表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

お題しりぃず

吉祥果の魔女

掲載日:2011/09/03

古い古い昔の話。


石榴(ざくろ)の木が年中実を宿す。


そんな不思議な土地が、森の奥深くにありました。


そして木々に隠れるように佇む一軒の家。


住んでいるのは美しい魔女と、これまた愛らしい娘です。


ある日、娘は魔女に言いました。


「ねぇ、私も魔法を使ってみたいわ」


魔女は答えます。


「まだダメよ、呪われてしまうもの」


続けて魔女は言いました。


「小さい時に魔法を覚えて大人になるとね、石榴と人のお肉しか食べれなくなるの」


娘は自分のご飯がどれだけ豪華でも、魔女のお皿には石榴しかのっていなかったのを急に思い出しました。


食事のたびに聞いても魔女は答えてくれず、魔法で誤魔化されていたのです。


けど魔女の言葉で娘はしっかりと思い出しました。


いつも魔女はお皿の石榴か、娘から貰う少しばかりのお肉しか食べません。


娘は気付きました。


きっと人から貰うと言う儀式が無いとお肉を食べれないのだわ。


「そんなに大変なら、魔女になるのは大きくなってからでいいわ」


魔女は頷きました。


「わかってくれたのね、ありがとう」


可愛い娘にうっとりとした目を向けて魔女は続けます。


「大きくなったら、ちゃんとアナタを魔女にしてあげるわ」


そういえば、と娘は思い出しました。


「お姉ちゃん達も魔女になったのかしら」


魔女は少し考えてから答えます。


「ええ、目には見えないけど私達といつも一緒にいるわ」


「いつも?」


「魔女になったら最初に覚える魔法よ。孤独な魔女が寂しく無いようにする、そんな魔法なの」


娘は微笑みました。


「素敵ね」


魔女も笑いました。


「そうでしょう?だから魔女になりたいなら、しっかり食べて大きくなりなさい」


困った顔で娘は答えます。


「もう、あんまり食べ過ぎると太っちゃうわ」


魔女は娘の足先から頭まで何度か見返してから言いました。


「そうね、太りすぎはだめだけど。でももう少しふっくらとした方が私は良いと思うわ」





しばらく経った頃、娘は魔女になりました。


娘はもうこの家に住んでいないのです。


しかし、入れ違いに赤ちゃんの声が聞こえるようになったので、魔女は寂しくありません。


魔女は赤ちゃんに名前をつけました。



「そうね、あなたの名前もカルネにしましょう。元気に育ちなさい」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