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拘束から始まる物語


 どうも! 滝峰つづりです。フェイクワールドをご覧になっている読者の方はありがとうございます。


 これが初めてな方はこれからどうぞよろしく。




 前書きのコーナーは基本作者の愚痴やらなんやらでホントどうでもいいことしか書いておりません。


 嫌な方は本編へお進み下さい。








 ううっ、テスト現在赤点2つ、痛い、これはかなり痛いです。


 どうもこうも私は好きな教科に没頭していて


「他の教科なんてなるようにしかならねぇよ、へへっ」


 と、ほざいていて結果でショックをうけるタイプですからね(エヘン


 だいいち二次関数なんて社会に出てどこで使うんだよチキショー。


 ま、過ぎたことは振り返らない事にしましょうか。後ろにプリントを回すときときのようにね(エ?



 では、どうぞ本編へ



 高校に進学し、毎日ドキドキが止まらなかった四月。


 友人も出来てせわしく過ぎていったゴールデンウィーク。ああ、青春してたな。


 そして現在、朦朧とする意識の中俺は丈夫なロープで椅子に固定され右手にボールペンが握らされていた。


 一言いうなら、あんびりーばぼー。


 そして目の前に四人の美少女とあまり質の良くなさそうな紙。


 は? どういう状況!?


 辺りを確認するため首を動かす。変な体整で長い間眠っていたのか体のあちこちが痛む。


 かなり広い部屋で、長机が中央に寄せられており、一瞬会議室かと錯覚を覚えた。一応は学校内らしい。


 そして奧に見えるレトロチックな振り子時計は四時半を回っていた。って、放課後かよ!


「あ、八千代、八千代。彼、目が覚めたみたいだよ」


 一番右の中学生か、それ以下に見えるロリロリっとした容姿の少女が口を開く。


「おお、そのようだな。なかなか目を覚まさないから心配したぞ?」


 ポニーテールの美少女、というより美人は八千代と言うらしい。


「君、なにがあったか記憶はあるかい?」


 八千代さん(?)が尋ねてきた。


 それよりは今の状況の方が気になるが……。


「えっと、確か俺が廊下を歩いてたら――」


 そうだ、昼休み食堂でパンを買おうとして、変な人たちにカラまれたんだ。


 それはもう変な人たちだった。


 T路になっていた道を曲がったら食パンくわえた……ああ、丁度目の前のロリ少女のような人とぶつかりそうになって回避した所を別の……そう、一番左端のボーイッシュな少女に似た女性からドロップキックが飛び、結局盛大にロリ少女とぶつかったんだ。

 なんだこれ、本当に変だな。


 で、俺を蹴った女性は逃走。気絶してるらしいロリ少女をそのままにしておけるはずもなく、背負って保健室に入ったまで所まで伝えた。


 何故か全員変な汗をかいる。


「で、八千代さん、ですよね? あなたに似た女性に気絶した少女を降ろした直後、――パイルドライバーを決められまして、そこから記憶がないんですよ。あ、今更ですがこの状況の説明をお願いします」


 むしろ本命がこっちだ。なんで縛られてるの俺!


