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生徒会役員の昼食


 ごめんなさい。また謝罪から始まりました、滝峰つづりです。


 学校が忙しいなんて言い訳は使いませんが、一週間以内に二作を平行して作成するにはいささか無理がありました。


 これからしばらくは様子見として、どのくらいのペースで書いていけるのか調べたいと思います。


 今回は雑談を除きます。それではまた!

 ……暑い。


 もうすぐ六月だからそれもそうなんだろうけど、暑い。


 廊下を歩きながらぼんやり。どのくらいぼんやりしてるかと聞かれると、ぶつかって文句言われても仕方ないレベルでぼんやりしてる。


 あ~あ、放課後が嫌になりそう。おまけに今日は水曜日ときた。ダルいったらありゃしない。


 まだ昼休みだというのにもう放課後のことを考えていると、後ろから肩をたたかれた。


 振り返ると軽く殺意の湧きそうなイケメンがいた。


 べ、別にモテそうとか思ってひがんでるわけじゃないんだからね!!


 制服のバッチの色は緑。なんだ同学年か。


「キミ、もしかして新しく生徒会に入った人?」


 いいえ違いますと言えたらどれほど楽なんだろ……。


「残念ながらそうなんですよ。桜花学園生徒会役員副会長 藍沢一輝です。あたなは?」


「ああ、ゴメンゴメン。先に自己紹介させちゃったね。オレは杉原竜之介すぎはらりゅうのすけ一年C組です。よろしく」


 イケメンとよろしくなんてしたくない。注目集めるし……。キラキラオーラうざいし……。まあとにかく俺の中で一番関わりたくない人種だ。


「一のCか。隣のクラスだな………ちっ!」


 舌打ちはあくまで聞こえないように打つ。


「じゃあさっそくだけど生徒会役員の中で誰か可愛い子のメアド知ってる?」


「はい?」


「だから、咲神先輩か金糸先輩か卯月先輩か、ち、千早ちゃんのメアド知らないかって聞いてるんだよ」


「悪い、知らないな」


 本当は強引にケータイ奪われて登録されたのだがコイツに教える義理がない。


「ちっ、使えねーな……」


「あ、おい」


 俺が知らないと言ったとたん、興味が失せたようで竜之介は来た道を戻っていった。


「なんだよ……。感じ悪いなぁ」


 これだからイケメンは好きじゃない。でもな、俺はお前を守ってやったんだよ、イケメンくん。君はあの唯我独尊キャラ達の前で常識が通用すると思わない方がいい。


「はぁ……、にしても暑いな」


 窓の外の太陽を忌々しげに仰いだ。


「あ、イッキーだ。な~にしてるの?」


 ふと、誰かに声をかけられた。


 いや、このあだ名で呼ぶのは俺のデータでは一人しか該当しない。


「なんだ千早か。俺は死に急ぐ生徒をまた一人救ってやっていたんだ」


 雲一つない青い空を睨み、長く深いため息を吐いた。


「ふ~ん。ま、いいや。イッキーお昼ご飯一緒に食べよ?」


「いやだ」


 昼休みくらい俺に休息を与えてくれ。


「む? そこにいるのは藍沢に千早ではないか。どうだ、私と一緒に学食に行かないか?」


「あ、ボク達も学食に行こうとしてたんですよ」


 凛と響くアルトボイス。嫌な汗と共に声の源を探る。


 おいおい嘘だろ会長!!


 突き当たりの階段から降りてきていた我が校の生徒会長、咲神八千代先輩。容姿だけ見れば超美人! ………なんだけど……


 くそ、下手に教室を出るんじゃなかった。


「俺は行くなんて言って……」


「二人っきりでの昼食は淋しいものだ。無論ついてくるよな、藍沢」


 目が怖いですよ会長。それ、お誘いじゃなくて脅しじゃないですか。


「ううっ……、わかりました、わかりました。行けばいいんでしょ!!」


 ここで下手に時間を割くとカナリア先輩や卯月先輩も揃ってしまう可能性がある。おとなしく従っておこう。


 きゃっきゃっとはしゃぐ女子二人をよそに、重い足取りで学食へ向かうのであった。







 結果として従ったのは間違いだった。


「あら? 皆さんおそろいでランチタイムですか?」


「カナたちのテーブル空いてるよ~」


 我が校の食堂は生徒数が半端じゃないため、相当デカい。入り口から奧に進むにつれて広くなり、最後は開放感溢れる窓が全面ガラス張りに。その外にテラスもあり、そこにカナリア先輩たちがいた。


 狙ったように五人用の白い円形のテーブルである。


「おお、すまんな。卯月たちも昼食だったか」


「お言葉に甘えて失礼しま~す。ほら、イッキーも座って」


 生徒会メンバー全員集合。……マジですか?


