一人になる日2
この物語は完全なフィクションです
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6時20分
昨日より少し長く寝れた…ハーブティーのおかげかな
私はベッドから体を起こしボサボサの髪の毛を軽く手で整える。携帯をいじりリビングに向かった。
あ、今日朝から一人なんだった…
少し憂鬱になりながらもリビングへ歩みを進めた。
朝ごはんどうしようかな…そもそも冷蔵庫に何があったっけ…
ここ最近ずっと謙治が作っていたせいか冷蔵庫の中を把握できていなかった。
冷蔵庫を開けるとそこには昨日と同じようにラップがしてあるお皿が入っていた。
私は目を疑い、流しに目をやる。流しの中には何もなくお皿は綺麗に洗われていたのだ。
うそ…私が寝ている間に全部やってくれた?ご飯まで用意して?
私は部屋中探し回った。もしかしたら謙治がいるんじゃないかという期待があったからだ。しかし家には自分以外誰もいないで玄関には鍵がかかっていた。謙治には合鍵を渡してある。それでもまさかご飯と洗い物をしにだけ帰ってきているとは思わなかった。
一体何時ごろ戻ってきてたんだろ…
私は謙治にメールを送る。
"わざわざご飯作ってくれてありがと。いつ持ってきたの?"
メールを送ったあとで私には疑問が残った。
あいつは一体どこで何をしているんだろう。そもそもなぜ3日も会えなくなると言ったのに料理とかをここに持って来れてるのか。…なんでここまで私に良くしてくれるのか。
そんな疑問を考えながら冷蔵庫から朝ごはん用のものであろうフルーツヨーグルトを取り出した。
相変わらず美味しい…しかも毎回味が違う。
似たようなものでも飽きないように配慮してくれてるんだろうか。嬉しい気遣いだった。
朝ごはんを食べている時に携帯から着信音がなった。謙治からのメールの返信が返ってきたんだろう。私は新着メールをみた。
"しっかり食べて力つけろよ。持っていったのは1時半かそのくらいだ。それとお前が前好きだって言ってたミュージシャンのライブDVDテレビのとこ置いといたから時間あるなら見ててもいいぜ"
私はすぐにリビングに向かった。
テレビのところに行くと本当に置いてあった。
あいつはほんとどこまで私のために…
"ねえ、なんでそんなに私のために色々してくれるの?頼んでもないのにこんなになんで?"
メールで謙治に投げ掛ける。
何か裏があるんじゃないだろうか。だって私はあいつになんにもしていない。それなのにどうしてここまでの事ができるのか私には理解できなかったからだ。
謙治からの返信は思いの外早く返ってきた。
"何でって言われてもなあ…まあしいて言うならお前がどんな状態なのかわかってるつもりだし早く治したいだろ?だからその手伝いをしたいからだよ"
たったそれだけの理由でここまでできるんだろうか…恋人ならまだわかる。でも私たちはそうじゃない。付き合ってもいない。いわばただの腐れ縁だ。そんな相手にここまでできるんだろうか。
いや、あいつはどうか分からないが少なくとも私はあいつの事が好きなんだと思う。鬱になってあいつが家に来てからあいつには支えられっぱなしだった。それでもあいつは明るく接してくれるしたくさん助けてもらった。そんなやつの事を嫌いになる方が難しいんだ。
私はあいつの事が好き…そう思ったら顔が一気に熱くなるのがわかった。
今まで無意識にしか思わなかったものが意識的になってしまう。
今までこんなこと無かった。生まれて初めて好きになったんだろう。
この日は1日中あいつが頭から離れることはなかった。