問題篇
車を運転していた男性が、道路に倒れている老女を発見した。腰を刃物で刺され怪我を負っていた彼女はすぐに病院へ搬送されたが、まもなく死亡。そのうち警察が現場に到着し、運転手の男に事情を尋ねた。
「T字路を左折しようとしたら、右側のカーブミラー越しに道路に倒れている女性を見つけたのです。道路の向こう側のほうに、うつ伏せで横になっていました。白髪頭だったので、最初はおばあちゃんがちょっと転んだ程度だろうなと思っていて。でも、しばらく見ていてもなかなか起き上がらなくて気になったので、右折して様態を確認したのです。驚きましたよ、女性の腰あたりに刃物が突き刺さっていて。慌てて救急車を呼んだ次第です」
「女性を発見したとき、周囲に不審な人物はいませんでしたか」
「そういえば、黒っぽいパーカーを着た人が走り去っていくのを見たような。カーブミラーでちらっと見ただけなので、具体的な特徴はわかりませんが」
証言した男性の年齢は、30代半ば。ポロシャツにジーンズとラフな格好をしていて、友人の家を訪ねる道中だった。
「……という事件が最近あってだな」
氷室警部補は、事件現場の様子を簡略化した図を私に見せながら語る。
「なるほど。それで、お前はそのドライバーの男性が怪しいと睨んだわけだ」
「おや、もう気付いたのか」
大学時代の同期はにやりと笑った。
Q:氷室警部補が男性ドライバーを怪しんだ理由は?




