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異世界へGO

俺は平日の昼中に、今まで住んでいた狭く、安いアパートの契約を終わらせ、車屋へ向かった。

俺は今日、人生で最大の買い物をした。

11年間貯めに貯めた貯金を全て使う勢いで買ったとある物を受け取るために。


電車で二駅ほど進んで徒歩で行く。


待っていたのは笑顔を張り付けた営業マンである。


「お待ちしておりました。富竹様」


俺は呼ばれた方に向かう。その彼の隣には、俺が頼んでシルバーの色にしたこれでもかと大きいキャンピングカーがあった。

アメリカの有名な役者さんも持っている物だ。


営業の人と中にはいる。

中は二階建てとなっており、一階は和室、二階が洋室になっていて屋根には雨風が吹いても稼働しているソーラーパネルが取り付けられている。コンロはIHの電子コンロだ。その他にも冷蔵庫、プラズマクラスターつきのエアコン、和室には折り畳みの木造こたつ、洋室にはこれも折り畳みの暖炉がある。

更に、運転席のボタンを押すと、部屋が大きくなり、だいたい12畳の部屋が一階にはある。

小さくしたままでも基本家具はトランクにしまってあるため、ゆとりのある空間を保てる。

壁には43インチのテレビが埋め込まれている。

家具やカップは買ったものをトランクに入れてもらっている。

外に出て、もう一度見ると、少しばかり車高が高くなっており、タイヤも滑りにくいものに変わっていた。

大きくなるときはみ出る反対の部分は開閉可能にしておいてもらった。

「注文通りだな」


「勿論でございます」


俺は、直ぐに支払いを行い、車に持ってきた荷物を詰め込む。

アパートを出るときに、スーツや私服、炊飯器や調理器具を持ってきたので、衣服はタンスに、その他はトランクに入れる。

洗濯機はオプションで付けてもらったので、水と電気を蓄えておけば難なく使える。

後で洗剤も買っておこう。

荷物を詰め込み、一応屋根に登れる梯子を登って屋根を確認。

そこには一面大きなソーラーパネルと畳三畳分程の小さな平たいスペースがあった。その空間を囲うように組み立て式の手すりが屋根に付いていた。


このキャンピングカーは相当な高級品でもあるため、少し長く、居住区と運転席の間に少し渡り廊下が存在する。後ろの方には一応トレーラーを繋げられるよう扉があり、そのすぐ横にはシャワーがある。

至れり尽くせりだ。

全ての確認を終え、電気、ガソリン、水を確認してエンジンをかける。


車屋を出て、暫く公道を走り、交差点に差し掛かったので止まる。

信号が青になるまでに、色々と考える。

「これからどこ行こうかな。まずは、近場の山でも行くか。明後日は会社があるし、ああ、その前に色々と買っておこう」


途中の大きなデパートで、食糧を買い込む。ついでなので、見たかったアニメのBlu-rayやゲームを買い込み、殆どのお金を使ってしまう。


先程の交差点に止まったとき、横から目映い光が車内に入り込んできた。


「ん!?」


顔を腕でおおい、隙間から外の様子を伺う。

すると、交差点の歩道には三人の少年少女を中心に魔法陣のような物が出現して、三人を飲み込もうとしていた。

その光はどんどん明るくなり、目をつむる。


どれくらいたっただろうか。

暫くして、何もなかったので目を開けると、そこはとある屋敷の目の前だった。


「何処だ、ここ」


暫く現状を理解できず、周りを見渡していたがやがて、一人の女性が目の前に現れた。

髪は紅く煌めき、瞳は燃えるように紅く、髪をツインテールにした自分より少し小さい慎重の女性だ。

「私は女神、とある事情により貴方は死にました。次は異世界で暮らして貰います。さあ、貴方が欲しい能力は何ですか?」


一遍に言われて少し狼狽える。


「えっと、おれって死んだんですか?」


「そうよ」


「それで異世界に?」


「ええ、嬉しいでしょ?」


なるほど。

まあ、何で死んだのかわ知らんが、異世界に行くことになった。

旅をしないまま。


「…それじゃあ、前世で買ったばかりのキャンピングカーにちょっと工夫してもらえればそれでいいです」


「それだけ?本当にそれだけでいいの?」


何やら女神様が焦っている。これだけじゃ無理なのだろうか?


