異世界生活
異世界に来て一週間程経つ頃には、俺の生活はすっかり異世界に慣れきっていた。
最近になって、キャンピングカーが車を増やしたり、他の形に変化すると言うとてつもない機能付きの何でもありカーと知って、半ばその機能に戦々恐々としているのだが、はてさてそんな機能は何処で役立つんだか。
更に、拾った冒険者曰く、「この車は異界化してる」そうで、よく設定を見たら個別部屋まで作成可能だった。
何のための機能なんだ?ノリス?
そんな、非日常を日常として謳歌していた俺にも、転機が訪れたのだ。
まだ異世界に来たての頃に拾った冒険者が目を醒ましたのだった。
赤髪の剣士の娘は既に目が覚め、食事をしたり、稽古したりはしているのだが、どうも心ここに有らず、という感じなのだ。
はぁ。
「それで、君達は?」
一階の和室で三人の冒険者を前に、堂々と胡座をかく俺とノリス。
ふっ、我ながら命知らずだな。
「わ、私達は、来るべき勇者様の召喚の前の強化訓練をしていたのですが、運悪くあのダンジョンで下手を打ってしまい」
成る程。
これはあれだな。
過剰に自己責任を感じる系だ。
「仕方ない。確かにその通りだ。悪いと思うなら、今後から直せばいいさ」
「そうよ、そうして前を向いた方がいいって」
盗賊系の娘がそう言う。
って言うか、名前知らないんだが。
「うん。取り敢えず、過去の事は今は詮索しないし、俺は旅してるだけだから、行きたいところが有れば、言ってくれ」
「そうよ、こんな暇人は働かせるのが一番よ!」
今まで静かだと思ったらいきなり声を上げたノリス。
こいつ、今までの話の内容全く入ってないだろ。
ほら、冒険者の三人が微妙な表情してるだろ。
俺は、この歪んだ空気を入れ替えるため、新たな話題に持っていく。
「おっと、自己紹介がまだだったな。俺は富竹当夜、このとんでもキャンピングカーで旅?をしている」
「私はノリス!聞いて驚きなさいな!この世界を創造した女神なのよ!」
「と本人は言っているが、気にするな」
付け加えた一文が気に入らないのか此方に向かって騒いでいるが、放っておこう。
「あ、ああ。前にも言ったが、私はアリスタ、親しいものは皆アリスと呼んでいる。剣士をしているので、宜しく頼む」
「私は、このチームで魔法士をやっています。イリアです。得意魔法は光属性です。宜しくお願いします」
「私はクリス!見たまんまの盗賊だよ!得意技はスリ!宜しく!」