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第1話

 早寝早起き、起きて直ぐに食事をする彼女は「長月 空」という。

メニューは毎朝決まって、拘り半熟加減の目玉焼きとシャウエッセン二本。それらをご飯に乗せて醤油を一垂らししぱっと食す。

 ごちそうさまを言いながら食器を片し、テレビを見つつ歯を磨く。

口を濯ぎながら髪や顔を整える彼女は、化粧をした事がない。


 一度有るには有るが、就職面接で落ち、その直後に受けた会社は化粧無しで受かったのだから最早化粧のせいで落ちたのだ、とばかりに良いイメージが無い。

女性は服装に決まりは無いが、彼女はワイシャツに黒のパンツスーツスタイル。

起きてから出社準備が出来るまでに掛かる時間は四〇分掛からない位。

しかし彼女は歯磨きを終えた後に二度寝をする。

出る時間の一〇分前にアラームをセットし俯せで爆睡するのが日々の楽しみであり、活力なのだ。


 無人駅に乗って、乗り換え一回。合計乗車時間は十五分で下り方面に乗るから大体座れる。

しかも終点が目的駅の次の次という電車を狙えば、ガラガラだ。

他の人の例に漏れず携帯電話がそのお供。

好きな作曲家の梶浦由記さんの呟きや情報を確認しながら出社というのがルーティン。


 出勤時間の三十分前には会社に着き、全員に笑顔で元気に挨拶。

荷物は最低限なのでサッと用意し持ち場である総務部へ。

朝礼で上司や皆からの話を聞き、

「今日も一日よろしくお願いします!」

と全員で言って各席へ。


 空は主に請求書入力、郵便・社内便の仕分け、郵便局へ郵送物を届けに、系列会社に社内便が有ればそれも届ける。

皆の給与明細を仕分ける日は大仕事。

四〜五時間掛けて、社員全員の給与明細の有無を確認、配送準備、本社なら各部門長へ配りに行く。

仕分け作業が多い彼女の二つ名は

「仕分け人(笑)」

電話、来客はお手の物。

電話の音が鳴るだけで怯えていた以前の彼女を知る者が見たら驚くだろう。


 自部署に来てくれたお客様には呈茶も行う。

夏は麦茶が直ぐ無くなるから三本体制で量産するが、男性陣が飲んだ後に次を用意するのが面倒なのか「一センチメートル残し」というズル技を身に着け、広まってしまった…

お客様用としての麦茶なのだから、男性陣も飲んだら新しい麦茶の準備くらいはして欲しいというのが先輩方の会話の常であり、空も同意見。

 社長秘書不在時に社長への来客が有ればその呈茶も行う。

緊張のあまりコーヒーカップをカタカタ鳴らしながらカップを置いて、社長が思わず吹き出したのも今は昔、お客様の好みや体調に合わせた内容で出す事だって造作も無い。



 年齢にして二十五の割に後輩を持った事が無く下っ端根性を拭えない彼女は、真面目な勤務態度と人懐っこさから、尊敬する人から「愛されキャラ」との評。

また志を同じくする仲間からは

「空ちゃんの電話応対は会社一(番)だよ!」

と何度か言われた事もこっそり自慢だ。


 月の業務も年一の業務も慣れれば大きな変化は無い。

会社の代表電話はクレームが多く、相手の求めるモノを察するのが難しいので苦手だが、それ以外は特に多くの残業も必要とせず日々を過ごしていた。

一日の業務を定時迄に済ませ、終礼。

乗り換え駅からの電車の時間を母親にメールし、家に帰れば温かな食事と笑顔が空の一日を労ってくれる。


 それが彼女の日常だった。



 目立つ事は苦手で「普通」と「安定」が何より優先される彼女には、毎月通わねば成らない所が二つあった。

一つは病院の精神科。

もう一つは会社が社員の健康維持を目的に外部に委託している相談所。


 彼女はうつ病と診断され、休職した過去がある。




 これは、そんな彼女と過去と「或る勘違い」が招いた「私たちの再会の物語」

この話は私の大切な友人と私の人生そのもので、語り部として私が買って出た。


 椿という子は絵コンテと主演声優を

秋葉はイラストを

冬馬が風景、背景、小物担当で

何て皆何やら紙芝居めいたモノ迄企画しているという。


 ねぇ、そこの貴方。

紙芝居を楽しむ時間は有るかしら?

私と一緒にこの物語の観客になってくださらない?

お礼は、そうね。

この物語の続きが「ハッピーエンドで在り続ける」事を約束するわ。


 ご不満があれば言ってくださいな。

夢を叶えるその時に、演者と私で

「あなたの居場所を一緒に創る」事を約束する。


 和と話が「縁」という輪を生んで、廻り続ける。

幸せの螺旋階段をみんなで登るのは「面白い」でしょう?


 物語は今、その幕を開ける。

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