表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラブコメ馬鹿に青春を添えて!  作者: 夜次太陽
75/85

ラブコメ馬鹿にボッチの決意を添えて!15

「皆さん、ご迷惑をお掛けしました。私事ではあったのですが用事が済みましたので、今日から私も練習に参加させて頂きます」


土日空け、つまり月曜日の放課後。


いつも通り劇の練習を始めようというとき、そこにはここ最近まともに姿を見ていなかった、凍てついた瞳を有する少女の姿があった。


「ごめんなさいね、倉科さん。でも安心して。台本は全て暗記してあるから」


正直このまま参加しないのではないかと思っていた。


あんなことを突然、しかも理由もなしに言ったのである。仮にそうなったとしたら、自分がクラスメイトに詫びる覚悟もしていた。


しかし、彼女は来た。


理由は分からない。性格上、与えられた役割を放棄することを単に嫌っただけかもしれない。


しかしそれでも、また放課後にこうして雪丘世那を含む国家促進部のメンバーが揃った状況に、なぜか一斗は安堵に似た気持ちを覚えた。


「え、もう覚えたの?まだ1週間はあるのに全部?」


「むしろこの時期に暗記くらいしてないと役作りに専念できないわ」


一斗は思わず、付箋をほぼ全ページに貼っている台本を彼女から見えない位置に隠した。


「そ、それもそうだね。じゃ、早速練習しようか」


「あ、ちょっと待って由来」


「どうかしたの莉奈?」


「うん、あのね、確かにせなっち台本暗記してるから、内容もセリフもバッチリなんだけど…ほら、実践は初めてだから。最初は個別で慣らしてから、全体的に通した方が良いかなって」


ナイスだ明宮!と、オレの素直な心が折れ叫ぶ。


あの日、オレが退部を告げてから雪丘と顔を合わせるのは初めてだ。


それがいきなり劇の練習…ヘタレな自分にはあまりにもヘビーだった。


「うーん、でも…」


「由来、莉奈の言うことは一理あると思うよ。まだ時間はあるんだし、まずは劇に慣れるべきじゃないかな?僕も鏑木くんと2人で練習したい場面があるし」


え、そんなシーンあるか?


「まぁ、雅樹がそう言うなら」


そんなこんなで、ヒロイン役の世那、莉奈、和水、華絵、恋、都華咲は6人だけで練習を始めた。


そしてなぜか一斗は立岡雅樹と2人だけで練習をすることに。


「そんなに2人で練習するのは嫌かい?」


「別にそんなこと言ってねーだろ」


「顔が言ってるよ。あの6人ばかり見て、やけに不機嫌そうだ。仲間外れにでもされた気分とか?」


「ねーよ」


自分でも知らないうちにそんな顔をしていたのか。


一体なぜ?


「君が関係しているのか?」


「あ、何にだよ? それより練習するんじゃなかったのかよ」


「たまに君は言葉遣いが少し荒くなるね。練習は、ただの口実さ。彼女が練習に参加するようになったのは、君が関係しているのかなって聞いてみたかったんだ。ただのミーハーさ」


「オレは何もしてない。勝手に気が向いて来たんだろ」


しかしそれにしては、やけに雪丘以外の5人の受け入れが早い気がする。まるでその前から来ることが分かっていたかのように。


「じゃあ…」


「まだあんのか」


「もともと彼女が練習に参加していなかったのは、君の影響かな?」


「………」


「もちろん黙秘権はアリだ。正当な人権だからね」


「知らん。だが、もしかしたら、そうなるきっかけの1つにはなったかもな」


「あくまでも彼女の意思だということか」


「そんな言い方はしてないだろ」


「でも(はた)から見たらそう見えてしまう」


「だったら?」


「君はたぶん、正しいんだろう。でもそれだけが正解とは限らない」


「相変わらずな言い回しだな。バカにも分かりやすく説明してくれるとありがたいんだが」


「言うまでもなく、本当は分かっているんじゃないか?まぁ強いて言うなら、これは現代文の問題と似ている。決して数学のように答えが1つじゃないってことだよ」


「余計に分かりにくくしやがって…。逆に教えておくが、数学だって答えは1つだが、そこに辿り着く方法は1つとは限らない」


言われっぱなしのような気がして、ついついキャラでもなく下手な比喩を使ってしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