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四階層と装備は大切

 ちょっと移動してきて現在俺がいるのは四階層。


 途中、ゴブリン達と熱い、戦いを繰り広げたり、繰り広げた後に魂をパクパクしたりした。


 そして、現在も洞窟のような通路でゴブリンアーマーナイトと戦闘中だったりする。


 ちなみに、ゴブリンアークメイジもいたけど、【無詠唱】の【ウインドカッター】で一発だった。


「ハアッ!」


 ゴブリンアーマーナイトに向けて両手鎌を勢いよく横に薙ぐ。


「グガッ」


 ゴブリンアーマーナイトはそれをなんとか防ごうと俺が振った両手鎌の横刃を、右手で持った大盾で防ごうとする。


 だけどそんなこと俺には関係ないから両手鎌を止めることなく、いつも通り大盾ごとゴブリンアーマーナイトを両断するために両手鎌を横に薙ぐ。


「ゴブッ」


 ゴブリンアーマーナイトの身体が上下に分かれ、いつも通りそのまま崩れ落ちる。


 ……かと思ってた。


 なぜか、俺が振るった両手鎌は大盾を半分ぐらいまで切り進めたかと思ったら、それ以上進むことはなく、俺の振った両手鎌は進まなくなってしまい、止まってしまう。


 ……はい!?


 それを見た俺は、慌てて両手鎌を戻しながらバックステップしてゴブリンアーマーナイトから離れる。


 だけど、ゴブリンアーマーナイトは片手剣を上段に振り上げながら、もう片方の手で持っていた大盾を投げ捨ててこちらに向かって駆け出してきているのが見えた。


 それを俺は両手鎌を使って迎撃するために、ゴブリンアーマーナイトの振り上げてる片手剣を両断するため、片手剣の真ん中辺りに狙いを定めて両手鎌を振るう。


「ゴブッ」


「うそだろっ!?」


 だけど、俺の振った両手鎌はゴブリンアーマーナイトの持つ片手剣に当たったけど両断することができずに鍔迫り合いのような状態になってしまった。


 ……嘘じゃん……


 それを確認した瞬間、俺はゴブリンアーマーナイトの胴体に目掛けて蹴りを放って距離を離す。


 固い金属の塊である鎧と筋肉質なゴブリンアーマーナイトのせいで質量がとんでもない事になっていてそこまで距離はとれなかったけど、それでもゴブリンアーマーナイトからは距離をとることが出来た。


 後、足の裏が痛いとまでは言わないけど、ジンジンしてる……


 そして、やっぱりというべきか俺が蹴りを放った鎧も傷、へこみ、どちらも一切ない。


 ……固すぎませんかねぇ……


 それにしても……やっぱりおかしいな?


 今まで通りだったら大盾も、片手剣も両手鎌だ両断できてたし、鎧も俺の攻撃ステータスを考えたら壊れたりへこんだりしてもおかしくないと思うんだけどなぁ……


 ……いや、待て待て待て……


 特に気にしてなかったけどあいつの装備、俺やガンツさん達の装備より良くね……?


「……【鑑定】」


 俺は確認するためにに大盾と片手剣、鎧に【鑑定】をかける。


 ------

 名前:鋼鉄の大盾《破損》

 レアリティ:並

 品質:C

 説明:鋼鉄製の大盾。

 鋼鉄とは思えない強度を誇る。

 だが、今は壊れてしまっている。

 製作者:グランツ

 ------

 ------

 名前:鋼鉄の片手剣

 レアリティ:並

 品質:A

 説明:鋼鉄製の片手剣。

 鋼鉄とは思えない強度と切れ味を誇る。

 製作者:ダンケルク

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 ------

 名前:鋼鉄の全身鎧(フルプレート)

 レアリティ:並

 品質:A

 説明:鋼鉄製の全身鎧。

 鋼鉄とは思えない強度と、全身鎧とは思えない動きやすさを併せ持つ。

 製作者:ガルク

 ------


 ……は?


 品質高くない?


 俺の両手鎌(品質B)より高いんだけど?


 唯一品質がCの鋼鉄の大盾も《破損》と表示されてるからそれがなかったら片手剣と鎧から考えると、同じ品質のAだったんだろうな……


 ……マジで?


 それにしても、製作者の名前……ゴブリンエンプレスとかじゃないのか?


 人の名前っぽいけど……あの武器や防具はガンツさん達みたいにここに来た人から奪ったのか?


 いや、それにしては全部鋼鉄製なのに製作者がバラバラだ。


 そんな感じで俺が考え込んでいる間にゴブリンアーマーナイトは俺が動かないのは、俺の攻撃が自分に効かないことに動揺していると思ったか、ゴブリンアーマーナイトはニヤニヤした表情をして俺に斬りかかってきた。


「チッ」


 それを、俺は舌打ちしながら避けて、もう一度両手鎌を振りかぶってゴブリンアーマーナイトを袈裟懸けに斬ろうと両手鎌を振る。


「ゴブッ!?」


 だけど、俺の振った両手鎌はゴブリンアーマーナイトの鎧が固くて、鎧に両手鎌が当たった瞬間、ガギンッという音をたてながら弾かれるだけだった。


 ……マジですか……これも?


