00 〜軍の一時〜
薄暗い夜の中、密集している住宅街からだいぶ離れた小高い丘の上に住宅街にある家とは違ったヨーロッパ調で人目引く程の豪華で大きな屋敷が建っていた。
しかしその屋敷の周りや中が夜中だというのにザワザワと罵声がひっきりなしに飛び交う程騒がしかった。
「お前等はもう逃げられない!大人しく捕まるんだな」
「…ッ。クソッ!」
世界各国から集められた特殊部隊、零番隊の副隊長が今回の罪を犯した男に刃を向け命令するも男は忌々しい顔で副隊長を睨みつけるが、その後ニヤリと笑い離れた所に居た男の部下に命令し
「あの捕らえたやつ等を解放せよ!」
「ご主人様、しかし……畏まりました」
命令を受けた男はすぐさま駆けて地下にとらてえていた場所に向かい、それを見ていた副隊長は部下にあの男を逃がすなと伝え、指示された部下も男に向かって駆けて行く
それを遠い壁の上に足をブラブラさせながら目の前に何台も映し出された映像を見ていたフワフワとウェーブがかったアシンメトリーの銀髪で顔は整って見える様だが眼に黒の布を巻きつけておりハッキリと顔は分からず、副隊長と同じく黒の軍服を着ているが戦えるとは思えない華奢で背も小さな少年が口角を上げ楽しそうに映像を見ていた。
「解放しても無駄ですよ〜。それにしても皆さん無駄な動きが多すぎですね〜。…よっと」
少年は立ち上がれば足下に魔法陣が現れれば一瞬にして姿が消えた
犯人に命令された男は地下牢に隠していた聖獣の場所までたどり着けば焦りながら鍵をガチャガチャと開ければ一歩中に入ろうとしたらバンッと音が鳴ったと同時に男の動きが止まり、後から駆けてきた軍服を着た3人が何事かと部屋の中を見れば目隠しをしている少年が拳銃をクルクル回しながら囚われていた聖獣の側に居るのを見て
「た、隊長!何故ここに…」
「あ、やっときましたか。ほらほら、聖獣さん達解放して早く任務おわらせましょう。じゃないと僕眠くて倒れそうですよー」
「「「す、すいません!!」」」
隊長と呼ばれた少年は囚われた聖獣二匹に優しく微笑み手を伸ばせば視念で会話すれば聖獣もコクリと頷き、檻を解放すれば少年の後に続き部屋から出て行った。
残された隊の者達は証拠になる物を集め、少年が魔術で拘束していた男を引きずる様にして屋敷の外にむかっ行った。
一方少年は、主犯の男と副隊長がいる場所まで聖獣と一緒に向かい、遠く離れた場所から拳銃を向けて魔力を注ぎ込み目の前に複雑な魔術式が現れ、そのまま男に向かいバンッと放てば一瞬で男の姿が消え、その遠く離れた場所から欠伸をしながらカツカツとのんびりと歩きながら副隊長の前に現れた
「軍の牢屋に送りましたからそろそろ帰りますよー」
「あ、あぁ。てかいつ来たんですか隊長。…それに後ろにいるのは例の…」
「はいはい、質問は戻ってから。早くしなきゃ夜があけちゃいますよ」
言葉を交わして副隊長が残りの隊に撤収命令をかければ屋敷から出て、馬車数台の荷台に証拠の物を詰め込み聖獣も荷台に乗って貰えば隊員も馬に跨り帰る仕度が整えば、隊長と呼ばれた少年は1人、特殊な鉄で出来た乗り物『バイク』に跨り軍の本部に暗闇に紛れるように戻っていった。