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再び桜の木の下で

小4になって、ヒーローの成長が始まった。

急に背が伸びた。力もついてきたようだ。

カッコいいとクラスの女子に注目されるようになった。

もう苛められない、本気で反撃されたら怪我をするだろう。

まだショタには違いないけどね。

私を睨み付ける強い眼は相変わらずだ。


そして小5の春、ヒロインがやってきた。

ストレートロングヘアーのぱっちり目の女の子。

目の中に星がある、可愛いなあ。さすがヒロイン。

正義感の強い性格とちょっとドジなところもさすがヒロインだ。


勿論、私も負けじと縦ロールヘアに磨きをかける。

意地悪そうな笑い顔の練習も欠かさない。

鏡を見る私を見て「お前は何を目指しているんだ」と頭を抱える兄は置いておく。

だってヒロインが来たのだ。私と兄の蜜月も幻のように消え去るに違いない。


転校初日、遅刻してきたヒーローを見て、頬を赤めるヒロイン。

無事に桜の木の下での出会いイベントもこなしたようで何よりである。

さすがヒロインだ。


私は今回もクラス委員に任命された。

冴えないボーイ系委員長と一緒に、転校生のお世話係をする事になった。

目をハートマークにしているヒロインを引きずって、学校の案内を始める。

上の空のヒロインはあまり話を聞いている様子は無い…

教室とトイレの場所さえ覚えてくれたらいいか。

あと職員室を覚えてくれたら御の字である。


では手のひら返しを始めようではないか。

これから私は苛めぬいた男の見目が良くなった事でちやほやする嫌らしい女の役を演じる。

私のアタックに対して内心は嫌がってるんだけど表面上は無表情でクールに対応するヒーローと、それを見て涙目になるヒロイン。

新しい面白いおもちゃを手に入れたと思っていた。

少女漫画の世界は中学卒業まで。

あと5年は楽しませてもらえるはずだ。


これからこのヒーロー狙いのハイスペックなライバルキャラがどんどんやってくるのだ。

あざと可愛いどじっこヒロイン、優等生タイプの幼馴染、お色気要因の先輩キャラ。

そんなめんどくさい男を本気で好きになるようなバカな真似はしない。

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