モンスター、葬る
どれくらい経っただろうか。
洞窟をしらみ潰しに回るのもそろそろ飽きた頃、事件は起きた。
急に登り坂になり、洞窟が広くなった。
上りきった先には、人間の1.5倍程あるモンスター、ボブゴブリンがいた。彼らが引きずっていたのは、鎧を着た剣士らしき少女?とローブを着た魔法使いらしき少女?と盗賊系の少女だった。
取り敢えず、ゴブリンを引き殺して、三人をキャンピングカーに入れる。
「おい、こいつら大丈夫なのか?何か血とか出てるけど」
隣で、様子を伺うノリスに聞く。
「大丈夫よ、当夜が三人を入れたり準備している間に、万能薬を使ったもの」
「成る程、ん?いまなんて?」
少しばかり聞き捨てならないことをいっていた気がする。
「だから、万能薬を使ったから大丈夫よ!」
おい。
いや駄目だろ。
使った者に無条件で不老を施す薬とか使ったらアウトだろ。
「おいおい、どうするんだよ。おれ、責任とれとか言われても、とれないぞ」
「大丈夫よ、その時はここに置いていきましょう」
こいつ、悪魔だ。
まあ 、やってしまったものは仕方ない。
「取り敢えず、先に進むか」
ノリスに、三人を風呂入れるように頼んで、運転席に戻る。
一応、モニターを確認し、現在地を確認する。
入った所から記録していて、かなり進んだことがわかる。
取り敢えず、登りになった道を登りきることにする。
それから三時間ほど走ったが、どこも行き止まりで、引き返した。
今日は、ここで食事をとることになりそうだ。
綺麗な空間を見つけて、キャンピングカー停める。
湯を沸かして、カップ麺を食べる。
「やっぱ日本の食品は美味しいわねえ」
目の前には呑気に飯を食うノリス。
「まあ、いっか。やっぱ何もせずに出かける毎日も良いなあ」
今日は、もう疲れたので風呂に入ってからここで寝る。
ノリスと三人を和室で雑魚寝させて、俺は運転席に戻る。何かあったときに咄嗟に対処するためだ。
シートを最大限まで下げ、眠りに着く。
翌日、外は暗いままだった。
いや、洞窟の中なのだから、そうなのだが。
取り敢えず、寒いので暖房を点ける。
朝食に卵を四つ焼き、キャベツを取り出す。
ドレッシングとオレンジジュース用意して、完成だ。
朝食じゃあまり食べる方ではない。
全ての支度が整ったので、出発しようと運転席に向かおうとすると、二階から物音がした。
食事を取るために、移動していた三人が起きたのだろうか?
ノリスと顔を見合せ、ノリスを先に行かせる。
二階へ行くと、首を左右にふって、現状を確認しようとしている剣士らしい格好の娘を見つけた。
髪は赤のロングだ。
「どうやら目覚めたようね」
ノリスが冷静な判断を下す。
見りゃ分かる。
「おい、大丈夫か?」
声をかけると、物凄い勢いで此方に向きかえる。
「…あなた方は?」
うん、物凄く警戒されているのが分かる。
「いや、偶然君達を拾った者だよ」
素直に事実だけを言う。
「拾った?私は確か、ゴブリンロードとの戦いに破れて、それで…」
自分で語っているうちに、思い出したのか、顔が蒼白になっていく。
「お、おい、大丈夫か?」
駆け寄って、肩に手をかける。
「ああ、問題ない。では、私達は後一歩のところで餌にならずに済んだのだな」
餌?ゴブリンと言えば、女性を貶す生き物だと思っていたが。
俺は、ノリスそっとその事を聞く。
「ちょっと当夜、あなたバカなの?それをそれをオブラートにオブラートに包んだのが今の表現なのよ」
成る程、確かにそうなる寸前まで来れば、そうなるか。
俺達は今も怯えている彼女に声をかける。
「えーっと、取り敢えず、名前とか教えてもらってもいいか?」
「…私は、アリスタ、冒険者で剣士をやっている」
「OK、アリスタ、この中にいる限り奴等はもう襲ってこない。安心してくれ」
俺が微笑みながら言うが、相手の顔が優れないままだ。
「ちょっと当夜、そう言うのはイケメンがやるから効果があるの。当夜みたいに平均値の顔じゃダメなのよ?」
そうかもしれないが、こいつに言われると腹が立つので一発殴っておく。
「それで、まあ、俺達はこれから洞窟を出る。此処に居たければ居ていいし、お腹すいてんなら言ってくれ、何かしら用意するから」
コク、っと一度うなずくだけで返答はなかった。
う~ん。
「じゃあ、ノリス、こいつらのこと頼むぜ」
「任せなさい!」