「実は君にちょっとした書類を書いてもらいたくてね」


「はぁ、書類……ですか。でもコレ、説明になってますか?」


「まあ見てもらうのが早い。これだ」


 名前の記入欄があって、その下の文面が、


 上記の者を生徒会役員に決定いたします。


 現 生徒会役員一同。


 めまいを感じた。





 それはゴールデンウィーク中の我が家での事。


「なあ一輝、ウチの高校の生徒会の噂知ってるか?」


 焼きそばパンを食べてた俺は口の中を空にしてから応じる。


「知らない。どうしたその生徒会に可愛い女子でもいるのか?」


「うーん、全員可愛いっちゃ可愛いんだけどな」


「ん? ウチの生徒会って全員女子なのか?」


「そうそう、なんだ本当に知らないのかよ。結構有名だぜ?」

 全員が女子で、しかもさらにそれぞれが可愛いらしい。ハーレム目当てでチャラい男子なんか入りそうなものだけどな。


「ただ生徒会役員はほぼ間違いなくどか難が有るみたいでよ、今年邪な考えで入った男子生徒が三日で辞めたってのも有名だな」


 なる程、男子が寄り付かない理由がそれか。


 ま、俺にはこれからも関わりのない事だしどうでもいいかな。






 とか思ってた自分が憎い。


 そしてこの無駄に広い部屋が生徒会室なんだと思い至った。


 無理やりペンを握らされ、用紙の記入欄に近づけられる。


「ちょ、ちょっと待った!」


 ピタリと動きが止まった。


「ああスマン、気配りが足りなかったな」


 そうだね、まずはこの縄をほどこうか。


「君は左利きなんだな?」


「違うでしょ! 縄をほどくべきでしょうよここは!」


 顎を撫で数秒……。


「そこは盲点だった」


「なんでだよ! 普通気がつくよあんたの目は節穴か!!」


 途端、生徒会役員全員が感嘆の声を挙げる。


「やっぱりコレだな」


「ええ、コレですね」


「うん、今の生徒会にコレが欠けてたね」


「あはは、よかった~、流石に今のままじゃ駄目だったよね~」


 えっ、今のってそんな反応になります……?


「ああ、言い忘れていた。お前にパイルドライバーをキメたのは私だ。二年 生徒会役員会長 咲神八千代さきがみやちよ。よろしくな」


 は?


「因みにドロップキックをお見舞いしたのはボク。キミと同じで一年生だよ。生徒会役員副会長 千早華ちはやはなよろしくね」


 屈託のない笑みを浮かべ、不穏なセリフを吐いたボーイッシュな美少女。


 ん?


「本当はドロップキックなんて台本にはなかったんだけどね~。あ、あのときは保健室にありがとね、カナは金糸雀かないとすずめ皆はカナリアって呼んでるよ。あたしは二年 生徒会役員会計だからね」


 と、ロリロリ少女。


 へ?


「み、皆さんがすいません。一応私は止めたんですよ? あ、私一応二年 生徒会役員書記 卯月夕香うづきゆうかです。あ、あの、図々しく名乗ってごめんなさい!」




 三人のパンチが強すぎて目立たなかった、か弱い美女が申し訳なさそうに手を挙げた。


 色々ツッコミたい箇所は多々あるが、とりあえずいいだろうか。


「自己紹介のタイミングおかしくね!? てかまて最初の二人! あんたら俺に実害加えてるんじゃねぇか!! 特に会長さんのせいで俺気絶してこの状況なんですけど!」


「いや、それはなぁ……な、華」


「なんといいますかねぇ……ね、会長」


「「その場のノリ?」」


「ぶっ潰すぞおまえ等」


 こ、これが噂の生徒会役員。会話で疲れたなんて感じたの初めてだ。


「やっぱりいいセンスだよ~。これで生徒会のバランスがとれたね~。前の人は最低だったけど君は期待通りだったよぅ」


 生徒会役員会計のカナリアさんが理解不能なセリフを吐いてます。まるで俺が入る前提みたいではないですか。


「あの、生徒会に入るなんて俺、一言も言ってませんよね?」


 四人の声がハモる。


「「「「え、なんで?」」」」


「逆にどこに入りたくなる要素があるんだ! それにどうして俺を生徒会に迎えようとしてるんだよ。その辺にも人は沢山いるだろうに」


「「せ~の」」


 全員で言うんかい!


