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第九話

新キャラが出ます。

「ほらほら〜恭介〜、見て見て〜」


「わかったわかった、危ないから頭出すな」


お盆休み、俺達は車で避暑地へと向かっている。


車内には、俺と由と義人が後部座席、助手席には品川さん…運転席には…


……?


「……誰?」


「藤村様、私の事でしょうか?」


運転席でハンドルを握る女性が前を見たまま答える。


「先ほども申しましたが、私は品川家に仕えております御陵(ごりょう)レオナと申します」


見た事も無い様なデカい外車の運転席に座る彼女はメイド服を着ている。

見たまんま品川家のメイドらしい…


「レオナとお呼び下さい」


「いや、初対面だし呼び捨ては…」


「レオナとお呼び下さい」


「いや…だから…」


「レオナとお呼び下さい」


「……レオナ…」


「はい、よろしくお願いします」


…………この人苦手だ……


「申し訳ありません…恭介さん」


「いや…品川さん、大丈夫」



どうしてこんな異色のメンバーで避暑地に向かっているかというと…





前日



「やだやだ〜」


「しょうがないだろ?どこも予約でいっぱいだし、空いてるところは高いんだから」


盆休み前の最後の営業日、ランチ後の休憩時間、由と義人が店に来ていた。

翌日からの盆休みの予定を相談する為だ。


「でもやっぱり泊まりがいいよ〜」


「だから〜、空いてるところは高いか遠いかなんだっつうの!」


由は例年通りに泊まりで出掛けたいらしい…

しかし、動くのが遅すぎた…

俺達は、八方塞がり状態で頭を悩ませていた。


「日帰りで海水浴とかにしようか…」


「よっしー、そんなのいつでも行けるだろ〜!」


あーだこーだ言い合っているが、由のわがままのお陰でさっぱり話がまとまらなかった。


「失礼します」


店の扉が開いて女性が来店して来た。


「す…すいません…えーと…今ちょっと休憩中でして…」


俺が応対するが、ひどく狼狽してしまう。

理由は女性の見た目が衝撃的だったからだ。


まず格好がおかしい、メイド服?だろうか…やたらフリフリの服を着ていた。

さらに気になったのが髪の色だ、銀色だ…よく見ると瞳の色も銀色だ。


「こちらに品川有紗嬢はいらっしゃいますでしょうか?」


「し、品川さん?」


彼女の名前を訊いて、彼女の方に振り向くと品川さんは驚いた顔をしていた。


「レオナさん…」


「お嬢様、申し訳ありません…携帯にもご連絡したのですが、お出にならなかったので参上致しました」


「ここには来てはいけないと話した筈です」


少し困惑気味な品川さん。


「火急の用でしたので申し訳ありません…」


深く頭を下げるメイド服…

品川さんの家の人?らしいが、この状況についていけない…由と義人も同じらしい…


「仕方ありません…恭介さん、少し外に出てきます」


「あ、ああ…」


メイドと店の外に出て行く彼女。


「メイド!メイドだよ恭介!」


「えっ、ああ、そんな感じだな…」


メイドというものを初めて見たというだけじゃなく、銀髪のメイド…三人とも驚いたまんま店の入口を凝視してしまっていた。



しばらくすると二人が戻って来た。


「有紗お嬢様付きでお手伝いをさせて頂いている御陵レオナです」


どうせならと、自己紹介される事になった。


「え、えーと…恭介さん、それで…少し提案がありまして……レオナさん、説明して下さい」


???


なんだ?


「はい、実は県内に品川家の所有する別荘がありまして、私、御陵が本日メイド長からその別荘の清掃作業を依頼されました」


「は、はあ…」


「聞けばお三方、宿泊施設を探しておられるご様子…そこで私、御陵に同行して頂くというのは如何でしょうか?」


「別荘!すごいすごい!行く行く!」


俺より由が真っ先に反応する。


「はい、お嬢様のお知り合いの方であれば、私は歓迎致します…しかし一つ問題がありまして…」


「何スか?」


「本来ならば本日より3日間、清掃作業に赴く予定でした。しかしお三方をご招待するのであれば明日出発という事になります」


〜〜〜あ〜、まわりくどい話し方をする人だなぁ…


「別荘は広大である為、1日遅れとなりますと私一人では作業に支障をきたします…お三方には施設、食事をご用意させて頂く代わりに清掃作業の方を…」


「だ〜〜、わかったわかった、俺達も行っていいけど掃除を手伝えって事だな!」


「はい、ご理解頂いて何よりです」


「由?義人?」


「もちろん行くよ〜〜!」


「僕も大賛成だよ」


「という訳だけど、いいの?」


この発案をしてくれたであろう品川さんに尋ねる。


「はい、もちろん構いません」


「有紗さんは…行かないの?」


「わ、私は…」


ちらっと俺を見る品川さん。


「いいんですか?」


「い、いや…品川さん家の別荘でしょ?」


「あの期限内ですし、私も付いているので問題無いと思われます」


期限内?


なぜか、その期限という言葉が妙に気になった。


「恭介さん達さえ良ければ…」


「全っ然!問題無いよ!なあ由?」


「う、うん、いいよ、もちろん!」


言ってる事は肯定だけど顔は否定してる?


「で、では、私もご同行してしまいます…」


「うん、一緒一緒!」


はしゃぐ由、やっぱり気のせいか…





という訳で俺達5人は一泊二日の小旅行の為、というか掃除の為、県内の高原にある品川家の別荘に向かっている次第である。


車はすでに市街地を抜けて峠道を走っていた。


「みなさん、見えてきました」


「うぉ、すげぇ」


「でっか〜いね」


城?


山を切り取った様な平地に西洋風の城がそびえていた。




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