「えっと、じゃあ長持ちする身体にして欲しいです」


「身体ね?任せて!」


「以上です」


「分かったは。では貴方を異世界に転生「ちょっと待て」」


女神様が俺を転生させようとすると、後ろから渋い感じの男現れた。


「貴様、ちゃんと理由を説明しろ」


男が女神様にそう言うと、女神様が明らかに焦りだした。


「そ、そんな。私は女神としての義務を果たして「それに至るまでの経緯が抜けている」はい…」


男は、女神の隣に立ち俺を見つめてくる。


「はじめまして、俺はこいつとは別の神だ。まず今の君の現状をもっと詳しく教えよう」


曰く、異世界に召喚されるものは整合性をとるため、必ず事故で一度死ぬ。

その為に事故が起きたり不自然に死んだりするのだが、今回事故の原因、つまり俺までも手違いで死んでしまったので、新たに異世界ですごすしかないようだ。


「分かりました。けど、右も左もわからないので

、案内役的ななにかが欲しいです」


「ふむ、それならば、この女神を持っていけ。どちらにしろ暫くは活動禁止だからな」


「えっ、ちょ!」


男は女神が何か言おうとするのを無視して、手をかざす。


「それでは、新たな生を楽しんで参れ。私からもサービスしておいた」


そう言って、男は俺と女神を異世界に送ったのだった。


でもさ、女神様って必要あった?


目が覚めると、ついさっき買ったキャンピングカーの運転席にいた。

横には先程まで話していた女神様。

取り敢えず、キャンピングカーのナビ画面を付けて現状を確認する。

全方位カメラは起動し、車内の状態も確認できた。

電気、ガソリンの量?は満タンだ。

それと所々気になる表示があるが女神様が教えてくれるだろう。特に、トランクルームの空間収納とか、神具とか不懐とかetc…

一通り見て、安心した俺は座席できを抜く。

もう、会社に行くことも日本に行くこともないが、それでも久しぶりの暇な時間がとても心地よく感じた感じた。やることがないやることがない今の時間でもそう思う。


どれくらい経ったかわからない頃、隣から呻き声が聞こえた。


「う、う~、ここはどこ?」


女神様である。

っていうか、よくよく考えてみるとこいつのせいで巻き添えをくらったんだよなおれ。


「お、大丈夫か?」


「ん?あんた、あっ!思い出した、あんた私がミスって殺した…」


おおついに白状しやがった。

ま、それでも、こうやって誰も知らない新天地にこれたから、余り怒る気にもならない。


「よっ、起きたか?早々説明してもらいたいんだが」


「えー、面倒臭いんだけど」


「はぁ、そもそもどうして俺がここにいるのかしってるよな?」


そう、俺はこの女に殺されなければ殺されなければこの世界に来ることもなかった。


「第一、キャンピングカーで町とか入れるのか?」


「それは任せなさい!この世界にはやけに魔道具や魔道兵器を造るのがうまい国があるの、だからそこで作ったって設定にすればいいと思うのよ!」


な、なるほど。

まあ、それで問題にならないならそれでいいのだが。


「それで、ここはどこなんだ?」


「異世界よ」


うん、知っている。


「イヤそうじゃなくて、異世界のどの辺りなのかって話だ」


「そんなの、知るわけないじゃない」


俺は、女神にジと目をおくる。


「だ、だってこの世界は地球の三倍以上はある大きな惑星なのよ?いちいち把握出来ないわ!」


おいおい、この女神、どうやらポンコツもようだ。

いや、笑えないんだが?

こんなんで大丈夫か?

「取り敢えず、このキャンピングカーの設定のついて聞きたいんだが…」


「設定?ああ!そうよ、聞いて驚きなさい!この乗り物は世界に合わせて魔力を動力に変換してるから、正確にはガソリンじゃなくて、魔力なのよ?あと、トランクルームを異空間収納にしておいたから、どれだけ入れても問題ないわ!それと、ここの不思議空間って書いてあるところは、材料を集めて、モンスターを倒せば生成可能になるの、すごいでしょ!」


キラキラした目で色々と語っていくポンコツ女神。


「な、なるほど。じゃあ、俺がモンスターを倒してここに入れていけばいいのか?」


「いえ?モンスターを轢いていけば自然とたまるわ?」


マジか!これ超楽じゃん!人生勝ち組じゃん!


