目的地
前回、異世界に着たての頃に拾った三人の冒険者を、国に連れていく約束をして、早速向かうことにしたノリス一行なのだが、キャンピングカーで向かうにあたって、数点問題が発生した。
そう、三人の個人スペースについてだ。
ノリスは良いが、他三人は異世界設定宜しくの若い美少女たちだ。
何か間違いが有ってはまずかろう。
いや、しっかりとした真面目な付き合いになるのならそれは良いのだが、彼女たちの親御さん、特にアリアの両親には親バカさ加減と過保護さが少なからずうかがえるので、あまり親密になるのはいかなものかと躊躇してしまうわけなのだが。
と言うか、俺に子供と付き合う趣味はないので、論じる以前の問題なのだが。
それはさておき、それぞれの個人部屋については、異世界設定キャンピングカーご都合主義よろしくで、異空間的部屋を作ることが出来るので、それを使うことにする、
運転席のナビ端末で二階に三つの扉と部屋を作るように設定すると、今までたまっていたポイントを消費して、二階に三つの扉が出来た。
中は、いたって普通の個人部屋で、ベットと机、椅子一式とソファーが一セット。
いや、これを普通と呼ぶのはいかなものかと思うが、彼女らにとっては少し狭いほどらしい。
彼女らを実家に送った時の不安が増す案件だが、今は意識して知らんぷりをすることにしよう。
知らぬが仏と言う言葉もあるのだからな。
「よし、これで三人分の部屋はそろった。後は衣類とか生活用品だが」
まぁ、今後必要になったら言ってくるだろう。
そうしてらたな住人を正式に迎えたキャンピングカーの旅だが、ここで一つ問題になったことがあった。
どうやら、俺たちがいた領域は魔族が活発に動いていて、人間の国は海岸沿いに行かなければいけないのだそうだ。
なんでこんなところに転移させられたのかは、疑問に思ってもしょうがないので保留にしておこう。
はてさて、こんな感じで旅をしている俺たちだが、本当にこの方向で良いのだろうか。
見るからに砂漠化した見放された地を走っているのだが。
ま、まぁ、異世界に詳しい三人が言うんだ。
俺は無垢なる気持ちになり切って、彼女たちを信じることにしよう。
いざとなったらナビで戻ってくればいいだけだしな。
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部屋を作って早々、することが無くなってしまった。
キャンピングカーの自動運転はある程度の道があれば素直にその道に沿って走ってくれる。
とても優秀だ。
なので、俺は、一階の和室でゲームでもしながらくつろいで到着を待つことにした。
二階の階段から誰かが降りてくる音がした。
「ん?当夜殿か?」
降りてきたのは、異世界あるある女剣士宜しくの、アリアだった。
剣士らしく中は黒いインナーを着ていたようで、今は其れ一つに下はドレスだ。
アンバランスなのは、異世界特有なのかね?
「ああ、そうだよ。そっちは何しに来たんだ?」
「何、少し外の空気を吸いたくなってな」
長い髪をさらっと手で流しながら言う様は、大した事を言ってないにも関わらず、とても絵になる姿だった。
くそう、これが美少女のみに認められた技か。
「なら窓を開けられたはずだけど」
「いや、全身で浴びたくなってな。すまんが一度止めて貰えないか?」
全身で風を、ねぇ。
異世界では自然界から離れると禁断症状でも出んのかね?
まぁいいや。
「なら屋上に行ってきな。いちいち止めるのは面倒だ」
アリアは暫く俺を見つめていたので、見つめかえす。
どれ程たっただろうか?
やはり美女顔は目に毒だ。
いたたまれなくなった俺は、早々にギブアップ、質問することにした。
「何だよ」
「いや、当夜殿は意外とタフと言うか、大雑把と言うか、面倒臭がりなのだろうか?」
むむ?
これは、どう言った行動を指し示しているのか分からんな。
だが、今さっきの会話を思い出してみよう。
ああ、何か怠惰の代名詞みたいなやつだったな、さっきのおれ。
俺は、改めて佇まいを治し、仕切り直す。