街発見
場所は変わらず、キャンピングカーの和室
「それで、どうした?」
「最初からやり直すのか?」
アリスが苦笑しながら俺の行動に突っ込みを入れてきた。
「まぁ、人に言われれば直そうと思うのは当然じゃないか?」
「ふむ、そう言う意味で言ったのではないのだ。逆に褒めたと言ってもいい」
ほめた?つい今しがたの会話のどこに褒める要素があった?
「わからんな」
「いや、私の前ではあのイリアですら萎縮することがあるのだ。つい先日あったばかりの当夜殿の反応に驚かない方がおかしい」
はてさて、こんな美少女に褒められるのはやぶさかではないのだが、どうも褒められている気がしない。
「そもそも、アリアの前で萎縮しなかったり、態度を正さなかったのはノリスも同じだろ?」
「まぁ、そうだな。二人が異常と言った方が良いな?」
さっきから、まるで自分が誰からも恐れられる存在かと言っているようなもんだぞ?
「どういうことだ?」
「ふむ、まあ、少しくらい良いか。時間はたっぷりあるようだしな」
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結論から言おう。
アリアは王族だった。
それもなかなかの大国で、コイツの親父さん、つまり現国王が親バカなんだと。
アリアに近づく人間についてすべて調べる癖のある、権力使いたい放題な人物だそうだ。
そんなアリアの親父さんが一言‘コイツはダメだ‘みたいなことを言ってみろ。
即処刑か、血祭りにあげられちまうよ。
この話は母国に限った話では無く、大陸を超えこの大陸でも影響力があるそうだ。
そんな親父さんが、娘が旅に出るとき、世界に御触れを出した。
曰く、我が愛しの娘が旅に出る。何かあったら関係者全部死刑、的な?
そんなわけで、ようやく仲良くなった仲間でも、アリスにはなかなか接してくれないのだとか。
「なるほど。確かに俺とノリスは異常かもな」
そんなんだたら、俺ですら話しかけなかったさ。
話しかけたとしても、お腹すいてますか?水いりますか?的なそう言う事務的な事だと思う。
だが、話を聞いてしまった以上は仕方ない。
「まあ、それはそれでいいじゃないか。これでお前が高圧的だったら話は変わっただろう。だが、話しかけたのも、助けたのも俺の選択だ」
そう、今更事実を知ったとしても、それはもう後の祭り。
俺は彼女たちを助け、少しの期間の同居で、こいつらを信用すると決めてしまったのだ。
そして、彼女たちの頼みを無条件で受け入れることにした。
これを仲間と呼ばずして何と呼ぶ?
旅人か?運び屋か?それとも道がたまたま同じだった冒険者?
そんな、他人行儀に済まされる時期はとうに過ぎていった。
「だから、アリア、お前ら三人は友達だ。そんなこんながあってももうなっちまったんだからな。まあ、これからもよろしくな。その代わり、どんなことが有っても、見捨てたりするなよ?俺も、助けられるときは助けるから。世界中に呼び出しをしてくれれば、駆け付けてやる」
そう、ここは女神が転移先に選んだ場所なのだ。
其処にも何か意味があるのだろう。
そう思ってやった方が良いだろう。
「そうだな、当夜殿の言うとおりだ。改めて、よろしく」
そう言ったアリアの顔には、つきものが無くなったような安らかで、朗らかな笑顔があった。
「ああ、よろしく!」
こうして、俺は異世界に四人の友達を持った。
他三人については事実関係がわからにため、保留にしておこう。
とにかく、今回はアリアと友達になったことで、俺は異世界で圧の友人を得たのだった。
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翌日
同じく昨日のようにだらだらと過ごしていたのだが、珍しく四人も和室にそろっていた。
そんな中俺はノリスとチェスをしていたのだが。
「おら、これでチャックメイトだぜ」
ルークでキングを取って、そう宣言した。
「嘘!そんなの反則よ!」
ノリスは、頭が弱いのか、恐ろしく弱い。
イヤ、本当に。
どういうわけか、盤上の難しい類のゲームであるチェスで十連続も勝利してしまうという珍現象を起こしてしまったのだ。
どうやら俺には、こういう珍現象を起こす能力があるようだ。
「反則じゃないのは、分かってんだろ?いいから、ミカン取ってくれ」
「しょうがないわね~」
ノリスがのそのそと冷蔵庫に行く。
そのそばでは、他三人が覚えたてのババ抜きで遊んでいた。
三人だけなのに、そこそこの盛り上がりを見せていたが、それはまた別の話である。
そしてその日の夜、ついに町を発見した、
その街には、城壁が存在し、その前では多くの人々が地面で眠っていた。
どうやら、この世界でも門が閉まる時間が決まっているらしく、時間外に来た者達はその門の前で寝るのが基本のようだ。
「今日はここに止めて、明日入場するか」
四人に向けて言う。
「なあ、この乗り物はどうするんだ?申し訳ないが、このような大きな乗り物は話題りあがる。当夜殿の最初の話によると、あまり目立ちたくないといったので、少し疑問になってな」
確かに。
このキャンピングカーのせいで話題になったり、有名になるのは嫌だ。
とそこで、この車のある設定を思い出した。
「ああ、あれがある!!」