントを2獲得しました』
『種族レベルが上がりました。レイスLv.5になりました』
『スキルポイントを2獲得しました』
『種族レベルが上がりました。レイスLv.6になりました』
『スキルポイントを2獲得しました』
『種族レベルが上がりました。レイスLv.7になりました』
『スキルポイントを2獲得しました』
『種族レベルが上がりました。レイスLv.8になりました』
『スキルポイントを2獲得しました』
『種族レベルが上がりました。人間Lv.25になりました
『スキルポイントを2獲得しました』
おぉ、一気に経験値が入ったみたいだな。
「それにしても、倒した死体をどうするかな………」
倒したゴブリン達をどうするか考えていると、ふとあることに気づいた。
あれ?
さっきまであったゴブリンの死体は?
辺りを見渡すがゴブリンの死体はどこにも見当たらない。
「え? どこいったんだ?」
倒したゴブリンの死体があった場所に行ってみる。
「やっぱりないよな」
そこにはゴブリンの死体は跡形もなく消えていた。
どういうことだ?
俺が倒したから消えたのか?
その辺りを少し深く見てみる。
「ん?なんだこの玉みたいなの」
ゴブリンの死体がちょうどあった場所に球体のようなものを見つけた。
「これはなんなんだろう? 石?」
まあ、まずは【鑑定】だな。
「【鑑定】」
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名前:魔石(小)
説明:魔物の体内に生成される魔力の結晶。
魔力濃度が高く純度も高いため魔法を使う際の媒体などに重宝される また、加工することで様々な用途で使用される。
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なるほど、これが魔石でゴブリン達の体内にあったというわけか。
確かによく見ると綺麗な球形をしているし、大きさもビー玉くらいしかないから使い道は、限られるけど色々と使えそうだな。
とりあえず持って帰ってみよう。
でも、どうやって持っていこうか……
今の状態じゃ物に触れないからどうしようもないんだよな……
他の死体も見てきたがやっぱり魔石があるだけだった。
まあ、とりあえず試したい事があるからそっちから試してみようかな。
「【看破の魔眼】」
そう言って自分の目に魔力を回すと見えるようになるものがある。
見えたのは青白く光る物体。
そう、魂だ。
試したいのは【吸魂】スキルを魔物の魂に使ってみたらどうなるのかだ。
これを使えば範囲内の魂全てを吸収するから近づかなくても試せるはずだ。
「【吸魂】」
すると、付近にあったゴブリンの魂が俺に飛んできて吸収される。
「おっ! できた!」
『ゴブリンの魂の吸収を確認。経験値を548、【棍棒術】のスキル経験値を獲得』
『ゴブリンの魂の吸収を確認。経験値を548、【棍棒術】のスキル経験値を獲得』
『種族レベルが上がりました。レイスLv.9になりました』
『スキルポイントを2獲得しました。』
『種族レベルが上がりました。レイスLv.10になりました』
『スキルポイントを2獲得しました。』
『ゴブリンの魂の吸収を確認。経験値を548、【棍棒術】のスキル経験値を獲得』
『種族レベルが上がりました。人間Lv.26になりました』
『スキルポイントを2獲得しました』
『ゴブリンの魂の吸収を確認。経験値を548、【棍棒術】のスキル経験値を獲得』
『【棍棒術】のスキル経験値が一定に達しました。【棍棒術】スキルを獲得しました』
『種族レベルが上がりました。レイスLv.11になりました』
『スキルポイントを3獲得しました。』
『ゴブリンの魂の吸収を確認。経験値を548、【棍棒術】のスキル経験値を獲得』
『ゴブリンの魂の吸収を確認。経験値を548、【棍棒術】のスキル経験値を獲得』
『種族レベルが上がりました。レイスLv.12になりました』
『スキルポイントを3獲得しました。』
う~んすごいなこれは。
一気にレベルが上がったぞ。
あれ? まだ来てる?……ん゛? 多くね!?
【吸魂】も終わったかと思ったらまだ魂らしき物体がめちゃくちゃ俺の方に飛んできていた。
『蟻の魂の吸収を確認。経験値を2、【怪力】のスキル経験値を獲得』
『蟻の魂の吸収を確認。経験値を2、【怪力】のスキル経験値を獲得』
︙
︙
︙
『蟻の魂の吸収を確認。経験値を2、【怪力】のスキル経験値を獲得』
待って待って待って。
多いよ多いよ。
これじゃあまた病院の時みたいに……!
あー! 止まらねー!
***
そうだよね。
うん、山の中だもん病院の中庭よりはいろんな生物が生きて、死んでいっているんだからそりゃこうなるわ。
それにしても、ゴブリンの魂は本当にすごいな経験値がゴブリン本体より多いんじゃないか?
これなら他の魔物も倒せば簡単にレベルを上げられそうだ。
というか普通に街中や山で使ってるだけで簡単にレベルとスキルが上がりそうだな。
「よし、次はこの魔石をどうにかしないとな」
この魔石も色々使えるみたいだし持って帰りたいところだけど、幽体離脱(仮)の状態だと持ち運べないしな……
それに日も落ちてきた。
……そろそろ帰らないとまずいか。
【飛翔】スキルで飛んで俺の体がある所まで全力で飛ぶ。
途中で魔法を使っていたのもあって自分の身体に帰るまでに魔力切れを起こしかけたが、なんとか飛びきれた。
そして、俺は自分の体に戻ってきた。
その後は全力で自転車をこいで爺ちゃんが帰ってくる前に家まで帰ってこられたのだった。