 しぶしぶといった感じに腰を下ろし、改めて今日のAセットを確認。ご飯と味噌汁、魚の塩焼きに酢の物が少々。なかなかのボリュームでありながらこれでも値段は三百円。つまり貧乏高校生の財布の味方である。


「しかし、藍沢は和食派なのか?」


 味噌汁を吟味していると会長から話を振られた。


「いえ、安くて量が多いAセットには基本和食しか出ないんです」


 因みに会長のランチは、意外とサンドイッチとコーヒーだけ。女子ってあんまり食べないけど腹減らないのか?


「ふんふん、なるほどね~一輝くん。実は八千代ちゃんがあまり食べないのはダイエッ――」


「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!」



 可愛い悲鳴が食堂内に響く。


 え、今のって会長の悲鳴!? 予想外に女の子らしい声だった。あと読心術自重しろ。


 俺があまりのことに固まっていると、再びカナリア先輩が口を開く。


「八千代ちゃんはダイエッ――」


「藍沢、耳を塞げ!! 塞がないならなら私がやる」


「ちょ、まって、耳? は? え? 会長!?」


 身を乗り出し、向かいに座っていた俺の耳に手のひらを当てる。


 カナリア先輩の声はシャットアウトされたが、かわりに周囲のざわつきが微かに鼓膜を揺らす。


 耳を塞がれたとなると、当然俺と会長の顔が自然と近くなるわけであって……。


 俺の気を知らずか、茹でダコレベルで紅潮してる今の会長は、冷静に物事の判断ができてない様子で、周囲の喧騒も多分聞こえてない。


 いつまでも向かい合ったままでは何かとマズい気がする。


 考えるが早いか会長の手を無理やり引き剥がし、距離を置く。


「ちょっとは落ち着いて下さい会長。俺の耳じゃなくカナリア先輩の口を塞げばいいでしょう!! カナリア先輩も相手が嫌がることをしない!!」


 どうしてこう、ウチの生徒会は問題児ばかり……。


「はっ! なるほど、そうすれば何も耳を塞ぐという強硬手段に出る必要はなかったではないか。いやはやこれは失態だ」


 一呼吸おいて自分の手を眺めながら続けた。


「……だが、ま、まあ愚行ではなかったな」


 自画自賛するほどじゃないだろ。おかげさまでこちらはかなり注目あつめちゃいましたからね!!


「アハハハハ」


「カナリア先輩も会長に言うことありますよね?」


「ううっ……はい。ごめんなさい八千代ちゃん」


「それでよし」


 ふと、観覧者として見ていた卯月先輩がくすりと笑う。


「藍沢くんはまるで先生かお母さんですね」


「あはは……。俺、そんな風に見えてました?」


 乾いた笑みを浮かべ、引きつった頬を抑えるようと強引に白米をほおばる。


「あいつ、今生徒会長とキスしてなかったか?」


「なに!? どいつだ! 俺が殴り飛ばしてやる」


「ん? バッチの色が緑だな。って事は一年だ」


「おい、よく見てみろ。あの四人、生徒会メンバーじゃねぇか?」


「本当だ! みんなレベル高ぇな」


「俺もあの輪の中に入りたい」


「一年のくせに……」


「一年のくせに……」


「一年のくせに……」


 はは……、殺気で米の味を感じないや。


「ボクが最初に誘ったのに……。なんで相手をしてくれないの………?」


「あ、悪い悪い。でもよ、話題なんてこれといって特にないだろ?」


「ぐむむ……」


 唸る千早を一別して、魚の身をほぐす。ちょっと冷たい言い方だったかもしれないが、俺だってこんな殺気まみれな食堂からさっさと退散したいんだ。後でじゃが○こ買うから許してくれ。


