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雷哭ノ桜花戦記 ― 奪われた鍵を求めて  (表)  作者: 田舎のおっさん
第3部

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第7話(表) 『断絶の剣 ― 世界を否定する者』

――朔夜視点


中央石室は、戦場へと変わった。


床一面に走る蒼い紋様が一斉に発光し、

天井、壁、空間そのものが“構造体”として再構成される。


まるで――

世界が、自ら戦う形へと変形していくかのように。


「交渉フェーズ終了。

 防衛フェーズへ移行する」


管理端末《第一位階》の声は、

どこまでも平坦で、感情がなかった。


その背後で、蒼光の柱が立ち上がる。


人型。

だが“人”ではない。


情報で作られた、

“世界の代行兵”。


燈子が歯を食いしばる。


「朔夜様……!

 あれは……

 《世界構造防衛騎》……!」


「やっぱりな」


朔夜は、ゆっくりと剣を構えた。


「つまり――

 お前たちは“話し合う気が最初からなかった”ってわけだ」


管理端末は淡々と答える。


「否定。

 あなたの“拒絶率”が、

 想定値を超過しただけである」


「……都合のいい言い方だな」


次の瞬間。


世界構造防衛騎が、

一斉に動いた。


――ドン!!


空間が爆ぜるような衝撃。

蒼の重圧が、

朔夜の全身に叩きつけられる。


燈子が符を撒き、叫ぶ。


「結界展開!

 朔夜様、右から来ます!!」


朔夜は、右足を踏み込んだ。


剣が閃く。


——ギィィィン!!!


防衛騎の一体を、真正面から両断。


だが、切り裂かれたはずの身体は、

瞬時に“情報として再構築”され、復活する。


「くそ……再生型か」


「彼らは“損傷”という概念を持ちません。

 “削除か維持”のみです!」


燈子の声は緊迫していた。


「なら……“削除”するまでだ」


朔夜は、踏み込む。


剣に、

天城家の封呪式が次々と刻まれていく。


——雷鳴のような音。


「《雷哭・第一式》――!」


剣が振り抜かれた瞬間、

蒼空に雷光が走り、

三体の防衛騎が同時に“情報崩壊”した。


再構築が――止まる。


燈子が目を見開く。


「……崩れた……?」


管理端末の光が、わずかに揺らいだ。


「異常確認。

 あなたの攻撃は“世界構造データそのもの”へ干渉している」


朔夜は剣を下げずに言った。


「当たり前だ。

 夕凪を“構造物”として扱った時点で、

 お前たちは“人間の側”に立つ資格を失ってる」


怒りでも、憎しみでもない。

それは――

揺るがぬ断絶だった。


「妹は“部品”じゃない。

 生きて、迷って、好きなものを選べる――

 ただの“人間”だ」


管理端末は、静かに応じる。


「人は、常に“再構築対象”である」


「なら――」


朔夜の声が、低く震えた。


「俺は、お前たちの“世界そのもの”を否定する」


次の瞬間。


石室全体が、第二防衛段階へ移行した。


床が反転し、

重力方向すら歪む。


燈子が激しく体勢を崩す。


「重力が……反転……!?」


「掴まれ!」


朔夜は燈子の手を掴み、

壁へと叩きつけられながら踏みとどまる。


防衛騎が、

四方八方から襲いかかってきた。


完全包囲。


(……数が多すぎる)


そのとき。


――ドクン。


朔夜の胸が、

不意に“別の鼓動”に共鳴した。


(……これは……)


“蒼”でもない。

“雷”でもない。


もっと異質な――

“黒い意思”の鼓動。


「……蓮……?」


どこか、

この石室の“外縁”から――

強烈な突破の気配が、確かに伝わってきていた。


燈子も、それに気づく。


「朔夜様……!

 別の侵入反応……!

 これは……黒鋼側……!?」


朔夜は、歯を食いしばった。


(……来たのか……

 お前も同じ場所へ)


管理端末が、初めて“焦燥の揺らぎ”を見せた。


「警告。

 第二侵入者を確認。

 個体・刃向蓮。

 分類不能因子――」


「黙れ」


朔夜は、剣を強く握り直した。


「ここは――

 俺たち人間が、

 “世界に選ばれるかどうか”を決める場所じゃない」


踏み込む。


剣が、雷光を纏う。


「世界が、人を選ぶな。

 人が――世界を選ぶんだ。」


次の瞬間。


朔夜の剣と、

中央石室の“構造核”が――

初めて、正面から激突した。

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