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1 長崎へ

第二次世界大戦時の長崎のお話です。

(※大まかな史実には沿ってはいますが、基本フィクションの物語です。)



<ボーッ>


少年は、地響きのような船の汽笛音で目を覚ました。


少年の名は神山凛太朗カミヤマ リンタロウと言った。

齢12になる。


「船酔いは治っている…ようだな…。」

安堵しながら船内の客室を見渡し、父の姿を探した。


どうやら、父はいないようだ。


かすかな船のエンジン音に耳を攲てながら、ふかふかの洋風ベッドに顔を埋める。

洋風ベッドで眠る機会はなかなかない。

しっかり堪能しなくては。


「そろそろ着くはずだよな…長崎…。」

ボソリと呟く。


1938年、世界大戦が再度勃発する変乱の最中、母と妹を東京に残したまま父の仕事の関係で共に長崎を目指している途中なのだ。

神戸港から長崎港を目指し船に揺られること丸一日が経っている。


凛太朗はふかふかのベッドと決別する決心がついたのか、体を起こし、洗面所へ向かった。


鏡には、日本人にしては少し明るめの茶色いボサボサ髪に眠そうな目、着崩れした着物姿の少年が映っていた。


水瓶の水を柄杓で掬い、顔と髪に水を掛けパシャパシャと豪快に洗った。

凍えるように冷たい水に身が震えたが、おかげで目はバッチリ覚めた。


雑に手ぬぐいで拭くと、そこには快活そうで、くるりとした茶色い目が印象的な少年が鏡に映った。


「よしっ」

バチっと頬を叩き、凛太朗は鏡の姿の自分に納得し、部屋を出るのであった。


行き先は決まっている。

何より俺は腹が減っている。

父もそのはずだ。


勝手に納得し食堂へ元気に走る少年。


食堂に着くと、数名の知らないおじさん達と一緒にいる父の姿があった。

うち二人は軍服姿だった。


父の仕事は造船関係の仕事だと聞いているが、

家は元々武家だったせいか、軍事関係者の知り合いも多いと聞いている。


父は、武家らしく剣術で鍛えた肩は広く、頑健そうな男だ。

少し白髪の混じった長めの髪を後ろで縛っている。


名は神山総一郎カミヤマ ソウイチロウと言う。


凛太朗は元気に父の元に駆け寄った。


「おぉ、やっと起きたか。船酔いはもう大丈夫か?」

父は優しく微笑む。


人好きのする温かみのある茶色い目は凛太朗に似ている。


「うん!朝起きたら治ってた!」


「そろそろ、着くぞ。急いであっちで朝食を食べてなさい。」

父に急かされ、凛太朗は長テーブルに並べられている料理を自分でよそった。


料理と言っても、米とお味噌汁と漬物ぐらいしかないのだが、この時代の朝ごはんと言ったらこんなもんだ。

味噌汁の具の多さで豪勢さが決まる。

今日は豆腐が入ってるので豪勢な方だ。


昨日は船酔いで何も食べられなかったのだ、食べて力をつけなければ。


しばらくすると、船内放送が鳴り響いた。


「まもなく長崎港。揺れるのでお席にお座りください。」


船内がざわつき、凛太朗もキョロキョロと落ち着きなく周りを見渡した。


拙い文章を読んでくれてありがとうございます。

長崎出身です。史実を元に書いてますが基本フィクションだと思っていただければ幸いです。


初めての執筆活動で、右も左もわかりませんので、

レビューやアドバイス、何でも良いので反応頂けると有り難いです。

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