表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雷哭ノ桜花戦記 ― 奪われた鍵を求めて  (表)  作者: 田舎のおっさん
第3部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

47/110

(桜花帝国編) 『蒼風、帝都を渡る』

蒼い風が吹いていた。


あの扉崩壊の夜から一週間。

桜花帝国の空は、毎朝どこか蒼色を帯びるようになった。

人々は“吉兆”と囁き、陰陽庁は“前兆”と顔を曇らせる。


天城朔夜は城壁上の展望台から、

ゆっくりと明けてゆく帝都を眺めていた。


桜蒸塔は青白い脈動を繰り返し、

地脈と結界が微細な唸りを上げている。


(……世界が、変わり始めている)


夕凪の統合によって、扉の暴走は止まった。

だが、止まっただけだ。

“消えた”わけではない。


——その証拠に、世界は蒼く震えている。


背後から足音が近づいた。


「朔夜様、朝一番の“地脈観測報告”を」


朱雀院燈子が書類を差し出す。

その目はいつもの静けさを保ちながらも、

底にわずかな不安を宿していた。


朔夜が書類に目を通した。


帝都北部、地脈の“蒼揺れ”増加。

東方戦線でも地鳴りの報告。

さらに——


「……“中立国ストラタ”、蒼反応最大値……?」


燈子が低く応じる。


「はい。観測史上最大の数値です。

 彼らは明確に“動いて”います。

 ただ、その理由が……」


朔夜は書類を閉じ、蒼い空を見上げた。


夕凪のあの言葉が蘇る。


——『扉の奥には……誰かがいた』


誰か、なのか。

何か、なのか。

それすらわからない。


だが確かに“存在”は動いている。


臣下ではなく、兄としての直感が囁く。


(……夕凪は、まだ危険の中にいる)


燈子が口を開く。


「朔夜様。

 もしこの蒼揺れが、夕凪様と関係しているのであれば……」


「——必ず、守る」


朔夜の声は、冷たく鋭い決意に満ちていた。


国家への忠義でも、参謀としての義務でもない。

ただの兄としての誓いだった。


蒼風が吹く。


その風は、これからの戦いが

前よりずっと大きな“何か”になることを告げていた。


桜花帝国は、まだ知らない。


——この蒼風が、大陸すべての運命を変えることを。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