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ノートをコピーしていただけなのに、異世界で《複写》が実は最強でした 〜鑑定したものをすべて写し取る少年と専属女神の冒険譚〜  作者: 輝山 軽介


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第6話 キングボア幼体と、初めてのテイム

 納品後、いつもの通り教会に戻り、食事と入浴を済ませて就寝した。


 翌朝、一の鐘で目を覚まし身だしなみを整えていると、ドアがノックされ、ナナコルが顔をのぞかせた。

「少し話をしたいから、早めに食事に行こう」

 そう誘われ、慌てて身だしなみを整えて食堂へ向かう。


 席に着くと、ナナコルは「内緒の話じゃないから、食事しながらでいいよね」と確認してきた。

 僕は食事を取りながら、静かに頷いた。


「私が管理を任されているパーティー資金だけど、結構貯まってきたから教会に寄付できそうなの。それと、四日働いて一日休むって言ってたけど、三日働いて一日休みに変えない?」


 そう訊かれ、「しばらくは武器や防具を買い替える必要もなさそうだし、それでいいよ」と応える。

 するとナナコルは「明日は初めてのお休みだね」と、嬉しそうに微笑んだ。


 その後ギルドへ向かい、ユミルに朝の挨拶をしてから常時依頼を受理してもらい、森へと向かった。


 森の入り口付近で治癒草と魔力草を採取し、ゴブリンやリトルボアを討伐しながら奥へ進む。

 やがてビッグボア、さらにボアリーダーを倒した辺りまで来たところで、周囲に物々しい空気が漂っていることに気づいた。


 木陰の気配をうかがうと、数匹のビッグボアが群れており、その中心でビッグボアとボアリーダーが争っているようだった。


 ナナコルが水の玉を放ち、ビッグボア一匹を仕留める。

 すると、争っていた二体を除くビッグボアたちが、一斉にこちらへ突進してきた。


 昨日と同じように、僕は炎をまとわせた槍で次々に突き刺し、ナナコルは少し距離を取って水の玉を放つ。

 二人がかりで、五匹のビッグボアを倒した。


 争っていた場所では、何かを庇うようにしているビッグボアを、ボアリーダーが執拗に責め立てていた。

 ビッグボアはすでに息も絶え絶えだ。


 ナナコルと顔を見合わせ、二体の間に割って入る。

 激しい抵抗を受けたものの、ナナコルと二人がかりで、何とかボアリーダーを討ち倒すことができた。


 残されたビッグボアは、こちらへ向かってくる気力も体力も残っていない様子だった。

 足元で震える、ボアの子供らしき存在を必死に舐め続けている。


 やがてビッグボアは力尽き、静かに息絶えた。


 残されたボアの子供を鑑定すると、

『キングボア幼体 ♂』

 という表示が頭に浮かび、続けて――テイムしますか? と問いかけられる。


 ナナコルに確認する間もなく、思わず「イエス」と応えていた。


 キングボアの幼体は、うっすらと光をまとい、こちらへ向かって這いずってくる。


「……もしかして、テイムしちゃった?」

 ナナコルの問いに、小さく頷きながら「キングボアだって」と答えると、彼女は呆れたようにため息をつき、俯いた。


 さらに頭の中に、名づけが必要ですと表示される。


「オスだけど、名前はどうする?」と訊ねると、ナナコルは少し考え、

「……今は“カルク”でいいかな」

 そう言って、子ボアの頭をそっと撫でた。


 僕はその名前を受け入れ、カルクと名づけた。


 帰り道、ナナコルから「キングボアってことは、しばらく内緒にした方がいいよ」と言われ、素直に頷いておいた。


 ギルドでは突然のテイム報告に、案の定、呆れられることになった。


 ユミルに「赤ちゃんとはいえ、いきなりテイムしてくるとは」と呆れられながらも、登録を済ませてもらい、従魔の首輪を受け取った。


 カルクに「首輪を付けるけど、大丈夫?」と声を掛けると、『いいよ』と声が聞こえたが、ナナコルにもユミルにも聞こえていないようだった。

 どうやら、いわゆる念話らしい。


 僕も声を出さないよう意識しながら、『僕と話せるの?』と訊くと、『うん』と応えが返ってきた。

 さらに『他の人にも話せるけど、今はクラマだよ』と聞こえたので、『あとで詳しく教えてね』と伝え、首輪を付けてあげた。


 ユミルはすんなり首輪を付けられた様子を見て、「さすがはクラマだね」と笑ったが、ナナコルは何かに気付いたようで、苦笑いしていた。


 ギルドを出て教会へ向かう道中、「カルクと話してたでしょ?」と訊かれ、僕は頷いた。

 するとカルクが、僕とナナコルに『ナナコルにも話せるよ』と念話を送ってきて、ナナコルは「えっ、テイム主だけじゃないの?」と驚いていた。


 さらにカルクは『二人以外にも話せるよ』と伝えてきたので、二人以外には話さないよう釘を刺しておいた。

 すると、『クラマとナナコルも話せるでしょ?』と返ってくる。


 驚きながらナナコルを意識して『聞こえる』と伝えてみると、『うん、できるんだ』と応えが返ってきた。

 カルクは『僕がきっかけで目覚めたんだね』と、少し自慢げだった。


 試してみると、頭に思うだけでは伝わらず、相手に伝えたいと意識することが必要だと分かった。


 教会に戻ってエストル神官長を呼んでもらい、従魔をテイムしたことを伝えると、登録が済んでいれば部屋に入れても構わないと言ってくれた。

 ナナコルが寄付を手渡すと、「早速にこんなに多額のご寄付をありがとうございます」と感謝の言葉が返ってきた。


 いつも通りに食事と入浴を済ませて、カルクと一緒に眠りについた。

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