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雷哭ノ桜花戦記 ― 奪われた鍵を求めて  (表)  作者: 田舎のおっさん
第二部

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29/110

第二部・前半エピローグ

蒼き波紋**


蒼い光が、大陸を再び満たした。


夜でも昼でもない。

時間の流れすら忘れさせるほど、

静かで、深くて、美しい光。


しかし今回は――

前回とは違っていた。


光は優しく広がるのではなく、

断続的に脈動し、

大地そのものを震わせるように走っていく。


まるで “何かを呼ぶ鼓動” のように。


◆ 桜花帝国 ― 将たちのざわめき


帝都・桜花。

蒸気塔の管が一斉に振動し、警鐘が鳴り響く。


参謀本部の巨大な地図盤が震え、

桜の紋章が刻まれた水晶針は狂ったように回転した。


「また光が……!

 第一次反応とは桁が違う!」


「帝都地下の霊脈が逆流しています!」


「これは……巫女の力か?

 それとも扉……?」


混乱の中、

将たちの表情には“期待”と“恐れ”が同時にあった。


桜花は攻勢に出るべきか――

誰も判断を下せない。


ただ一つだけ確かなことは、

あの蒼光は、天城朔夜の方角から発されているという事実。


「天城参謀……

 一体どこで何を……!」


誰も答えられなかった。


◆ 黒鋼連邦 ― 影機関の崩壊


鉄環都市ミッドグレイの中心、

黒鋼本部の深部。


宗六の術式陣が震え、

黒い水晶が次々と割れた。


影機関の通信が途絶え、

術式が暴走し、

制御室は停電寸前。


「な……なんだ、この反動は!?

 精神干渉術の限界値を超えている……!」


「巫女の心層が……反発している!!

 これは……覚醒前兆!!」


宗六はただ、

静かに笑っていた。


「目覚めよ……

 巫女よ。

 わしの悲願を果たすために」


その瞳は狂気と、計算と、絶望の色を含んでいた。


◆ 中立国ストラタ ― 古代の言葉


白い石の神殿の中。

古代石版がひとりでに光り、

それを囲む神官たちが震えている。


「予言の文……次の行が浮かび上がりました……!」


《扉の鍵、三つ揃う時

 大陸は一つの“道”を見る》


長老が呟く。


「三つ……?

 巫女だけではなく、他にも……?」


ストラタは確信した。


――歴史が動く、と。


◆ 結界深部 ― 三人の鼓動


蒼光の嵐の中心。


朔夜は夕凪を抱き寄せ、

その小さな背中を必死に支えていた。


夕凪の鼓動は速く、

痛々しいほど震えている。


蓮は二人の前に立ち、

影機関の残滓を斬り払っていた。


誰も言葉を発しなかった。

発すれば崩れてしまいそうな、

静かな緊張の時間だった。


ようやく――

夕凪が小さく唇を開く。


『……お兄ちゃん……

 れんくん……』


朔夜が応える。


「ここにいる。

 二人とも、お前のそばにいる」


蓮も静かに言う。


「だから大丈夫だ。

 こわくない」


夕凪は目を閉じ、

二人の胸元に小さく顔を寄せた。


その瞬間――


扉が、低く、深く、響いた。


ゴォォォォォン……


三人の心臓が呼応するように揺れる。


朔夜が顔を上げる。


「……これは……」


蓮の表情が険しくなる。


「扉が……

 本当に起動を……」


夕凪の瞳が、

ゆっくりと、蒼い光で満ちた。


『……あけて……って……

 こえが……きこえる……』


三人が同時に息を呑んだ。


蒼光が花弁のように舞い上がり、

結界の奥に巨大な“影”が浮かび上がる。


それは――

世界を変える“扉”の輪郭。


朔夜は夕凪を強く抱きしめた。


「夕凪……!

 声に……答えるな……!!

 負けるな!!」


蓮も叫ぶ。


「夕凪!!

 絶対に一人にするな!!

 俺たちがここにいる!!」


夕凪は苦しそうに震える。


『……でも……

 だれかが……

 よんでる……』


扉がもう一度、

低く唸った。


世界が揺れた。


蒼と黒の光がせめぎ合う。


第二部後半――

**“扉の真実”**が幕を開けようとしていた。


(つづく)

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