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探索と真実(4月2日改稿)

 さて、規制線の内側に入る事はできたけどこれからどうするか。


 入ることはできたけど入るために幽体離脱(仮)の状態で来てしまっているから何かを見つけても触ることはできないしな~


「とりあえず、何かないか探すか……」


 触ることはできないがとりあえず探す事はできる。


 その後はなにか見つけたりしたら【飛翔】スキルで夜に飛んできて回収したりしても良いしな。


「境先生の話によると穴が掘ってあったりするらしいから、まずはそれを確認したいな」


 他にも草が結んであったりするらしいし、穴にも言えることだがそれらは確実に俺の視界の下の方―――つまり地面にそれらがあるはずだし、かなり草も生えているからそれらに紛れていて普通は見つけることは中々難しいと思う。


 だけどあいにく、俺は普通じゃない。


 俺には心強いスキル、【看破の魔眼】がある。


【看破の魔眼】は先日【鑑定】した通り、見えないものを見つけられるようにしたりする他に、罠も見つけられるようにすることができる。


 見えないものを見つけられるようにする方が駄目だったとしても、境先生の話によると掘ってある穴や草が結んであったりするのは人為的な行為らしいから罠と判定されて【看破の魔眼】が反応してくれるかもしれない。


 そうすれば反応さえしてくれればこの辺一帯を丸裸にしてやることができるぜ!


 ……いやまぁ、流石にそんなに上手くいくわけがないんだけどね?


 それでも何もしないよりかはマシだろう。


 という事で早速探索開始だ。


 あー、でも、もしこれが本当にただの穴だったら恥ずかしいな~


 まあ、そんなことは絶対に無いけど。


 そして探索開始から数分後。


「おぉ……これは……」


 予想通りというか、なんと言うか、俺の目論見通りに罠が見つかった。


 それも2つとも。


 見つけた場所が赤く光っていて、かなり分かりやすかった。


 1つ目は穴。


 確かに分かりにくく落とし穴というレベルの穴ではなく確かに気づかなかったら足が引っ掛かって転んだり足を挫いてしまうだろう。


 具体的には直径約15cm深さ約10cmくらいの穴だ。


 2つ目は草が結んである物だ。


 これはかなり性格が悪かった。


 他の背の高い草に隠れていて【看破の魔眼】が無かったら絶対に見つからなかったと思う。


 しかも数本で結んであって簡単にちぎれるようなイタズラなどで使うタイプじゃなくて、何本も草を纏めて結んであったから引っ掛かっても簡単にはちぎれないタイプだった。


 そして実際に見て確信した。


 これらは確実に人為的に作られたものだ。


 こんなものが自然にできるはずが無い。


 境先生が言っていた通りだったな。


 こうなってくると事件現場が見たくなってくる。


 こうやって罠と言えるものがこの辺に作られているんだからここで起きたらしい殺人事件とまったくの無関係だとは到底思えない。


 一応、確認のために事件の起こったと思われる場所に移動することにした。


 そしてしばらく探しながら歩くと事件のあったであろう場所に着いた。


 近くに現場を見に来たであろう警察関係の人が多くいた。


 あの時規制線の中に入らないように見ていた警察官も、マスコミも俺が幽体離脱(仮)の状態だと見えていなかったし、今もこれだけ多くの警察の人がいて俺の姿が見えてないんだから本当にこの状態だと見えていないことが分かる。


 ちなみに、当然ながら今の俺の状態は幽体離脱(仮)のままだから誰かから見えるわけもなく声をかけられたりすることも無かった。


「えっと……確かこの辺りだったよな?」


 周りにいる人たちに見つからないように少し離れた所に移動して事件について調べ始める。


 人が集まっていたのでその辺を【看破の魔眼】で見れば簡単にわかった?


 そして見つけた。


「あった………」


 穴だ。


 さっき見つけたような穴がここにもあった。しかも1ヶ所だけじゃなく2ヵ所もある。


 どうやらこの近くで事件が起きたというのは間違いなさそうだ。


 だけど肝心なことがまだ分からない。


 何故こんな所に穴を掘ったのか。


 この穴を作った犯人は何者なのか。


 この穴を見ただけでは分からない……!


「そうだ! 【鑑定】スキルを使えば! 【鑑定】!」


 そう思った俺はすぐさま【鑑定】を使ってみた。


 すると――


 ------

 名前:不明

 説明:ゴブリンによって雑に掘られた穴。獲物を転ばせる。

 ------


 衝撃の内容がそこにはあった。


 ゴブリン………だと?


