表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雷哭ノ桜花戦記 ― 奪われた鍵を求めて  (表)  作者: 田舎のおっさん
第4部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

80/110

幕間③『物語という構造の中で、私たちは何者として存在するのか』

物語には、必ず「中心」がある。

それは単なる事件の核心でも、キャラクターの選択でもない。

もっと奥深い、言葉の届かない場所――

構造そのものが呼吸する“深層”だ。


第四部へ進む直前。

世界が大きく軋む前に訪れるこの一瞬だけ、

物語は歩みを止め、静かに問いを投げかけてくる。


「あなたは、どこから物語を観測しているのか?」


桜花帝国の参謀・朔夜は、

己の決意と後戻りのできない戦いを前にしている。

蓮は、影機関の内部で揺らぎながら、

それでも守りたい存在のために暗闇を進む。

そして少女――

夕凪は、世界の構造が彼女を動かすままに、

意思と無垢のあいだで揺れている。


三者三様の立場。

しかし、それは単なる“キャラクター”としての立場ではない。

彼らは皆、物語の構造そのものから見れば、

「選ばれた位置」 に配置された存在だ。


彼らには選べなかったことがある。

だが、選ばなければならない未来もある。


では――

このページを開いている“あなた”は、どうだろうか。


朔夜でもない。

蓮でもない。

夕凪でもない。


まして戦記の兵士でも、歴史の傍観者でもない。


それでもあなたは、

彼らが踏み入れようとしている“深層”の外側で、

その行方を観測している。


では、その観測者とは、何者なのか。


物語を読むとは、

単なる受動的な行為ではなく、

その展開に干渉しうる“視座”を持つことだ。


あなたがどこに立つのかで、

物語の意味そのものが変わっていく。


朔夜の決断は、自分自身の痛みの記憶に響くかもしれない。

蓮の葛藤は、あなたの中にもある「守れなかったもの」への痛みを揺らすかもしれない。

夕凪の存在は、無垢と運命の狭間で、

失われたものの象徴として映るかもしれない。


この幕間は、その“揺らぎ”を確かめる場所だ。


あなたは、この物語をどの距離で読むのか。

あなたは、この戦いをどの感情で見つめるのか。

あなたは、この構造の中で、どの立場に立つのか。


そして――

この問いはそのまま、

朔夜・蓮・夕凪の三者へも返っていく。


運命に立ち向かう者として。

選択を強いられる者として。

支配の設計図の中で足掻く者として。


彼らが次に踏み込むのは、

もう「国」と「国」の戦争ではない。

構造そのものと向き合う戦いだ。


姿勢を正し、呼吸を整える。

世界が次の一歩を踏み出す前に、

私たちは自分の足元を見つめる必要がある。


物語という構造の中で――

私たちは何者として存在するのか。


それを問うことこそが、

深層へ向かう最初の“儀式”となる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