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親友のサイン


 お久しぶりです滝峰つづりです。


 この間道ばたにえっちぃ本が落ちていて、ものすっごい勢いでちら見しました。


 仕方ないですよね男の子ですもの。


 さて、挨拶はこの辺にして、これからは二週間おきの投稿になりそうです。


 はい、そこ、結局かよとか言わない。


 そんな訳でこれからも楽しんで読んでいって下さい。


 それでは! ノシ

 手紙騒動の手伝い云々、放課後に役員はとりあえず生徒会室に集まるという会長の指示を受け、昼休みは解散となった。


 余った時間を睡眠に使うために俺は教室へ帰ったが、そこでばったりイケメンとエンカウントしてしまった。


 ここはお前の教室じゃない! 何故いやがる! なんだ? 神は俺に安らぎの時間すら与えてくれないのか?


「あ、ちょっとどこ行くんだよ副会長」


「保健室。あそこなら邪魔者なく寝れそうだ。あ、このまま早退ってのもいいかもな」


「ちょ、ちょっと待てよ!! 俺はあんたを待ってたんだぞ」


 片眉がつり上がる。


「は? 俺をか?」


「そそ、副会長さんにちょっとお願いがありまして……」


「やだ、めんどい、ほかの役員をあたれ。ほら、隣のA組に俺よりも頼りになる副会長もいるから。……あ~、華のこと思い出して疲れた。俺は寝る」


 時間的に保健室を利用するよりここで寝た方が睡眠時間を多くとれると判断し、自分の机に顔を伏せる。


「いやいや、これがちょこっと問題があってだな。ほら、女の子の前だったら言えないことってあるだろ?」


「それは……まぁ、一理あるな」


 顔を横にぐてぇ~っと傾けて目を閉じながら答える。


「ほら、俺ってビジュアルだけはいいじゃん? だから女の子から告白とかよくされちゃうわけよ。でも俺は可愛い子としか付き合いたくないっつーかなんつーか。ははは、でさ、さっきの事は謝るからさ、生徒会の子を誰でもいいから紹介してくんない? マジで生徒会役員って可愛いじゃん? その、ち、千早ちゃん、の事なんだけどさ、その、ほら、わかるだろ? あ、か、勘違いすんなよ? 別に惚れたとかそういうんじゃないんだからな。けど、まあ、知り合いになりたいつーの? あんたも生徒会役員なんだろ? だから、千早ちゃんと喋るチャンスをつくってくれねぇかな~って」


「………………………ぐぅ……」


「って、おい! 人の話聞けよ!!」


「……ん? ああ、カステラを第一宇宙速度で飛ばして人工衛星みたいに地球の周りをくるくる回しだいんだろ? 大丈夫、聞いてるよ」


「何一つ聞いちゃいねぇじゃねえか!」


 いや、だって無駄に話長いし自慢は入れてくるし、正直聞く気力が失せた。………リア充なんて馬に蹴られて死んじまえ!! べ、別に羨ましいんじゃないんだぜ? ほ、ホントだよ?


「だから、俺と千早ちゃんが仲良くするために取り計らってくれ。頼む、このとーり」


 手を合わせ、頭を下げるイケメンくん。俺はこのタイミングで「誠意が足りないんだよ誠意が」などとぬかす小者じゃない。


 ため息一つと伸びをしたあと、しぶしぶといった形で承諾した。

「ほ、本当だな! ヨッシャァァァ。これから俺とお前は親友だ! よろしくな一輝」


 と言い、自分の胸を二回叩く。


「あ? ああよろしく……。で、今の行動に意味なんてあるのか?」


 やたらテンションの高い深夜のテレビショッピングで外人の司会が、やれやれと肩をすくめる仕草を見たことあるだろうか? そのイラッとくる肩のすくめ方をこの男は忠実に再現しやがった。――イラッ――


「これは親友どうしのサインだ」


 もう一度胸を二回叩くイケメンくん。


 サインって……小学生レベルじゃねぇか。


 ………なんだその期待を帯びた眼差しは…………俺もやれと?


