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起点
スーパーカブを学校から 数百メートル離れた廃屋の物置小屋に寄せると、おれはのんびりと歩き出した。たまには朝の散歩も悪くない。おれの通う高校は登校完了時刻になると 校門がロックされる。腕時計をみると登校完了時刻から既に1時間遅れていると分かった。「はぁあ 1時間くらいじゃ 大してラクした気にもならね〜な どーせ説教でモト取られちまうかな」 大葉がいつものように校庭裏のフェンスを乗り越えようとしていると自身の行動の浅はかさに気づかされた。「おいおい 大葉 ふざけんなよ いい加減にしとけ こっちこい」
面倒なことになった、こちらへ来ている 生活指導のベテラン 通称 デカは捕まったら説教の長さに定評があるのだ。目があって今更逃げるわけにもいかないので大葉は愛想笑いを浮かべながら大西 通称デカに近づいていった アダ名の通りの195センチの巨体に些か萎縮しつつ 大葉はデカが唇をモゴモゴと動かすよりも早く切り出した 「すみません つい、ほんとごめんなさい」