一人になる日3
この物語は完全なフィクションです。
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眠れない。これはたぶん鬱のせいだけではないんだろう。いや、むしろ原因は別にある気がする。その原因について私はもうわかっていた。
2日間の間だが朝になると冷蔵庫にはその日のご飯が入っていて使った食器類は綺麗になっている。と言うことはあいつはここに戻ってきている事になる。それがいつかは分からないが少なくとも私が寝ている時にやってくれているんだと思う。
このまま眠れなかったらあいつに会えるかもしれない。そう思うと私はさらに眠れなくなっていた。
27歳にもなってこんな少女のような思いを持つとは…。
「はぁ…」
私は大きなため息をついた。
今までさほど人に興味を持ったことなどなかったし付き合いたいとかも思ったことはなかった。だからどうしたらいいのか分からない。しかも相手は小学校からの腐れ縁なのだ。もし仮に思いを伝えたって笑われて一蹴されるに決まってる。
「はぁ…」
自分の気持ちとどう向き合っていいのかわからず私はまたため息をついた。
午前2時半
私は気持ちを落ち着かせるためにハーブティーを飲むことにした。
明かりをつけて準備をする。すると玄関の方から音が聞こえた。謙治がきたのだ。
どうしよう、どんな顔して会えばいいんだろ…
私は少し焦って出来るだけいつも通りにしようと覚悟を決めた。
「あれ、起きてたのか…ちゃんと寝ろよ」
そう言う謙治を見て少し驚いた。
目元にはくまができて歩くのにもふらふらしている。明らかに元気がない。
「謙治こそちゃんと寝てるの?目にくまができてるよ?ねえ何やってたのよ?」
「俺の事はいいんだよそれよりも早く治さないとダメなんだからあんまり無茶してないでゆっくり休めよ」
明らかに無茶をしているのは謙治の方だった。そんな事私でも見たらわかる。
「無茶してるのはそっちでしょ。しっかり休まないと体持たないよ?」
「うるさいな…とっとと寝ろよ」
その返答はあまりにも冷たくそして怖いものだった。
言った後に謙治ははっとしたように私の方を向いた。
「いや、違うんだ…彩希これは…」
我に返ったかのように謙治が言ってきたが私には聞こえていなかった。
なんで…私はあなたの事を心配してるだけなのに…
そう思うと涙が出てくる。
私は半ば強引にその涙をごまかすように謙治に背を向け寝室に走って戻った。
勘違いしていた。あいつが私を助けてくれるのは私の事がもしかしたら好きだからなんじゃないかち錯覚していた。
やっぱりあいつが助けてくれるのなんてただ付き合いが長いだけだからなんだ。
そう思おうと必死になってしまっていた。しかしそう思えば思うほどに辛くなる。
その日私は泣きつかれて眠っていた。