「あっ! 卯月がピーマン残してる!!」


 いい感じにほぐれた身を咀嚼しながらそちらの方に目を移す。


 チャーハンだったであろう皿の上には緑色の野菜だけキレイに残っていて、俺の目線に気づいた卯月先輩は気まずそうに目を伏せた。


「先輩、もしかしなくてもピーマンが苦手なんですね」


「あぅ……」


 怒られた子どもくらいシュンとなる卯月先輩。


 いや、別に責めてませんよ? 誰にだって苦手なものの一つや二つあるものですから。俺は特に生徒会メンバーが苦手です。


「おお、そうだった。ピーマンで思い出した。生徒会へきた要望の中に面白いものがあったぞ」


 ピーマンで思い出すってどんな内容だよ。


「しかも手紙でだ」


 と、胸ポケットからおもむろに一通の便せんを取り出す会長。


 そのまま読み上げると思いきや……。


「え~、コホン。ミドルネーム緑の化け物さんからのお便り。生徒会メンバーの皆さん、こんばんは~」


「「「「はい、こんばんは~」」」」


「!?」


 DJっぽく読むつもりだこいつ等!


「さっそくなのですが僕には好きな人がいます。朝によく校門で出会い、その人はいつも可愛い笑顔で僕へあいさつをしてくれるのですが、実はまだその人の名前も知らないんです。何とかしてその人の名前を知りたい、知って仲良くなって気持ちを打ち明けたい。生徒会メンバーにはそのお手伝いをお願いしたいんです。いつも第二音楽室で部活をやってます。もしこの手紙に興味をもってくれたなら是非ともお手伝いをよろしくお願いします。……ふむふむなる程な」


「恋の悩みを生徒会の要望として出しますかね、普通」


「はいは~い、緑の化け物さんありがとう! しかし恋の悩みですか、これは久々に生徒会が動くべきじゃないかな?」


 はいはい、スルーですね。それでもってまだリスナー続けるんですか。


「先輩、ボクから質問! 生徒会が動くってどういったことなんでしょう」


 ま、なんにしても関わらないのが一番かな。


 俺はそそくさと食事を終えた。


「千早さん。私たち桜花学園生徒会役員は役員の権限が職員より高いのはご存知ですね?」


 俺は今初めて知りました。――はっ! いかん、話を聞いてしまってる。


「はい、知ってますよ。授業に出ずとも成績を上げさせることもできますよね」


「まぁ極論としては間違いじゃないですけど、それじゃあ先生方と生徒会との差が激しくなりすぎてあんまりよろしくないんですよね。ですから生徒会役員が権限を振りかざすにはいくつか決まりがあってですね」


「早い話が権限についてはある程度目をつむるが、そのかわり生徒の手助けをして生徒の模範となる行動を行えってことだ」


「「へ~……」」


 あ、しまった声が出ちまった。


「も、もう、八千代ちゃん! 私が説明してたのに横取りはズルいです」


 ぷくー、とほっぺを膨らませて不機嫌を露わにした卯月先輩。うわ、可愛いな~。


「権限を使えるのは人助け一回につき一度だけ。更に言えば権限を行使してから十日は重ねて権限を使えない。先日の不要物の件も権限を使って無理やりねじ込んだものだ」


 ああ、あれよく通ったなと思ってたけどそんなギミックがあったのね。


「むぅ~~~また私が言いたかったセリフを……」


 いじけた先輩も可愛いな~。


 三方向からスネに蹴りが入った。


「っ――――!!」


 洒落にならない痛み、声に出せない悲鳴。


 すぐに犯人三人を睨んだが、咲神先輩、カナリア先輩、千早の三人はそれぞれ別の方向へ顔をそらす。


 ……なんなんだよまったく。


「で、カナは今日の予定もないしこれを手助けとして受けても大丈夫だけど、どうするの八千代ちゃん」


「ん? ああ、そうだな。私も卯月も問題ない。一年生役員へのオリエンテーションもかねてコレを生徒会の仕事として正式に承ろう」


 どうやらウチの生徒会は他校の生徒会と一八〇度違ったものみたいだ。何故だろう?


「あの、一ついいですか会長。その手紙とピーマンの繋がりがいまいちピンとこないんですが……」


「緑の化け物=ピーマンだろう?」


 この生徒会長が変なせいだからだろうな、うん。




 To be continued.


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