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雷哭ノ桜花戦記 ― 奪われた鍵を求めて  (表)  作者: 田舎のおっさん
第二部

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45/110

第28話(表) 最終話 『終焉と蒼の統合 ― そして少女はひとつになる』

扉心臓領域は崩壊寸前だった。


蒼い稲妻が世界を裂き、

天井はひび割れ、

床は光の奔流に飲み込まれていく。


統合の光の中で、

夕凪と影夕凪の輪郭が完全に重なりつつあった。


真白の悲鳴が響く。


「まずい!!

 扉が“鍵の完全覚醒”と誤認してる!!

 夕凪ちゃんが飲まれたら……

 もう、戻ってこられなくなる!!」


蓮が走る。


「夕凪!!

 離れるな!!

 俺たちが絶対に助ける!!」


朔夜は刀を構え、光の奔流に抗いながら叫ぶ。


「蓮!! 真白!!

 夕凪を中心に《蒼の結界》を張るぞ!!

 暴走扉を鎮めるには……

 夕凪の心の統合を“守り切る”しかない!!」


蓮は片膝をつき、

血を吐くような息で頷く。


「わかった……!!

 どんな光でも……

 夕凪に触れさせない!!」


朔夜と蓮、真白の三者が夕凪の周囲に円を描き、

蒼光を必死に押し返す。


だが——


扉の咆哮はさらに激しくなる。


《認識――鍵統合進行。

 大陸再編計画、起動準備》


朔夜が目を見開く。


「……再編計画……!?

 扉は大陸そのものを書き換える気か!!」


(影夕凪の統合が“鍵の完成”扱いになっている……

 このままでは……夕凪が……!!)


光の中心で、

夕凪が震えながら手を伸ばす。


「お兄ちゃん……

 蓮くん……

 助けて……

 影ちゃんと……一緒に生きたい……

 消えたく……ない……!!」


影夕凪の声が重なった。


『夕凪……

 わたしも……

 一緒に、生きたい……!!!』


二つの声が共鳴し、

夕凪の胸に蒼い紋章が浮かび上がった。


真白が叫ぶ。


「これ……!!

 〈蒼の共鳴核〉……!!

 夕凪ちゃんの“心の統合”が……

 新しい力になってる……!!」


朔夜の瞳が鋭く光る。


「夕凪が……

 自分の弱さも、痛みも、影も——

 全部抱きしめようとしている……

 なら……

 俺たちがやるべきことはひとつだ!!」


刀を構え、

蒼光へ突き立てた。


「《皇桜式・対扉封呪》

 ——蒼心抑制!!」


蓮が夕凪の肩に触れ、力を流し込む。


「夕凪!!

 お前の“生きたい”が……

 一番強いんだ!!

 行け!!」


真白も叫ぶ。


「夕凪ちゃん!!

 あなたの光で……扉を止めて!!」


夕凪は涙の中で微笑み——

胸の紋章に手を当てた。


「影ちゃん……

 いっしょに……行こう」


蒼光が大爆発する。


扉が揺れ、悲鳴を上げた。


《認識エラー。

 鍵の波長……複合化。

 想定外構造……抑制不能……》


夕凪が叫ぶ。


「わたしは……

 “夕凪”のままで生きたい!!

 影ちゃんも連れて……

 前に進みたい!!

 だから……

 扉なんて……知らない!!

 わたしは……選ぶ!!

 自分の未来を!!」


蒼い紋章が輝き、

扉の暴走した光を吸い込んでいく。


蓮が目を見開く。


「夕凪の力が……

 扉を“上書き”してる……!!」


真白が震える声で呟く。


「……これは……

 “鍵の完成”じゃない……

 “鍵の拒絶”……!!

 夕凪ちゃん自身の意思が……

 扉の支配を否定してるの……!!」


影夕凪の声も響く。


『夕凪……

 あなたは……

 こんなに強かったんだね……』


夕凪は静かに笑った。


「ううん……

 わたしひとりじゃ……できなかったよ。

 影ちゃんが……泣いてくれたから……

 蓮くんが……抱きしめてくれたから……

 お兄ちゃんが……信じてくれたから……

 わたし……

 ちゃんと自分を見れたんだ……」


朔夜の目がわずかに潤む。


「夕凪……誇りだ」


その瞬間、扉が大きく砕けた。


蒼光が吸い込まれ——

静寂が訪れた。


夕凪は影夕凪を胸に抱いたまま倒れそうになり、

蓮が優しく抱きとめた。


「あとは……眠ればいい……

 お前は……よく……がんばった……」


夕凪は涙を浮かべながら微笑んだ。


「……ありがとう……

 蓮くん……」


朔夜が静かに言う。


「第二部——終幕だ」


蒼い光が完全に収束し、

扉心臓領域は静かに沈黙した。


だが——

真白だけは空間の奥に残る“気配”を感じていた。


(……これは……

 まだ終わりじゃない……

 扉の奥に……

 “別の意思”……?)


第二部は幕を閉じる。


しかし。

影夕凪の統合で生まれた〈蒼の共鳴核〉は——

第三部への“新たな脅威”を呼び覚ます。


物語は、次の章へ進む。

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