 仕方なくトントンと、胸を二回叩いてやった。


「オォォォッッッケェェェェイッ!!」


「うるせーよ、黙れよお前」


 とたん、イケメンくんは指を振る。――チッ、チッ、チッ――


 張り倒されたいかお前。


「親友どうしでお前はないだろ~? ほら、俺の名前を呼べよ」


 どうしよう、もう本当の事を言っちまおうか。・・・よし、覚悟は決まった。


「あ、わりぃ、お前の名前覚えてねぇわ」


 一瞬場が凍りつき、ややあって一人の少年の叫び声に一年C組の教室が震えることとなった。


「Noooooo!!!!」


「おいっ! おま、ちょ、馬鹿やろう!!」


 こんなに騒いだら俺が懸念していた一つの問題が……


「喧しいぞ! 風紀を乱す子悪党はどこだ!!」


 スパン! と、引き戸を乱暴に開き、木刀を持った、金髪で所々重力に逆らったボサボサヘアーの女子生徒がかちこんできた。右腕には赤の腕章。この学校の生徒なら誰でも即座に理解できる。


 ――風紀委員――


 この学校の生徒会があまりに風紀に無気力なため、替わりにと、学園長が創ったのが風紀委員だ。しかもむちゃくちゃなのが風紀を乱したやつの処理は風紀委員各々の判断で罰を与えてよいというもので、実際に木刀などで頭を強打されたという事実もある。


 ……つーか俺です。


「ったく、動物園じゃねぇんだから、ちったぁ静かに……って、またお前か藍沢ぁ!」


「俺を見ただけで犯人にするな!」


 でもって、俺を強打した人がこの方、八抹ゆかり(はちまつゆかり)だ。ゴールデンウイーク前、たまたま家を早く出て、たまたま前に彼女がいて、たまたま神風が吹いて、たまたま青と白のストライプが目に入っただけで、風紀を乱したと叫ばれ、その場で正義執行。かなり痛かったよ、うん。


 他にもちょくちょくやらかしては叩かれ、やらかしては叩かれてる。こいつ、俺が面倒なことに巻き込まれてるとすかさず登場して、俺をボコって去っていく。なんてキザなやつなんでしょう。涙が出ちゃうよホント。


 大概が友達とわいわい騒いで主犯格としてボコられた。そこんところは自業自得ってやつさ。割り切ってやる。


 ――ただ……


「八抹……、俺は忘れちゃいねぇぜ、困ってる人を助けてたのにもかかわらずお前に頭を打たれたあの時の事をなぁ!!」


「……うぐっ!」


 そうなのだ、こいつ、俺が落とし物をしたって女子生徒と一緒にその落とし物を探して、必死になって見つけて渡したら泣いて喜ばれたって心温まる話を俺の頭を叩き、ぶち壊しやがった。しかも木刀でだ。


「だ、だって女の子が泣いてたら目の前のやつが怪しいって思うだろ! ウチは悪くない」


「お前のその空回りしてる思考のせいで俺は大迷惑してるんだ!」


 ううぅと唸りながらでこをぶつけ、睨み合う俺ら。


 取り巻きのクラスメイトはいつもの事だとお喋りやら読書やらを再開。


 しばらく睨み合って、ほぼ同時にソッポを向く。こいつ嫌い。


「で、いったいこの騒ぎは何だ? どうせ藍沢絡み何だろ?」


「ああ、こいつが急に叫んだからな」


 俺らの会話についていけてなく固まってしまっている残念イケメンを指差す。


「ん? ああ、杉原竜之介か。ちょっと面貸しな、誰にも迷惑のかからない所行こうな」


「へ? あの、ちょっと?」


「クソッ、せっかく寝てたってのに起こしやがって……ぶつぶつ」


 思いっきり私欲で悪を叩く。こんなの正義とは言えないだろ。


 ズルズル引きずられていく杉原くん(八抹のおかげで覚えた)に見えるようにトントンと胸を二回叩いた。


 サインって案外便利だね。頑張れ杉原、八抹の木刀は相当響くぞ。


 少し同情してしまう俺でした、まる。




To be continued

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