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鬼多見奇譚 弐 追憶の幻視  作者: 大河原洋
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戌亥神社

 お母さんは脇道を通り、本堂の裏へと回った。


 昨日は気づかなかったけど、裏には鳥居があって、石段が上へと伸びている。


 あまり人が来るとは思えないけど、草が覆い茂ることもなく、それなりに手入れがされている。きっと明人さんとお祖父さんがやっているのだろう。


 わたしはお母さんを追って石段を登った。


 数分登り続けると神殿が見えた。


 戌亥寺は昔から高野山系の修験道のお寺だった。


 明治元年三月に政府によって出された神仏分離令によりはいぶつしやく運動が起きた。


 その影響で一度は神社になったものの、運動が下火になると現在の位置にお寺を再建築し、そちらがメインになっている。と、叔父さんが言っていた。


 本殿の前には一対の狐……ううん、しっぽの形が違うから犬か狼だろうか。


 とにかく石像があり、大分剥げているけど、それぞれ白と黒に塗ってある。


 狛犬にしろ、狐にしろこんな異様な物を見た事がない。


 でも、わたしの頭には政宗くんとボンちゃんの姿が浮かんだ。


 大分古びているけど、本殿は思っていたよりも大きい。


 お母さんは扉を開けると、サンダルを脱いで中に入った。


 わたしも続くと、中はちゃんと掃除されていて清潔だった。


「座って」


 わたしはお母さんと向かい合って座った。


「朱理、あんたは制御出来ない力がいかに危険かを理解している。


 でも、制御出来るから、自在に使えるからこそ、大切な人を傷つける事があるのを知らない」


「どういう事? 使い方をミスるって意味? ピストルの誤射みたいに」


「いいえ、もっと悪いわ。それを今から身をもって体験させる」


「どういう……」


「百聞は一見にしかずよ」


 そう言うと、指先でわたしの額に触れた。


 次の瞬間、眼の前が真っ暗になった。


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