問題篇
世の中には人の恨みを買う人間が一定数存在し、そういう人間は得てして事件に巻き込まれる。
「被害者の川俣洋はカメラマンでしたが、芸能人や著名人のスキャンダラスな写真をネタに脅迫めいたこともしていました」
空になったカップラーメンや弁当の容器、脱ぎ捨てられた衣服などが散乱している床を慎重に歩きながら、鬼怒川警部は事件の概要を述べる。
「いわゆるパパラッチですか」
堅物警部は小さく鼻を鳴らしながら、
「ですので、彼に恨みを持つ人間は相当数いましてね」
川俣は女好きだったのか、容疑者リストには女性の名前が目立つ。女優の白鳥芙美子、グラビアアイドルの佐鯉英梨、女子ゴルファーの鮫島郁子、女流作家の蝶野真妃。いずれもテレビや雑誌で見かけた顔だ。
今回の事件にはもうひとつ、特筆すべき点がある。撲殺された被害者は、なぜか絶命間際に1枚のモノクロ写真を掴んでいた。田舎の田園風景を撮ったもので、川俣の素人カメラマン時代の作品だ。有名人のプライベートよりも、素朴な景色をレンズの向こうに求め続けていれば彼もこんな最期を迎えることはなかっただろうに。
容疑者リストと証拠品の写真を見比べているうちに、私はある可能性に思い至る。これなら、数多いる容疑者を一気にふるいにかけられるかもしれない。
Q:写真が示している犯人は?




