ラブコメ馬鹿に幼馴染を添えて! 4
その日の夜のこと、オレは明宮にメールをしようとしていた。
「デートに誘う」と考えてしまうと尻込みするので、なんとか色々と理由付けをしようという発想に至っているところである。
そして辿り着いたのが、妹の誕生日が近いのでプレゼントを一緒に選んで欲しいというものである。
我ながら、なんて意気地がないのかと嫌になる。
「えーっと…文面は普通で良いよな。普通、あれ待てよ普通ってなんだ?明日暇?とかか?」
そんなこんなでようやく考えがまとまりかけたとき、オレのスマホに1件のメールが届いた。
『邪な考えがあるから堂々巡りなのよ』
送信元は先ほど学校で連絡先に追加したばかりの雪丘だ。
まるで俺のことを監視していたかのような本文に、恐ろしさを超えた感嘆がある。
『誰もそんなこと考えてねぇよ。つーか、今から誘おうと思ってたところで迷ってなんかねーし』
一応窓の外に雪丘がいないことを確認してからメールだからと強がってみる。
『あら、そう。私はアナタのことだからてっきり、デートに誘うと考えてしまうと尻込みしてしまう。だから別の理由で誘おうとしていたが、どうやったら普通に誘えるのか。いや、そもそも普通って何だろうってアホみたいに繰り返しているのかと思ってたわ』
こぉんの野郎…
絶対どっかで見てんだろ。スマホか?雪丘のスマホから変なウイルスでも送られて来てるんじゃないか?
俺はあらゆる角度からスマホを観察する。
するとこちらから返信を返す前に、続けて彼女からメールが届いた。
『ま、どうせまだ誘えてないんでしょう?強がりは良いから、私の指示に従いなさい。全ては明宮さんを確実に手に入れるための計画だから、勘違いしないで欲しいけど』
『だれが勘違いなんかするかよ』
意味ないが、雪丘のメールに対して悪態をつく。
『以下、明宮さんの誘い方と明日のデートプランよ。失敗は許されないから、十二分に頭に入れとくように』
雪丘のことだから、きっと綿密かつ秒単位でのスケジュールなのだろうと思いながら目を通したため、その意外にも単純な内容に目を疑った。
『え?こんなんでいいのか?』
『アナタが経験豊富なら話は別だけれど。干からびたサクランボにはこのくらいが丁度良いのよ』
いちいち本当にムカつく言い方をするやつだが、筋が通ってしまっているから情けない。
だが雪丘とメールのやり取りをしたおかげか、さっきまで抱いていた変な緊張感や不安が払拭されたような気がした。
タイミングは今しかないと、俺は雪丘に支持された通りに明宮をデートに誘った。