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帰省と思い出

この物語は完全なフィクションです。

間違えた知識、おかしな点がある場合はコメントにてお願いします。

地元に戻ってくるのは何年ぶりだろうか。

電車に揺られながら窓から見える景色をボーッと見る。辺りには彼岸花がぽつぽつとしていてそれ以外は全て穂をつけた金色の田んぼが広がっていた。

今まで都会にいて長かったせいか少しのんびりとしたこの景色は少し和む。

都会ではあんまり見ないワンマンの各駅電車はせかせかした都会の各駅電車よりもゆっくりと目的地に運んでくれているような気がした。

終点の駅につくと両親が迎えに来てくれていた。

「おかえり。大変だったでしょ。」

微笑みながら母は私の荷物を車にのせてくれた。

「ただいま。」

こんな状態じゃなくてもっと元気なときに帰ってあげたかった。

そんな申し訳ない気持ちでいっぱいでそれ以上何も言えなかった。

車に乗ったら前を見ながら父が「おかえり。」とだけ言って車を発進させた。駅周辺には大きなショッピングモールや電気屋などがあるが、少し離れると田んぼや森といった自然で溢れた景色になる。そんななかにある懐かしい家へと車は向かっていく。駅から車で10分位で家にはついた。

「荷物はこっちで出しとくから、部屋で休んでなさい。ご飯になったら呼ぶから。」

そんな母の言葉に甘え私は自室へと向かった。


懐かしい…昔のまんまだ。

棚には好きだった小説や漫画、卒業アルバムなんかが並べられていてベッドにはぬいぐるみがいくつか乗っていた。

私は高校の頃の卒業アルバムを手に取る。私の行っていた高校も田舎じみたところで、窓から牛が見えたりするレベルだった。

ペラペラとページをめくっていく。

文化祭の写真や体育祭の写真、友達との写真や生徒会での集合写真、懐かしい思いでばかり。

そのなかで生徒会の集合写真は思い出深かった。


この頃は田中先輩や松岡先輩に色々助けてもらったっけ…

楽しかったな~…

この頃に戻れたら…そんな思いを伏せながらまたページをパラパラとめくっていく。

めくっていると全員の集合写真のなかに謙治がいるのを見つけた。


若いな~…そういやこの頃からなんだかんだ色々助けてくれてたっけ。

…あいつから連絡来てるかな。

アルバムを途中で閉じて携帯を確かめると、"もう着いた頃か?ひさびさのそっちはどうよ?寂しかったらいつでも連絡していいからな?"とメールできていた。


最後のは絶対いらないだろ。まあ一言余計なのは今更か。


私は"着いたよ。母さん達もいるし寂しくなんかないから。そっちよりもこっちのが落ち着けるからいいかも"と返信を返した。

返信を返し終わったちょうどに「ご飯出来たよ~」と母の声が聞こえた。

久しぶりの母が作ってくれたのはハンバーグだった。

なつかしくって美味しい。久しぶりのお肉のやつだった。


「美味しい?」

「…うん、美味しいよ」

「良かった。食べたいものあったらなんでも言ってね。」

「うん、ありがとう」


美味しい筈なのに私は少し間をあけて答えてしまった。

ハンバーグは食べたかった筈なのに、久しぶりの母の料理なのに、私はすぐに美味しいとは言えなかった。


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