三
それから少女は姉夫婦と共に王に謁見することになりました。少女は気が進みませんでしたが、どうすることもできません。先程も申しましたように、王の申し出を断る事など出来る訳がないのですから。
緊張を胸に三人はお城に参りますと、目を見張るようなきらびやかな部屋に、王はいらっしゃいました。年若い王でありましたが、威風堂々と王座に座る姿は流石に威厳があり、三人は頭をたれて敬意を示しました。
「この少女が真珠の涙を流すという者です」
恭しく伯父は言うと、早速その摩訶不思議な光景を見ていただこうと、懐から鞭を取り出しました。
前夜、どうやって涙を流させようか思案したあげくたどり着いた方法が、鞭で叩く事だったのです。
とにかく手っ取り早く、確実に事を成さねばなりません、そう考えて鞭を選んだのですが、鞭打つ事で少女がどう感じるかなんてことは全く頭にないのでした。
そして伯父は涙を流させる為に、少女を叩き出しました。王の御前です、失敗することは許されません、この少女が本物であることを証明するためにも、伯父は力いっぱい叩きつけました。何度も、何度も、今まで以上に伯父は少女を叩きつけました。
ですが、少女は涙を流しませんでした。
姉夫婦は困り果てましたが、ここで止める訳には行きません、服が破れ、肉が裂け、血が噴き出しても、その手を休めることはありませんでした。
それは、あまりにも痛々しい光景でした。 その様子に流石に気の毒になって、王は鞭打つことを止めさせようとしました。すると、
「おお!」
不意に周りからどよめきが起こりました。
そうです、一粒、たった一粒でしたが、とうとう堪え切れなくなったように、ポロリと白く輝く真珠が少女の目からこぼれ落ちたのでした。気を抜けば見落としてしまいそうな一瞬の出来事でした。ですが、王は見逃しませんでした。神秘的なその光景に、王はいたく感動されました。姉夫婦も、これでほっと一安心です。
早速王は、この不思議な少女を自分のものにするため、身の回りを世話させる侍女として、召し抱えることにしました。しがない村娘から考えれば大層な出世です。
そして、姉夫婦は少女と交換に沢山の金銀を貰いました。なかなか涙を流さなくなった少女を厄介払いができた上にこの褒美、姉夫婦は御満悦でした。