ラブコメ馬鹿にボッチの決意を添えて! 12
ーーーーどうにも今日は瞼が重い。
その理由は至極単純なもので、元々夜型ではない彼女は昨日の夜、珍しく夜更かしをしたからだ。
夜更かしといっても、寝たのは深夜24時半なのだが。
雪丘世那は普段のクールな様子からは想像つかないようなノソノソとした動きで、布団から腕だけを出してスマートフォンを探り当てた。
それを布団内に引き込み時間を確認する。
もう朝の10時だ。
今日が土曜日で良かったと、世那はゆっくりと身体を起こした。
ベッドから出て、背伸びをすると、ふと、机の上に積み重ねてあるラブコメ漫画たちが目に入った。
夜更かしをすることになった原因である。
ここ最近というもの、正確に言えば一斗から「退部宣言」をされた日からだ。
文化祭の準備どころか部活にも顔を出さず直帰していた世那は、帰るや否や手持ちのラブコメ漫画を読み漁っていた。
まるで、本当のラブコメとは何か、ラブコメ環境とは何か、そんなような疑問への答えを探し出すかのように……。
結局答えは出ていない。
唯一導き出されたのは、漫画知識だけではどうにもならないという事実である。
寝巻きを脱ぎ、外出もできるくらいの家着を着る。
顔を洗って遅めの朝食を取ったら、本屋にでも行こう。
そう考えて部屋を出ようと扉に手をかけたときだ。
なにやら部屋の外、正確に言えば階下の方で、誰かが会話をする声が聞こえてくる。
この時間であれば使用人たちは仕事をしているだろうし、テレビにしては声がリアルすぎる。
というかそもそも、普段は物音すらしない静かな空間だ。
忍び足で長い螺旋階段を降りていくと、世那と恋2人で使うには広すぎるリビングスペースで、見慣れた面々が談笑しているのが見えた。
これは一体どういう…。
覗き見るように確認した視線の先には、一斗を除く国家促進部の部員たちがいたのだ。
なぜ彼女たちがここに?
その答えを考えるより先に、反射的に世那は階段をもう一度上っていくことにした。
なんにせよ、自分にとって良いことが起こるとは考えずらい。
しかし音を立てないよう気にしすぎたせいか、引き返す際にスリッパと階段の間で「キュっ」と摩擦音が生じてしまい、少し不安定な体勢のなか、部員たちと顔を合わせることになった。
「…………」
世那は取り敢えず、咳払いをした。
「せなおじょーさま、おはようございます」
アホ毛は立たせたまま深々とお辞儀をするメイドは、いつもと変わらない雰囲気である。
都華咲も軽く会釈をし、和水は特に表情を変えない。
莉奈は1人だけ、少し申し訳なさそうに縮こまっているように見えた。
「おはよう。…恋、これはどういう状況なのかしら?」
「えーと、これはですね」
「おはよう雪丘さん、突然大勢で押しかけてごめんね。この集まりは私が提案したの。話し合いが必要かなって思ってね」
恋に変わって理由の説明を買って出たのは柳本華絵である。
「話し合い?」
「そっ。名付けて、『一斗くんを退部させない会』だよ」