俺は、取り敢えず、水の心配水のを払拭するため、水源を探すことにする。


「取り敢えず、水の有るところまでいこう」


エンジンをかけ、森の中を進む。

異世界に来てキャンピングカーが色々と特殊な物になったからなのか、揺れが少なく、速く走っても横転する事もなかった。


そのまま、森の奥に進むと、かわが流れていた。

前世で買っておいたポンプとタンクを出して、全てのタンクが埋まるまで入れる。

タンクをしまうとき、トランクに入れられず配置したままの家具をしまう。

そこには拡張しなくても八畳ほどの畳空間が生まれた。


「おお、良いじゃないか」


運転席に戻り、一息ついていると、隣から不思議そうに女神が聞いてきた。


「何で水なんて入れたのよ」


どうやら、本当にポンコツらしい。


「水が無くなったときの為だ。念には念をってね」


それを言うと、更に不思議そうにいった。


「水は魔力を通して出来る装置を着けているのに、どうして無くなることを危惧するのかしら?」


は?今こいつなんつった。

水は減らないってことか?


「先に言えよ」


俺は力なくそう言うのだった。

そもそも生水なんて危険すぎて飲める代物じゃ無いじゃん。

はぁ。

「そう言えば、あんたの名前、聞いてなかったんだが」


キャンピングカーを走らせながら横にいる女神に問いかける。

因みに、今走らせている動力は魔力だ。

ガソリンと電気もあるのだが、暫くは魔力で動かしてみようと思う。


「あら?言ってなかったかしら?聞いて驚きなさい!私はこの世界の創造神、この世界で崇められている女神の一人、ノリスよ!」


うん、だれ?聞いたことのない女神なんだが。

マイナーな神様なのだろうか?まあ、いいか。


「そうか、宜しくなノリス、何か言いにくいからノリで」


「はあ!あんた、神聖なる女神の名前を食べ物みたいに言うんじゃないわよ、罰当てるわよ?」


「へいへい、じゃあリスな」


「だから略すんじゃない!」


ノリスの名前を知って暫く走り続けて、日がくれる頃になったので、屋根に登ってトランクから出した椅子と机をだし、ポットに紅茶を入れる。


夕日を眺めながら、ゆったりした時間をすごす。標高が高いのか、少し霧がかかっていて、幻想的だった。

今の場所は、すぐ横に崖があるので、少し心配していたが案外簡単に駐車できた。

下からノリスが登ってくる。


「何やってんのよ当夜、なかなか洒落たことしてるじゃない、私も混ぜないさいよ」


そう言いながら、向かいの席に座る。


「まあ、こんな時くらいはな」


沈み行く夕日を眺める。

思えば、夕日を眺めたのはなん十年ぶりだろうか。

仕事が忙しくて、外なんて気にしていられなかった。


「異世界、か。」


異世界に来たことを自覚し、楽しむ。

今後の目標としては、取り敢えず町に向かう。食糧とかの心配もあるしな。


「そう言えば、食事はどうする?カップ麺があるが」


「じゃあ、カップ麺の一番美味しいやつにするわ」


一番美味しいやつね。

キッチェンラーメンかな。


「明日は町を目指そう。食糧の心配もあるしな」


「何をいっているの?貴方が持ち込んだ食糧は永久に消えることがないから、そんな心配不要よ!」


聞いておいてよかった。

と言うか、この女神、キャンピングカーの一工夫が凄いことになっている。


森の奥の道なき道を走る大きな物体があった。

キャンピングカーである。

そんなキャンピングカーが何故こんなところを走っているのかと言うと。


「モンスターどもめ、どんどん轢き殺してくれるわ!」


キャンピングカーを運転しながら汚い言葉を飛ばす男、彼こそこのキャンピングカーの持ち主、富竹当夜だ。


「そうね、やっぱりモンスターは生きてるだけで害悪なのよ!」


隣で当夜の言葉を行程しているのが、この世界の創造神ノリスである。


何故二人がこのような暴挙に出ているのかと言うと、それは時を半刻程遡る。



昨日止めた場所はロケーションが非常によく、朝食も屋根で取ろうと二人で登ったとき、事件は起きた。


