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転生少女のプライベートダンジョン  作者: 橘可憐


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「やっぱりこのお菓子を先にお供えしてからにしよう」


美咲はお社を設置するのに丁度いい広さのある場所を見つけグリとパピに提案する。


けして手にしている菓子箱が重いからではなく、やはり折角手に入れた美味しいお菓子を少しでも早くお供えしたくなったのだ。


それにここならダンジョン管理課に近く街の中心部へ行くにも便利そうで、森がバックになり人の気配も無く、あまり人目も気にせずにプライベートダンジョンを展開させられる。


後は美咲が領主の娘だと判断された服で街中をうろつくのは危険だという考えも頭に過っていた。


この生地が本当にこの地で生産されたものならば、当然誰の縁か知る者も絶対に居るだろう。だとしたら折角ニアミスで終わった追っ手を呼び戻すことになりかねない。


「服はどうするのです?」


「…仕方ないなぁ。新しいのが手に入るまであのボロで我慢するよ」


街中をうろつく気には到底なれない着古した白衣で出歩くしかないと美咲は苦渋の決断をする。


ルームウェアで高級百貨店へは行けないけれど、近所のコンビニへならどうにか行けないこともないだろうと自分に言い聞かせた感じだ。


美咲は一度森の中に入り、一応人の目を遮断させてから街の方角に向けてプライベートダンジョンを展開させる。


「美咲、どうせなら街全体にダンジョンを広げろ」


「!!」


そう言えば街全体をプライベートダンジョン化させたらどうなるのかも知りたかったのだと思い出した。


でも今にもプライベートダンジョン内探索に行ってしまいそうな勢いのパピに、美咲はなんとなく今じゃないだろうという思いの方が強く咄嗟に判断に困る。


「パピ、時間はあるのです、目的は一つずつ片付けて行きましょう」


「分かった。じゃあ明日で良いよ」


パピが不満そうに足下の土を蹴り飛ばすので、美咲は別にプライベートダンジョンを展開させるだけなら構わないだろうと考え直した。


「結局探索はしなくちゃならないんだからいいよ。取り敢えずこの街に居る間はここを拠点にしよう。でも私は先に街の散策がしたいからプライベートダンジョンの探索は今日はしないよ」


「ああ、それでいい」


美咲がパピの望み通りにプライベートダンジョンを最大限の広さに展開し直すと、一度は納得したはずのパピは何故か街に向かって駆け出していた。どうやら一人で先に探索を始める気らしい。


「仕方ありませんねぇ」


グリも少し呆れ気味にパピの背中を見送っていた。


「それではお供えが済み次第私達は生地の調達に向かいましょう」


「良かった」


取り敢えずグリは一緒に居てくれるのだと美咲は心からホッとした。


先程見つけた空き地に行き簡易お社を設置すると中へと入り、さっそくお茶菓子を神棚にお供えし、あの老人に届く転送ボックスの中にも入れ手を合わせる。


隼人は随分と奮発してくれたらしく菓子箱の中には十五個ものお菓子が入っていた。

が、お供えするのは三つずつ。高級そうなだけあってかなり美味しいお菓子だったから、それでもきっと神様もあの老人も喜んでくれているだろう。


「ねぇグリ、ダンジョン内にちょっと大きな神社があるわ。どうせだからそこへも先にお参りに行かない。折角だからこのお菓子もお供えしたい」


プライベートダンジョンを展開させたことでかなりはっきりと神社仏閣の位置が把握できた。


お酒を買ってくれた神主さんから聞いた神社とは違うが、美咲が育ったあの神社並みに大きな神社なのだからきっとそこにも名のある神様が居るはずだと美咲は考えお菓子を残したのだ。


もう少し食べたいという思いも少なからずあるが、残りはその他のお社やお地蔵様に一つずつお供えする予定。


「私は構いませんよ。きっとパピが魔物退治していることでしょうし危険も少ないでしょう」


「じゃぁ急ぎましょう。全部を回るとなると時間が掛かりそうだわ」


美咲とグリは先に急ぎ足でこの街にある大きな神社へと向かうのだった。



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