 だったら……


「これならどうだ!」


 俺はゴブリンアーマーナイトの横をすり抜けるように後ろに駆けてゴブリンアーマーナイトの後ろに立つ。


 だけど、このまま鎧と兜の隙間を狙って首を攻撃してもいいけど、片手剣で防御されたりしたら弾かれるのは目に見えてわかっている。


 だから……


「ホッ!」


 ゴブリンアーマーナイトの後ろから、近くの壁に向かってジャンプして、壁に着地した瞬間更に壁を蹴って反対方向の壁に飛ぶ。


 そして、また反対の壁に着地した瞬間また壁を蹴って今度はゴブリンアーマーナイトの後ろに着地する。


 壁、床、更には天井と何度も同じ行動を繰り返すことで、俺はゴブリンアーマーナイトに狙いを定めさせないように半円になるように動いていく。


「ゴブゥッ!」


 だけど、ゴブリンアーマーナイトも俺に翻弄されるだけじゃなくて、ゴブリンアーマーナイトが俺に片手剣をがむしゃらに振っているのがわかったから、俺はその片手剣を避けるように身体を捻り剣先を避けてまた移動を繰り返していく。


 しばらくそれを繰り返してるとだんだんとゴブリンアーマーナイトが俺の動きに付いてこられなくなっていくのがわかった。


 俺の俊敏ステータスはかなり高いと自負してる。


 それこそ、このゴブリンアーマーナイトが翻弄されるぐらいには高い。


 だから、俺を捉えることが出来ていないゴブリンアーマーナイトに対して少しずつだけど、余裕が出来てきた。


「ハアァ!!」


 そして、完全にゴブリンアーマーナイトが俺を捉えきれてないのを確認してから、俺はゴブリンアーマーナイトに突撃して、両手鎌を鎧と兜の隙間から首に目掛けて振り切る。


「ゴブッ!?」


 ゴブリンアーマーナイトは俺が意識外から両手鎌を振った事で、驚きの声を上げながら、首に両手鎌が食い込んでそのまま胴体と頭が離れるように落ちて、ゴブリンアーマーナイトは膝から崩れ落ちて塵になって消えていった。


「……ふぅ……」


 俺は息を整えながら周囲を警戒する。


 しばらく【気配感知】で周囲に敵がいないか確認したが、特にモンスターの気配は感じ取れなかったので一旦警戒を解く。


 一応ゴブリンアーマーナイトとの戦闘中も周囲の安全は確保していたけど、万が一があるからな。


「……さてと……」


 俺の視界にはゴブリンアーマーナイトとゴブリンアークメイジの魔石が二つに杖、それにゴブリンアーマーナイトが装備していた鎧一式に片手剣と壊れた大盾が転がっていた。


 とりあえず魔石と杖は【アイテムボックス】に入れてっと……


 後はゴブリンアーマーナイトの鎧と片手剣、大盾だけど……ちょっと良く見てみたい。


 まずは片手剣を手にとって良く見てみる。


 片手剣は刃渡り50センチ程のシンプルな形をした西洋風の両刃直刀だ。


 装飾は一切無く、柄の部分も木製。


 鑑定結果では鋼鉄とは思えない強度と切れ味とあるけど、実際に見てみるとそれが良くわかる。


 素材としては俺の両手鎌の魔鉄の方が鋼鉄よりも良いはずなんだけど、これはやっぱりそれ以上の強度がありそうだ。


 まあ、それは良いとして……問題は持ち手の部分。


 最初はやっぱりガンツさん達みたいにここに来た人からこれらを奪ったのかと思った。


 だけど、それにしては柄がゴブリンアーマーナイトにフィットしすぎている。


 鎧もそうだけど、片手剣も多分最初からあのゴブリンアーマーナイトに調整された武器だったんじゃないかと思う。


 そうとなると、どこかに武器や防具を作った人がどこかにいるはずだ。


 それも最低三人。


 片手剣、全身鎧、大盾を作った三人が。


 だけど、その人達がここにいないとしてもこれからゴブリンアーマーナイトなどの近接攻撃主体のゴブリン相手には直接打ち合わない方が良さそうだ。


 何せ、あのゴブリンアーマーナイトでさえ装備していた鎧に俺の攻撃じゃ傷一つ付けられなかったんだから。


 同じような装備を他のゴブリンアーマーナイトや他のゴブリンが装備してたら面倒なことこのうえない。


 この品質の装備、作れるのはかなり限られてくるだろう。


 ……もしかして作ったのはアーニャさんから聞いた、ドワーフの国の職人か?


 そうだとするとドワーフの職人は魔王軍の、それもゴブリンアーマーナイトに渡されるぐらい装備を作ってるってことになるけど……


 ……まあ、それは今考えても仕方ないか。


 考えるのは後だ。


 とりあえず全部【アイテムボックス】に入れて。


 ポイポイポイっと。


 俺は、【アイテムボックス】に片手剣と大盾、鎧を入れていく。


【アイテムボックス】に片手剣と大盾、鎧を入れ終わった俺は、通路を見通して特におかしい事はないことを確認する。


 ……よし。もうここに用はないな。


 それじゃあ……


「移動しますか……」


 俺はそう呟いて【マップ】を頼りに『ゴブリンエンプレスの巣』を歩きだすのだった。

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