 いや待て、落ち着け俺。


 まだ慌てる時間(とき)じゃない。


 そもそも俺がここに来た理由はなんだ?


 そう、穴を見つけるためだ。


 なら、この穴は俺の目的を達成するために必要なものだということになる。


 それによく考えてみろ。


 この世界にゴブリンなんて魔物はいないはずだ、きっと【鑑定】スキルが間違えてる………


 ………いや、待てよ。


 確か境界の管理者さんからのメッセージにレッサーレイスだけじゃなくてゴブリンも入ってきたって…いって…た…よ、な。


 つまりこの穴は【鑑定】スキルの間違いでもなんでもなく俺に統合されたレッサーレイスと同じ異世界から来たゴブリンによって作られたことになる。


 それってつまり……


 レッサーレイスに続いてゴブリンもここにいてこの穴とかを使ってなにかをしていて、この事件にほぼ確実に関係してるって事だよな………


「嘘だと言ってくれよ……」


 俺は思わず呟いていた。


 昨日からの俺の嫌な予感と、あの管理者さんからのメッセージを受け取った時の俺の嫌な予感は合っていた事がこれで証明された。


 だが、いくら嘆いても状況は変わらない。


 とりあえずもう一度穴を見てみる。


 効果は『獲物を転ばせる』か……


 多分だが、転ばされただけでは特になにもないんだろう。


 恐らくだが、転んだ際に頭を強く打たせたりして殺したり、気絶させたり、足を挫かせてその場から動けなくするのが目的なんだろう。


 または張り込んで罠にかかった獲物を狩ったりな。


 そして、これがあるって事はこの近くにはゴブリンがいる可能性がある。


「うわぁー……マジかよ……」


 もしいるとしたらこの近くなのは間違いないだろう。


 そしてこの付近には普段、他の人はほとんどいない。


 今だって警察関係者以外はほとんどいない。


 つまり、この付近にゴブリンがいた場合、目撃者はほぼ0人になる可能性が高い。


 いや、仮に誰かいたとしてもゴブリンのステータスが分からないが魔物である以上、一般人よりはステータスが高いだろう。


「ヤバいな」


 下手したらこのままだとまた被害者が出るかもしれない。


 それだけは絶対に阻止しなければならない。


 警察や自衛隊が倒してくれるのがありがたいが、不確定要素が多いから俺がやった方が確実だ。


 俺には魔法があるしこの状態ならゴブリン達も見えないだろ。


 そう思い俺は警察の人達のいるこの場所から急いで離れることにした。


 しかし、離れようとした時にふと思った。


「あれ? 別に急ぐ必要無くね?」


 今俺は幽体離脱(仮)の状態だから、誰にも気付かれずに移動することだってできるんだから急ぐ必要ないな。


「よし、じゃあ行くとするかな」


 というわけで、俺は早速移動することにした。


 場所はさっきの穴があった場所の近くにする。


 理由はさっきの場所が穴が掘られた場所だから、次に穴が作られたと思われる場所に行けばまた穴が見つかる可能性が高いと思ったからだ。


 そんな感じで移動すること約30分。


 穴が見つかった。


 しかも3つもだ。


 穴を見つけた瞬間、【鑑定】で確認した。


 1つ目の穴はゴブリンによって雑に掘られた穴。


 2つ目の穴もゴブリンによって雑に掘られた穴。


 3つ目の穴もゴブリンによって雑に掘られた穴。


 う~んスリーアウト!


 チェンジ!


 今すぐ帰って!


 ふぅ……取り乱した。


 落ち着け、どうやらゴブリンは複数いるらしい。


 しかも確実にあの管理者さんからのメッセージにあった2匹とかいう甘い数じゃない。


 しかも全部説明の通り雑に掘ってあるのか……穴の形が微妙に違う。


 まぁ、それは今はいいとして。


 問題はここがどこなのかということだ。


 穴の数が多いからここの近くなんじゃないかなと思うんだけど、どの辺りなのかわからない。


 森の浅い所なのか、深い所なのかそれすらわからない。


 しかも調べるのに夢中になってしまい夕日のオレンジ色の光が見えてくる。


 時間的にももうすぐ暗くなるだろう。


「クッソ。仕方ない、今日はこの辺にするか」


 たが、俺が帰ろうとしたその時、そいつらは現れた。


「グギャァ、グキャ」


「ギャギャグギャ!」


「ギャグギャギャギッ!」


 声の方を振り向くとそこには身長140センチほどの緑色の肌をした醜悪な小鬼達の姿だった。


 その手には全員棍棒を持っている。


 その姿はまさにゲームや漫画などで見るゴブリンそのものと言えるものだった。

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