自由行動の打ち合わせ
彼らを部屋に案内する。
”さっさと決めてしまおう”とモブ女子と目と目で語り合った後の努力もむなしく、
今日も話し合いは迷走の道をたどる。
こんな事なら自由行動なんてしないで、全員で行列作って歩けば良いんじゃないか。
でも、修学旅行も少女漫画の中ではイベントなんだよなあ。よく覚えてないけど。
モブ女子が”私、もう耐えられない!”と涙目。
2人で我慢ができない時の最終手段にとっておいた札を切る事にする
「私、トイレ!」「私も!」女子の最終奥義、つれしょん。
2人で部屋の外に出て、ため息をつき肩をたたきあう。
本当はこのまま逃亡したいが、私の家である。逃げようがない。
更にこの逃避は長時間続けるとあらぬ疑いを招く。諸刃の剣である。
そこに「どうしたの」と救世主、手作りクッキーと紅茶をもった兄がやってきた。
今、イケメンお兄様の武器、凍った空気破壊力の恩恵に預かっている。
先ほどまで氷点下だった私の部屋に柔らかい春風がふいている。
母の手作りクッキーと紅茶がおいしい。
ほくほく顔の私をじっと見つめる視線に気づいて、見たらヒーローだった。
なんだクッキーもう食べ終わったのか。あげないよ。隣の女の子たちから貰いなさいよ。
兄が自分の修学旅行の経験も交えてアドバイスをしている。
委員長が「なるほど。それは興味深い」と熱心に聞き入っている。
ヒロインと幼馴染令嬢も兄の話には茶々を入れずに聞き入る。
格差社会という言葉が頭によぎる。
30分後には兄のおすすめモデルコースで決定していた。
全員が帰った後に、「お兄様、ツアーコンダクターになれますね」と伝えたら、
「そっか~それも悪くないなあ。」と笑ってた。
夕方からのピアノ教室は、気疲れでボロボロでした。
そして修学旅行、当日がやってきた。