ショートストーリー 占いよもや話
最近、いや二十世紀の後半からだが占いブームがつづいている。
変わったところでは「ほめ占い」「読書占い」「出版社占い」などがある。
定番ものでは十二支占いとか姓名判断とか星占いなどがある。
当たるも八卦、当たらぬも八卦でたいして気にすることもないのだが、
それでも自分の星占いとか、十二支占いとかが載っているとついつい見てしまう。
いいことが書いていれば気分もすこぶる気分も良くなるし、悪いことが書いてあると一日中気分が悪い。
細木数子など占い本を毎年出して大もうけしている。
毎年毎年あれだけ違うものが書けるものだと感心させられる。
Aも占い好きで週刊誌をコンビニで立ち読みして、占いコーナーがあると必ずみる。
それに最近はパソコンでもたくさんの占いコーナーがある。
その上、メルマガで自分の今日の占いを配信してくれる。
Aは会社に出勤するとまず就業時間までにパソコンを開き、
毎日誕生日占いのメルマガ「今日の占い」を妻とAの二人分を受け取っている。
Aは「妻の分」を宣伝部分だけ削除した上で妻の携帯電話に送信している。
妻はそれがうれしいらしくてもう二年もつづいている。
毎朝の日課であるが会社の誰も知らない。
そして妻には「今日の恋愛運」も削除して総合運と仕事運のみ転送していることは妻も知らない。