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一応会議です


 ども、最近冬服へ衣替えした滝峰つづりです。


 二作同時進行は辛いなぁ……(^_^;)


 やっぱ二週間おきに……は、駄目ですね、はい。


 特に語ることもないので本編へどぞ

 生徒会室のドア。


 ここを開くのが毎日の生活の中で一番気が張る瞬間である。


 うっ……胸やけが………。


 もう帰ろうかな……。いや、ダメだ。他の役員に任せて学校が閉校になったりしたらマジ洒落にならない!


 昨日の会長なんか学校に火を放とうとして俺が全力で止めてたし……、本当で閉校にしかねないから笑えない。


 俺がこの生徒会の良心なんだ、ガンバレ俺。


 なんとか自分を鼓舞して、スライド式のドアの溝に指を添え一気に開く。


「おお、きたか藍沢」


 女子の声だけで賑わっていた生徒会室は、どことなく甘い香りが漂っていた。


 いや、甘い格好をしていたからそれもそうか。


「では、本日は生徒相談からだが………」


「はい、ターイムッ!」


 手でTの形を作り室内に入る。そして全員を確認し、会長に向き直った。


「む、私はまだ内容を一文字も出していないのだがもう意見か。さてはお前、ニュータイプなのだな!?」


「ちっげぇよ! 何で役員会長含めてお菓子の着ぐるみ着てるんだよ! 何処から取り出したんだソレ」


 因みにどんな格好かといえばこんな感じ。


 会長――パフェ


 カナリア先輩――チョコレート


 卯月先輩――クッキー


 千早――じゃが○こ


 ナニコレ、どこからツッコミを入れればいいのかさっぱりわからん。


 あの、卯月先輩。顔真っ赤にしてまで着る必要ありませんからね?


「旨そうだろう?」


「そうでもないから不思議ですね」


「実はね、イッキーにみんなの好きな食べ物を覚えてもらおうって、着てるんだよ」


 ほうほう、で、千早はじゃが○こってわけだな……。子どもか!!


「クッキーが好きでごめんなさい!」


 何故謝られた俺!


「あはは、卯月ちゃん可愛い~。カナもクッキー好きだよ」


 ニコニコしたカナリア先輩は今日もお子様オーラ全開だった。


「よし、そろそろ仕事に移るぞ」


 何食わぬ顔で着ぐるみのまま会議を始めようとする会長。


 あの、やっぱり帰ってよろしいでしょうか?


 ウチの学校の生徒会は――今日も平常運転である。





「今日は生徒から寄せられた要望の中に面白いものを見つけてな、議題として持ち上げてみた」


 俺が自分の椅子に腰掛けてすぐ会議が始まった。


 春の時季は既に過ぎ去りなまら暑い日差しが差し込む生徒会室。そして会長の面白いは学校の破滅へ繋がる。


「学校への不要物の持ち込みレベルを低くして欲しいそうだ」


「あ~はいはい、よくあるよね。ボクもちょっと持ち物検査に何度か引っかかったな~」


「カナもあるよ!」


「あ、あの、私も一度だけ……」


 まあ、二人は当然だとして、驚いたのは卯月先輩だった。二人とは違い校則を破る性格には見えない。


「卯月先輩も引っかかった事があったんですね。いったい何を持ってきたんですか?」


「ボクらは無視か!」


 はいそうです。


「あ、あの、内容は控えさせてほしいのですが実は漫画を……」


「ああ、漫画って駄目な部類でしたね」


「そうなんですよ! 原稿が遅れてたから学校で描いちゃおうって思った矢先に持ち物検査なんて」


 ぷくぅ、と頬を膨らませる卯月先輩。


「……………え?」


「はい? どうかなさいましたか?」


 いや、そんなきょとんとされましても……。


「描く方ですか?」


「見る方なんです?」


 そっち!?


「藍沢、卯月はな、人気漫画『海賊物語』の作者だ。思えばアニメ化の企画も進行中だったな」


 海賊物語って、月刊ステップで連載中のテンガロンハットの少年が主人公の大ヒット作じゃないか!


「も、もう八千代ちゃん。からかわないで下さいよ」


 あれ? ここって変な人が集う危険区域じゃなかったんですか?


「む~、今一輝くん失礼な事考えてるでしょ」


 そう言えばカナリア先輩はやけに鋭いな、読心術でも会得してるんじゃないだろうか。


「読心術でも会得してるんじゃないだろうか、だって? いやぁ、それほどでも………あるね。まあそれは置いとくとして」


 それほどでもあるんだ……。そして凄い特技を軽く流すなよ!


「う~ん、まぁ傍から見れば何言ってるんだろうとか思われるのが関の山だしね~。特技とかそんなたいそうなモノじゃないよ。教室とかじゃ聞こえないフリしてないと変な目で見られるし注意が必要なんだから」


「あの、俺の思考と会話するのやめてもらえます?」


 えへへと照れたように笑う。


 いや、褒めてませんけどね?


