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ノートをコピーしていただけなのに、異世界で《複写》が実は最強でした 〜鑑定したものをすべて写し取る少年と専属女神の冒険譚〜  作者: 輝山 軽介


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第7話 鍛冶師レジエンとミスリルの穂先

 今日は休みの予定だが、ナナコルと一緒に買い物に行こうと話していた。

 一の鐘で目覚めると、カルクはすでに起きており、窓際に座っていた。

 カルクが毛づくろいをするのを眺めながら、身だしなみを整える。


 昨晩、神官長にカルクの食事について頼むと、「もちろん用意しますよ」と言って、夕食を準備してくれた。

『ご飯、行くよ』と声を掛けると、僕が開けたドアから先に出て、隣のナナコルの部屋のドアを叩いていた。


 ナナコルに『カルクが行ったよ』と念話を飛ばすと、ドアが開き、カルクを抱いたナナコルが出てきた。

 ナナコルも僕と同様、先日買った私服を着ている。

 昨夜、顔が見えなくても念話が飛ばせることは確認していたが、それを僕より先に実践していたのはカルクだった。


 部屋越しに話したのは、僕が気になっていたボアリーダーとビッグボアの関係についてだ。

 魔物には親子といった関係性はなく、自然発生的に生まれるらしい。

 ボアリーダーは、将来自分がボアキングに進化する際の妨げとなる、ボアキングの幼体を始末したかったのだろう、という話だった。


 食事を済ませ、神官長に挨拶をして教会を出る。

 ギルドを通り過ぎ、そのまま商業地区へ向かった。


 ポーション類はそれほど減っておらず、ギルドでも購入できるため雑貨屋は通り過ぎ、隣の武器屋へ入る。


 店内に入ると、肩に乗っているカルクを見て、鍛冶師風のおじさんが

「それなりの冒険者だな。どんな武器を使っておる?」

 と声を掛けてきた。


 〈収納〉から槍を取り出すと、

「収納鞄持ちか」

 と少し驚かれたが、槍を見るなり、

「良い槍だな。材料が良い。柄はそのままで、穂先を替えるべきじゃな」

 と言い、穂先に触れる。

「おっ、魔力の痕跡があるな」

 と、さらに驚いた様子だった。


 おじさんは

「部屋を借りるぞ」

 と店員に告げると、奥の部屋についてくるよう言い、そのまま店の奥へ歩いていった。


 ナナコルと慌てて追いかけ、部屋に入ると、

「儂は鍛冶師のレジエンじゃ。お前たち二人と一匹から妙な魔力を感じてな、声を掛けさせてもらった」

 と名乗った。


 続けて、

「早速だが、この穂先では魔力の通りが良くないじゃろ? ミスリルでもあればよいのじゃが」

 と告げられる。


 するとナナコルから念話で、

『騎士から複写した剣は、確かミスリルだよ』

 と教えられた。


 念のため、収納内で〈騎士の剣〉を複写し、複写されたものを取り出す。

 それを見たレジエンは、

「なんじゃ、この剣は!! 只者ではないと思っておったが、貴族か、王族か……もしや」

 と天を仰いだ。


「総ミスリルの剣など、儂でも一生に二度とお目にかかれんじゃろ」

 捧げるように剣を持ち、

「まさか、これを鋳つぶしてよいのか?」

 と訊いてくる。


 躊躇なく、

「はい」

 と答えると、

「儂も総ミスリル製の穂先を打ってみたくはあるがの」

 と笑った。


「鍛冶代金は、残ったミスリルで足りますか?」

 と尋ねると、

「足りるどころか、釣りを払わねばならんわ」

 と返される。


「魔石はこの剣に嵌まっておる。この凄まじく大きな魔石を外せばよいが、あとはおぬしの魔力……実際に槍を使っておるところを見ねばな」

 そう言って、鍛冶工房についてくるよう促された。


 突然の展開にナナコルと顔を見合わせていると、

「昼飯なら、途中で旨いものを食わせてやる」

 と言われ、この人は言い出したら何を言っても無駄だと悟り、言われるまま従うことにした。


 途中で食べさせてもらった、肉と野菜を焼いた定食はボリュームがあり、とても美味しかった。

 僕もナナコルもカルクも大満足で、結果的に判断は間違っていなかった。


 連れて行かれた工房は、僕たちがいつも討伐に行く森に近い場所にあった。

 工房の裏は森に面しており、武器や魔法の試射などができる訓練場になっている。


 レジエンの指示に従い、突進しながら炎をまとわせた槍で的を突き刺す。

 すると、

「やはり魔力の通りが悪いな。おぬしの魔力なら、ミスリルの槍であれば、離れた的へも飛ばせるぞ」

 と言われた。


 そこで〈収納〉から〈騎士の槍〉を取り出し、炎をまとわせてみると、離れた的にも炎による攻撃が届いた。


「なんじゃその槍は。それも総ミスリルか!! それがあれば、儂が造る必要はないじゃろ」

 と言いかけたが、冒険者が持つには目立ちすぎると気付いたのか、肩を叩き、

「よし、分かった。目立たない程度にミスリルと魔石を使って、槍の穂先を造ってやる」

 と言ってくれた。


「できたら、ギルドへ遣いを出す」

 そう告げられ、この話はひとまずまとまった。


 レジエンの工房から帰るときに、「先程の武器屋さんには、挨拶とかは要らないんですか?」と訊くと、「儂の大得意に嫌味とかを言うようなら、儂が黙っておらんわ」と高笑いしていた。

 もしかすると、相当に力を持った鍛冶師と知り合いになれたのかもしれない。


 商業地区に戻ってくると、この後に買い物に行く雰囲気でもなく、ナナコルに「ごめんね、結局働いてるみたいになったね」と謝ると、「クラマの槍がお金もかけずに、物凄く強くなるんだから問題ないです」と笑ってくれた。


 僕が少し納得できなかったので、デザートのあるお洒落なお店で、お茶をおごってあげた。


 その後ギルドに寄って、ユミルに「レジエンという鍛冶師の人から言伝があったら教えてね」と頼むと、「えっ、レジエン様に何を頼まれたんですか?」と驚かれた。

「気に入られたAランク冒険者でも、一年以上待たないと造ってもらえないんですよ」と言われる。


 僕が「槍の穂先を造ってもらうように頼んで、できたらギルドへ遣いを出すと言われた」と答えると、「絶対に問題になりそう。ギルマスに報告が必要です」と慌てて二階へ駆け上がっていった。


 しばらく待っていたが、ギルマスに呼ばれることもなかったので、教会に戻って食事と入浴を済ませて就寝した。


 次の日からは大きな問題もなく、三日働いて、休みを挟んでから三日働いた。

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