「「「「mあぱclxじぇj'+ぐぃ=$ぱ%ん&$tjmgj」」」」


「わぉ、見事に全員バラバラ。一人ずつにしような!」


「では、私からいかせてもらおうか」


 と、言って挙手する生徒会長。


「まあ自己紹介で気がついたと思うが、ご覧の通り生徒会に三年生はいない。ただ、一昨年は生徒会に入った人がいなかっただけなんだがな」


「それがどうしたんですか? 今年は一年生入ってますよね」


「いや、今の話はキミを引き込もうとしてるのと全く関係しないが?」


「じゃあなんで一昨年の話題を振るんだよ!」


「べ、別にアンタのために」


「それって関係のある話題ですか?」


 ボケを出す前に潰す。


 ずーんと部屋の端に丸くなった会長さん。ボケを潰され余程ショックだったようだ。無視だ無視。


「次!! 副会長」


 千早華に会長の続きを託す。


「え~、ボクは考え中」


「だったら混ざるなよ!!」


「じ、実は私もです。ごめんなさい!」


「アンタもか!!」


「あたしも~」


「何もないのに声出してたのかよアンタ等……」


 開いた口が塞がらないどころか顎が外れそうだった。


「つまり、私以外に理由はないと言うことだ覚悟して聞けよ?」


 ここで生徒会長復活。もう少し沈んでてよかったよ。


「私がキミを欲しい理由、それは……」


 溜めるのかよメンドクセー。


「それは……、それは~………そ、それは……………」


 だんだん言葉が濁っていく。


「お前も考え中だったんかい!!!」


 誰かこの縄ほどいて! この場から逃げたい。


「そうだ、ツッコミを捜していたんだった」


 早急に逃げたい。


「あ、そうだ。ボクたちキミの名前を聞いてなかったね」


 名乗りたくね~……。しかしこんな状態でも名乗られたら名乗り返すべきではないだろうか。


藍沢一輝あいざわいっき


「ふんふん、なる程。アイザワくんのあいって相棒とかのあい?」


「いや、勘違いされがちだけど俺は藍色のあいだ」


「いっきは、一つ輝くでいいんだね」


「ああ、それより縄ほどけ」


「ん、ゴメン後少し待ってね。―――ペンは……っと、あ、あった!!」


 華は俺が握らされているペンを取ろうとした。


「はい、ちょっと待て!!」


 折れそうな勢いでペンに握力を込める。


「なにかな藍沢くん。 ボク、少しペンを借りるだけだよ?」


「ちょっと持ってるもの見せろや」


「やだなぁ、ボクは藍沢くんの名前を忘れないようにメモするだけだよ? ただメモ帳がないからこの紙の名前の記入欄に書こうとしてるだけ。お~け~?」


 答えは勿論ノーだ。


 てか、残りの三人がやけに静かだ………って、いねぇぇぇ!


「おい副会長、他の生徒会役員はどこ行った」


「え? 今、職員室にこの紙と同じのを届けに行ってるけど? ボクはキミに興味があるから残ってるだけ」


 力が抜け、ペンが指から滑り落ちて乾いた音を響かせた。


 な……、なん、だと?


 もはや後半の華の話など耳に残らなかった。


「でさでさ、藍沢くんの事イッキーって呼んでいい? イッキーって何組? 彼女とかいる? 家族は?」


「空気読めぇぇぇ! 今俺はショック受けてるの!! 察してくれ!」


「あ、もしかして噂を真に受けてるの? やだなぁ、噂は所詮噂だよ。本当の生徒会役員をたかが噂でとやかくいって欲しくないな」


 正論、正論なんだが……。


「俺は噂通りだからショックを受けてるんだ!」


 いや、噂以上だな。


「あはははは、やっぱり?」


「やっぱり? じゃねえよ!」


「大丈夫、イッキーならすぐ慣れるよ」


「いつの間にかそのあだ名固定なんだな」


 ガララと、後ろのドアがスライドした。


「おい千早、もう縄をほどいていいぞ」


「はい、会長さん」


 拘束からようやく解放され、ふっ、と一息。


「いいな~、華ちゃんばっかり一輝くんと話して。ずるいゾ~カナも交ぜてよ」


 と言って俺の裾を引っ張る金糸先輩。本当に子どもみたいです。


「わ、私は遠くから見てるだけでいいです」


 控えめな卯月先輩。役員が皆こうだったらどれだけ楽か……。


 ほんの小さな希望を持って一つ尋ねる。


「あの、もう俺って役員になってしまったんですか?」


「むっ? 当然の事を聞くな、副会長」


 当然だと胸を張る会長……。


 はぁ~~。


 わ~わ~、ガヤガヤ、キャーキャー、うふふ。


「えーい、やかましいわ! 動物園かここは」


「とのことだ、全員静かに。これから新副会長の歓迎式を」


「始めない、帰る」


「「「「ええ~」」」」


「そこは息が会うのなおまえ等」


 ま、関係ない。今日は家に帰ってから本格的に考えるんだ……どうやってこの生徒会を辞めるかを。


「逃がすな、捕まえろ」


「ちょ、ま、待てって!」


 逃げる間もなくまた縄に縛られ、それはもう拷問のようなひとときを過ごした。


 くそっ! こんな生徒会絶対に辞めてやる。





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