桜の木の下で
少女漫画の悪役に転生したら…
1.変えようと頑張る。2.逃げる。3.あきらめる。
自分が”前世の子ども時代にはまった少女漫画の悪役”と気付いたのは、小学校の入学式の前日。
成金のお嬢様、兄弟は兄(超美形)がひとり、髪の毛は縦ロール、美人なのに意地悪そうな釣り目、何より雪之丞麗子という仰々しい名前、字画多すぎるんだよ~名前書くだけで何分要するんだ。
ついこの前まで丸顔の眼鏡女子のたれ目だったはずなのに。体も丸かったよ。
もう一度鏡を見る。憧れのきりっとした目。眼鏡いらずの視力。細い体。美人顔。色白もち肌。
少女漫画では中途半端な悪役だった。
小学校の高学年で転入してきたヒロインを苛めたり、同じ男を取り合ったりするけど早々に負け、その後出てくる高スペック悪役令嬢のせいでだんだん影が薄くなり、コミカル要員に成り下がる悪役。
もう一度、鏡を見る。美人顔なのにコミカルにもなれる顔。細い体。色白もち肌。ただし最後の方は少し丸くなって…
視力低下ダメ、太るのダメ、少女漫画知らない。目指せ人生イージーモード
「パパ、私アフリカに留学する!」
両親と兄にめっちゃ怒られた。
アフリカ人って視力5.0だよなあ…あの環境うらやましかったのに。
翌日、ショッキングピンク色のツーピースを着せられた私は小学校に向かう。
桜の木の下に、奴が居た。少女漫画のヒーロー。
大人になったらイケメン間違いない整った顔、ワンパク男子とは一線を画す…
彼は私を見て怯えた顔をした。
少女漫画に出ていた過去話では私はヒーローを苛めていた。
そして小学校高学年になり美少年として開花した彼に惚れて付きまとった。
嫌われている事も知らずに。
美形ショタの怯え顔。可愛すぎる。
彼を見た瞬間に私は決めた。
4.少女漫画の世界を楽しんでやろう!
この世界で生きていれば、周囲は美男子と美女に囲まれて目の保養し放題。
キュンキュンイベントを鑑賞し放題。
ニヤリと笑う私を見て、更に怯える美形ショタを鑑賞しながら、
私は明日からどうやって彼をいじってやろうかと考えていた。