 生徒会役員に凄い人が二人も隠れていたとは……。


 俺としては卯月先輩に海賊物語についていろいろ問いかけたい所だが、誠に残念ながらそろそろ会長の相手をしないといけなさそうだ。だって会長の目が潤んできはじめてるもの……。


「会長、すいません続きをお願いします」


「わ、解っている。全く、私を置いて皆で楽しそうに談笑するとはいささかズルいではないか……第一藍沢が――(ブツブツ)」


 おい、マジ拗ねてるじゃねえか。誰か何とかしてくれよ。


 しばしの沈黙。


 ………会長以外の視線が痛い。やっぱここは俺ですか。


「そ、そうだ会長にも特技とか自慢出来ることとかあったりしますか?」


 どうやっ!! 俺なりに流れを汲んでみましたけど?


「ふふふ、よくぞ聞いてくれた、私はRPGならどんな長編だろうと一日あればエンディング画面を拝めるのだ」


 生徒会室の体感温度が急降下したように感じた。


 感じているのは俺だけでなく、隣の千早もぶるりと肩を抱いていた。


 恐らく知っていたであろうカナリア先輩も卯月先輩もこの乾いた笑みである。


 沈黙に疑問でも抱いたか不思議そうに会長が首を傾げ、そして勝手に納得した。


「ん? ああ、RPGとは、ロールプレイングゲームの略称だぞ」


「知ってるよ! 説明不要だよ!」


「まさか一日の時間を知らぬのか? 一日は二四時間だ、この程度の常識は覚えておいたほうがいいぞ?」


「常識以前に自分の言葉を疑うべきだと思うな、俺は!」


「まあ私の特技を理解するには君はあまりに若すぎたのだよ」


「一つしか離れてませんよね俺ら」


 どうしようこの人、さながらボケの塊といったところか……。


 よし、困ったときはひとまず放置だな。


「んじゃあ、千早はなにか特技らしいことでもあるか?」


「ここでボクに回すとかイッキーもなかなかに鬼畜だね」


 とか言いつつも笑顔は絶やさない千早。


 俺はただ、使えるものを使っただけ。決して逃げた訳ではない。俗に言う戦略的撤退である。


「ほう……。千早、よもや私と張り合うつもりか?」


 会長って案外子どもだなぁ……。


「八千代ちゃん、や、やめた方がいいんじゃないかな?」


「……以下どーぶん」


 うわぁ、先輩方も会長の負けが色濃く映ってるみたい。


 事実俺も会長の負けは否定しない。


「ん~、ボクは卯月先輩みたいに才能云々があるわけでもないし、カナリア先輩みたいに心と会話は出来ません。けど、ボクは家事全般なら凄く得意なんだ~。ね、イッキー♪」


 え、なして俺を見ながら言うん? いや、でも意外だな。千早はスポーツ得意なのは知ってたが家事が得意とかどこの乙女だよ。


「な、なんだと!? 貴様化け物か!!?」


 あんたの反応もどうした!


「えーーーっ! 華ちゃんお料理得意なの!? ……負けた」


 何故に!!?


「千早さんは家事がお得意だったのですか? うぅ、私も到底太刀打ち出来そうにありません」


 どうしてだ……。


「……あの、先輩方は何に対して負けたんですか?」


「「「女子力」」」


 ああ……、先輩方って家事があんまり出来ない人たちなのか。


 うん、出来そうにないな。


「一輝くん、今女子力の少ない人たちを敵にまわしたよ……」


 じと目で睨むカナリア先輩。でも、基本この人は可愛い顔してるから怒ってもむしろ微笑ましい。


「そ、そんなコト考えても駄目なんだよ、カナはこれでもプンプンで……」


 プンプンって……。でもカナリア先輩が使うとかなり萌えるから不思議。


 あ、しまった心読まれてるんだった。


「……あぅ………」


 顔を真っ赤にして静かになったカナリア先輩。


 ? まあ、危機は回避したのか?


「会長。ところで、会議の方は?」


「ん? あ、ああ忘れてないぞ」


 忘れてやがった。


「議題は確か如何に効率良く不要物を持ち込むかだったな」


「ちょっと掠ってるけど違う!」


「そ、そうですよ八千代ちゃん。漫画セットは不要物ではありません」


「いや、そうでもなく……」


「イッキー、のど乾いたよ~、ジュース買いに行こう?」


「お前、その着ぐるみで行く気かよ。とりあえずじゃが○こは黙ってなさい」


 ワイワイガヤガヤ、やんややんや、キャーキャー。


「あーーーーっもうっ! 少しはマトモに会議しやがれぇぇぇ!」


「「「「やだ」」」」


 一蹴!?






――生徒会より――


学校への持ち込み緩和について


ゲーム機、危険物、えっちぃモノ等は引き続き見つけ次第没収となるが、音楽プレイヤー、漫画関連の道具、お菓子等は自分の責任で持ち込みを許可する。




〝生徒会会長 咲神八千代 印〟

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