屋根の上には異臭を放つ黒い物体と、雨も降っていないのに濡れたソーラーパネルがあった。


昨日セッティングした椅子や机は壊れていないが、異常なほどの悪臭を漂わせていた。


「おいおいおい、何だよこれ!誰だこんな酷いことをやったのは!」


「くっ、おそらくモンスターね。彼らは朝になると最初に糞を落としていくの、特に白いものに落としていく習性があるわ」


「ってことは何か?この車体は一生糞をおとされ続けるのか?」


「いえ?結界を発動しておけばいいのだけれど。当夜、昨日スイッチ入れたの?」


は?そんな設定聞いてねぇ。


「くそ、朝の気分が台無しだ。おいノリス、俺が下からホース繋ぐから糞が見えなくなるまで水をぶっかけろ」


「わかったわ!」


という事があった。

その後二人は屋根を掃除し、結界を入れてからモンスター狩りにでた。


そして現在。


「ギャオー!」

「ギャギャ!」

「ギョーワー!」


ゴブリンのような見た目のモンスターがキャンピングカーに轢かれた。


「はっはっはー!ざまみやがれ!」


そのまま暫く、モンスターを轢き殺していると、ある場所にモンスターが逃げていることがわかった。


そこは、キャンピングカーが丁度入る大きさの洞窟だった。


「おい、どうする?入るか?」


「そうね、モンスターを根絶やしにするにはここを潰す必要がありそうね」


暫く考えた後、


「よし、行こうぜ!」


入ることにした。


洞窟は思いの外狭く、キャンピングカーが壁を削っている状態だった。


暫く進むと、下りになる道が二本あった。


「どっちにする?」

「それじゃあ、右ね」


当てずっぽで進んでいくのだった。


結局右には、人間の骨やモンスターの骨が散乱しているだけで、行き止まりまで行ってしまった。


「なんだ。ハズレかー。よし、バックで戻るぞ」


ギアを入れ替え、後ろ向きに坂を昇る。

これほどの巨体にもかかわらず、悠々と坂を登る。

登りきって、先程の分岐点まで着たので、今度は左に行ってみる。


「しかし、こういう洞窟の中を安心して走れるのはいいよな」


少しばかり、冒険心を刺激される当夜だった。

少しばかり休息を取るために、一度、停車する。

洞窟に入ってから、あまりモンスター遭遇しないのが気掛かりだった。


俺は、後ろに移るために移動し、お茶をいれる。そんな最中、運転席から声がかかった。


「ねえ、ちょっと!これ見て!」


何か発見したのかと思い、急いで戻る。


「どうした!」

「これ見なさい?万能薬よ!それも四つ、凄いわ!これがあれば不老だってなれるのよ?」


何やら、緑色の液体が入った瓶を片手に喜ぶノリスがいた。


「万能薬?と言うかそれ、何処で手にいれたんだ?」

「聞いて驚きなさい?これはね、この中で作られたものなの!」


ふむふむ、わからん。


という事で、少し落ち着かせ、よくよく聞いてみると、先程までモンスターやら草やら岩やら木やらを壊していた分は回収され、不思議空間で他の物を造り出す材料になるのだとかで、さっき俺が後ろにいっていた間に、寝ていたノリスが目を覚まし、モニターに点滅している場所があったので、押してみたら、あら不思議、万能薬四つの完成。


しかしながら、今までの全ての材料を使ったため、他の物を造るには、また貯めないといけないらしい。


「て言うか、あの不思議空間でそんな事が出来たのか」


因みに、万能薬とは、エリクサーと違い、万物の病気を直す代わりに代償として、寿命と言う時間を持っていき、万能薬を使ったものは不老になるらしい。

現在、この世界には四つしかない。

っておい、全部ここにあるぞ。


って言うか、傷を治すだけなのに、何て要らないオプションが付いているのだろうか?

不老とか、いずれ寂しくなるのが分かりきっているのに。


とまあ、そんな事もあったが、暫くして先に進むことにした。

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